当然ながら、儲かるときもあれば儲からないときもあるのが投資の世界。しかし、トレーダーの中には、継続的に利益を上げているツワモノも存在するのだ。実際に、FXの取引を繰り返したトレーダーのトータル収支は、いくらくらいになるのだろうか。そこで今回、この疑問を解消するため、「ナビナビFX」編集部の佐藤真奈美さんにFX取引について話を聞いた。
■もっとも多い収支は「プラス1~50万円」
まずは、FXトレーダーのトータル収支はどのくらいか聞いてみた。
「私たちはFXトレーダー400人の実態調査を2019年2月に実施しました。リサーチの結果、FXトレーダーのトータル収支は『プラス1~50万円』が19.2%ともっとも多い結果となりました。それ以下については、『マイナス1~50万円』が15.4%、『プラスマイナス0万円』が6.6%と続きます。つまり、比較的少額の利益、または損失がトータル収支となるFXのトレーダーが多いです」(佐藤さん)
儲けている人の割合が一番多いとは、意外だ。FXは過激な投資法といった印象が強い気がするが、思っているほどでもないのだろうか。
「大きな損失を出してしまうトレーダーも一定数います。実際、今回のリサーチでも、3.1%のトレーダーのトータル収支が『マイナス1,001万円以上』であり、多額の資産を失っているという現実もあります」(佐藤さん)
なんと、1,000万円以上の損失を出している人もいるとは……。こうしたリスクも踏まえ投資するものだと認識しておく必要があるということだ。
■「プラス1,001万円以上」の利益を上げているトレーダーは4.7%
次に、大きな利益を上げているトレーダーの割合を聞いてみた。
「『プラス1,001万円以上』の大きな利益を上げているトレーダーは、全体の4.7%です。億万長者を夢見てFXをはじめるトレーダーもいると思いますが、それを叶えられるのは5%にも満たないトレーダーのみです。FXで大きな利益を上げるのは非常に難しいことなのです」(佐藤さん)
どうやら、大儲けしているのは、一握りということらしい。
■どんなトレーダーが大きな利益を上げているのか
どのようにすれば大きな利益を上げられるだろうか。佐藤さんがトレーダーにインタビューをした結果、共通点が4つあったという。
「1つ目は『感情のコントロールをすること』です。FX取引はリアルタイムで自分の資産が増えたり減ったりするため、投資家に大きな精神的負荷がかかります。ストレスフルな状況においても、自分の感情をコントロールできなければ、理性的な判断はできません。それを実践できるのが、大きな利益を上げているトレーダー最大の特徴です」(佐藤さん)
自分のお金が減ったり増えたりする中、ロジカルな判断をし続けるのは難しそうだ。
「2つ目は『リスクマネジメント』です。投資にはリスクが付き物なので、それをいかにうまくマネジメントできるかがトレードの成否を決めます。大きな利益を上げているトレーダーは、常に自分が許容できるリスクがどのくらいなのかを見極め、取引を調整しています」(佐藤さん)
あと2つは何だろう。
「3つ目は『取引ルールを守ること』です。FXでは損切りと利益確定のタイミングなどを、自分で決めて守らなければなりません。これは簡単なことではありません。そして、以上の3つができた上で、改善を繰り返す。それが4つ目の『PDCAを回すこと』です。これらができてはじめて、『FXで利益を上げられる可能性が少し増える』に過ぎません」(佐藤さん)
いかにFXで大きな利益を上げることが難しいかがわかった。プラス1,001万円以上のトレーダーが少ないというのも納得だ。
FXも他の投資と同様、簡単に稼げるという甘い考えで手を出すと痛い目をみそうだ。しかし、確実に利益を上げているトレーダーがいるのも事実である。きちんと、リスクヘッジしながら改善を繰り返すことが、儲かるトレーダーへの第一歩といえそうだ。
⇒「FX投資で収支が安定するまでの実態を調査!」に続く
●専門家プロフィール:佐藤 真奈美
FXに関する疑問や悩みを解決するサイト「ナビナビFX」の編集部員。大学卒業後、FX関連の証券会社に勤務したことが契機となり、金融の世界へ。ベンチャーキャピタルをはじめとした投資会社で経験を積む。現在は、複数のFXメディアサイトに相場予想やFX解説等の記事を寄稿している。