「家庭・仕事・オタ活の両立、どうすればいい?」年に10冊同人誌を出す同人女が実践する3つのライフハック

“トリプルフェイス”はできる!!!

» 2018年10月14日 20時00分 公開
[ニシノねとらぼ]

 1日は24時間しかないのに、どうして人類は仕事をしたり子育てをしたり、そのうえオタ活にまでいそしんでしまうのでしょうか。自分でやっといてなんですけど“業”を感じますね。

 私はとあるマイナージャンルで活動する30代の同人女です。ジャンル内はマイナーゆえに企画・執筆依頼をしないと読むものがないためアンソロジー企画が多く、主催をやったり寄稿をしたりとそれなりに毎月何かしらの同人誌に関わっています。平均すると年10冊。2017年秋は8冊のアンソロに寄稿し、週に1回やってくる締切に「週刊作家ってマジでヤバい仕事では?」と泡を吹きました。

 その一方、仕事(IT企業の営業職)もあれよあれよと責任が重い立場になっていき、後輩や部下も増えてきました。企画ものアンソロで鍛えた企画力が営業の提案にもバリクソ役立っています。さらに幼女(早くもオタク気質が発現しており、“血”を感じる)の子育てもしています。

 自分で言うのもアレですが、けっこうがんばってトリプルフェイスをこなしていると思う。ねとらぼGirlSide編集部から「どうやってオタ活と家庭と仕事を両立しているんですか?」と聞かれたので、まとめてみました。

夫を変える(離婚的な意味で)

 いきなり汎用性がない話になりますが、私の場合は夫をチェンジしました。前夫は私の行動を全てマネジメントしたがる年下男子。今思うと『ザ・ゴール』とか中谷彰の自己啓発本とか読んでおり、自分をデキるやつと思っている本当にダメなやつでした(※本が悪いわけではない)。

夫をチェンジ

 スペックとタイミング――つまり若気の至りで結婚しましたがダメ。私にとって大事なのは仕事とオタク活動だったので、別れても大して痛手もありませんでした。夫と別れたくらいでどうこうなる人生ではなかった……

 そして縁に恵まれ、私の行動なにもかもに興味がない年上夫と再婚。「この日イベントあるから朝から夜までおらん」「おー」って会話だけでカート引いてイベント行けるのは最高です。

スマホを活用

 私は小説書きですが、原稿はほとんどスマホで書いています。正直、PCに向かって「なにか書かなきゃ!」ってやる時間がないんですよね……!

PCに向き合う時間がないので、原稿はスマホで

 まずは電車の中で思いつくままに荒いプロットを書き、何度も上書き。コンディションが良ければ、早く目が覚めた日の朝の1時間や風呂で2000字くらい進みます。そうこうしているうちに5割ぐらいできるので、風呂の中と寝る前後でもう少し面白くしていきます。8割くらいできたら人に見せたり本用のフォーマットにいれたりして、PC前で2〜3時間作業したら完成です。

 このような原稿への向き合い方は小説書きだからできるところが大きく、漫画だとどうしてもPCやタブレットの前でガッツリ作業しなければならない時間が多いですよね。周りの絵描きは、子持ちになって小説書きに転向する人も少なくありません。「この小説同人誌の挿絵メッチャうまくね……ってかどっかで見たことが……」と思ったら神の転生後ということもあった。

 ただ小説書きでも絵描きでも同じであろうポイントは、“締切に迫られるようなスケジュールを組まない”ことです。学生時代は「徹夜で締切に間に合わせる!」という体力任せのこともできましたが、今はもう無理。しかも「今日は修羅場予定!」としていても、子どもが急に体調を崩したら確実に原稿は落ちます。

 そもそも睡眠不足は仕事にも子育てにもオタ活にもよろしくない。私は現在毎日7時間の睡眠と週1のパーソナルトレーニングジム通いを欠かさずやっており、それぞれの活動時間はそこに集中して時間でばっさり切って次にいくので、すこぶる健康でメンタルの状態もよくご機嫌に暮らしています。案件にかけられるリソースがきっちり決まっているので、仕事でトラブルがあっても全然引っ張りません。忙しいっていいぞ!

 結局、一番時間がかかるのは「書けない状態から書ける状態にもっていくこと」。書けるときに書き溜めておいて、締め切り前にぐっと集中して完成させて出しています。

 このような生活をまわすためにはコツがあります。趣味を選択し、リソースを集中させることです。現在の私は同人誌における創作活動がメイン、ライブや映画、舞台は月1というところ。ドラマやバラエティはほとんど見ません。イベントの打ち上げやサークル仲間以外との飲み会もほとんど行きません。ゲームもしません。

 人生は短い。リソースは有限。時間泥棒につきあう時間はないです。

 書けるときに書き溜める、を成立させるには、頭の中の常駐タスクとして次の本の内容を置いておく必要があり、集中を強いられるようなコンテンツに触れると書きたかったものが消えたりするので、面白そうなコンテンツを勧められても「いま原稿を抱えてて!」と断ることがあります。

分業せよ

 常々思っているのですが、同人誌って産業革命前じゃないですか? 絵だったりストーリー作りだったりデザインだったりコマ割りだったりスケジュール管理だったり事務作業だったりの能力を全て高レベルで持っている人はほとんどいないのに、みんな自分1人でやろうとしてしまう。

 ガンガン分業しましょう。これまでの経験上、アンソロの場合はそれぞれが漫画と小説を書いた上で、企画編集、プロット、プロモーション、版面デザイン、表紙デザイン――あたりを分業するとめちゃくちゃハイクオリティーのものが楽にできます。同人女、“野生のプロ”もけっこう多い‥…。アンソロじゃなくても、原作を渡すとめっちゃいい感じで漫画を描いてもらえるなあ……というのが最近の気付きです。そしてメンバーの選び方ですが、仕事をバリバリしている女とは同人誌で組んでもバリバリ仕事をしてくれる。いまのところ納期遅れもありません。

 同人誌づくりの工程のうち、どこが得意かは人それぞれ。得意な領域でそれぞれが“自分の仕事”をすると、無駄なくハイクオリティーになる。ハイクオリティーなので本が売れる。徹夜せずに早割が使えるので、体力にも財布にも余裕があるまま次の本の企画に向かえる……。ちょっとした誇りですが、どんなドマイナージャンルへの新規参入でも、同人誌で赤字を出したことがありません。それもこれもきっとよいサイクルができているから。

 ちなみにこの産業革命、かつて同人界でやってのけトップを取り、今も一線を走り続けているのが言うまでもなくCLAMP先生ですね。私たちはCLAMPという偉大な先輩の背中を追っていく……!

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