アメリカ海軍太平洋艦隊司令部は2020年11月21日(現地時間)、ロナルド・レーガン空母打撃群に所属する駆逐艦バリーが20日に台湾海峡を通過し、中国が海洋進出を強める南シナ海の哨戒活動に入ったと発表しました。駆逐艦バリーが台湾海峡を通過するのは10月14日以来のことで、2020年に入って4回目となります。

 アメリカ海軍の艦艇が台湾海峡を通過し、南シナ海で哨戒活動を実施することについて、駆逐艦バリー艦長のクリス・ガール中佐は「南シナ海においてプレゼンスを発揮し続けるのは、自由で開かれたインド太平洋を維持するために重要です。公海において、どの国も自由に航行できることは非常に大切なのです。バリーは11月20日に台湾海峡を通過しましたが、これは南シナ海において、通商とコミュニケーションをする権利がすべての国にあることを明確にし、それを保証するという姿勢を示すものです」と説明しています。


 中国大陸と台湾を隔てる台湾海峡、そして南シナ海では、数多くの漁船や商船が航行し、それぞれの業務を日々続けています。駆逐艦バリーが所属する第7艦隊の第15駆逐隊は、バリーら7隻の駆逐艦を擁する、アメリカ海軍でもっとも大所帯の駆逐艦部隊。それだけ担当する海域が広く、また重要であることがうかがえます。

 神奈川県の横須賀に前方配置されている駆逐艦バリーにとって、台湾海峡を通過するルーティンは今回が4回目。そして南シナ海での哨戒活動は5回目となります。

 駆逐艦バリーの戦術担当士官、ティモシー・ベーカー少佐は、2020年の活動について「4月には西沙諸島(パラセル諸島)において「航行の自由作戦」を実施し、その後に強襲揚陸艦アメリカの遠征打撃部隊に合流し、南シナ海における任務に従事しました。個艦で実施する任務、より大きな艦隊の一員として実施する任務に関わらず、バリーはアメリカの強大な戦力を大きく体現する存在として、いつでも敵対行為に対して出動できるという姿勢を示しています」とコメントしています。


 駆逐艦バリーは台湾海峡を通過する以前、11月初めまで恒例の国際共同訓練「キーン・ソード」に参加し、日本をはじめインド太平洋地域の各国部隊と訓練を実施しました。広いインド太平洋地域の平和と安定を維持するためには、志を同じくする地域各国との協力が不可欠。アメリカ海軍は国際共同訓練や単独での哨戒活動を通じ、地域における関与を内外に示しています。

<出典・引用>
アメリカ海軍太平洋艦隊 ニュースリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)