保育士による虐待が横行していた保育園…通報しても改善されず「我が子の様子が違うときは気をつけて」

長岡 杏果 長岡 杏果

近年保育士による虐待が増加傾向にありニュースでも「保育士による虐待」という話題を目にすることが増えてきました。

今回取材を受けてくれた大阪府在住のAさん(30代、元保育士)によると、Aさんが過去に勤務していた園でも保育士による虐待が横行していたそうです。

虐待内容は▽毎日子どもたちを怒鳴りつける▽頭や手を思い切りたたく▽突き飛ばす▽怒鳴りつけて無理やり食べ物を口に詰め込む▽泣けばうるさいと怒鳴りつけ部屋の外へ締め出す▽子どもの悪口を言って嘲笑する▽夏場水分を欲しても与えない▽汗だくになっていても着替えをさせない▽体調が悪くても床に放置する…などで、日常茶飯事だったそうです。

虐待のターゲットはいつも「まだうまくお話ができない1歳児」と、月齢の小さな子どもたちだったそうです。

虐待を目撃したAさんがとった行動

Aさんは虐待の証拠を毎日記録していました。ノートに虐待の日時、虐待の内容、虐待していた保育士の名前、被害を受けていた園児の名前…を記録していたそうです。

園長も虐待や劣悪な環境を見て見ぬふりをしていたため、子どもの虐待を専門とする知人と直接役所に出向き記録を提出し園の虐待を通報しました。しかし役所は「私立園なので口出しできません」の一点張りだったそうです。

Aさんは何度も窓口に赴き、虐待の危険性を訴えたそうですが、「動画による証拠がないからだめです」と言われ結局改善はされずAさんの思いは通じなかったと話してくれました。

もしわが子が虐待されているかもと思ったら?

Aさん曰く「おかしな傷がある場合や、子どもが園に行きたがらない、怯えてる様子がある、笑顔が消えてぼーっとしてる、普段と様子が違うときは、園長が信頼できる場合は園長に相談してください。園長が信頼できない場合は役所の保育園課や福祉指導監査室(名称は市町村によって異なります)に根気よく何度も相談することをおすすめします」と話します。相談する際は「可能であれば音声などの証拠があるとよりいい」そうです。

一方でAさんは「個人的には、虐待する保育園は改善されることはほぼ期待できないと思います。ですので、転園することをおすすめします」とも話してくれました。

子どもには安心安全な環境で育ってほしいものです。子どもが毎日笑顔で元気に過ごせることが親にとって何よりの願いです。保育士個人にどのような理由があろうとも、子どもに虐待をしていい理由にはなりません。子どもを愛し、子どもを温かく見守り、子どもの気持ちを受け止め、寄り添ってあげられる、それが真の保育士なのではないでしょうか。

   ◇   ◇

【参考】厚生労働省が定義している4種類の「子どもへの虐待」について

▽(1)身体的虐待

打撲、あざ(内出血)、骨折、たばこや熱湯による火傷、などの外傷や殴る、蹴る、たたく、つねる、投げ落とす、激しく揺さぶる、食べ物を無理やり口に詰め込む、溺れさせる、などがあります。

※子どもは打ち所が悪ければ死んでしまう可能性もあります。口に無理やり食べ物を詰め込めば窒息死する恐れもあります。2014年には千葉県で2歳児の口に無理やり食べ物を詰め込み、怒鳴りつけた保育士が強要容疑で逮捕されています。

▽(2)心理的虐待

怒鳴りつけて怖がらせたり、脅迫したり、子どもの心を傷つけることを繰り返し言ったり、子どもを無視したり嫌がらせを行う行為などを指します。

▽(3)ネグレクト

衣服を着替えさせない、食事を与えない、病気なのに病院へ連れて行かない、自動車の中に放置する、家に閉じ込める、などを指します。

▽(4)性的虐待

子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触るまたは触らせる、ポルノグラフィの被写体にするなどがあります。

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