大雪の関越、せんべい「どうぞ」 積み荷配った運転手

高橋俊成
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 トラックの運転手さんにお煎餅(せんべい)をいただきました――。大雪で動けない関越道の車中から発信したツイッター投稿がSNS上で話題になっている。「こんな時のやさしさを多くの人に知ってもらいたかった」と投稿者の女性(25)は電話取材に語ったが、18日も立ち往生は続いており、一刻も早い復旧を待っている。

 「関越道で立ち往生して22時間が経ちました。支援は一度もきていません。その代わりトラックの運転手さんに、会社から承諾を得たからとお煎餅(せんべい)をいただきました」。女性が17日午後6時半ごろに投稿すると、18日正午時点でリツイートが約1万回、2万6千以上の「いいね」がついた。「素晴らしい取り組み」「粋な計らいだ」などのコメントもみられる。

 女性は、新潟市から群馬県高崎市へ仕事で向かっていた16日午後8時ごろ、新潟県南魚沼市内の関越道で渋滞に巻き込まれた。「雪はどんどん積もるし、独りぼっち。ずっと泣いていました」。雪に降られながら、排ガスが逆流しないよう、こまめに車を降りて排気口付近の雪を取り除いた。食料はほとんどなく、わずかにあったチョコレートでしのいでいた。

 「ずっと食べていないんでしょ? あとで何か持ってくるよ」。17日午後6時過ぎに声をかけてくれたのが男性トラック運転手。持ってきてくれた米菓を2袋すぐ食べた。米菓はトラックの積み荷だったという。

 この米菓のメーカー・岩塚製菓(新潟県長岡市)によると、17日に運送会社からトラックが立ち往生していると連絡があり、運転手らの健康を考慮して積み荷の米菓を食べたり、配ったりしてもいいことにしたという。同社の担当者は「巻き込まれた人の健康が心配。一刻も早く状況が改善して、安全に帰宅できることを願っています」と話した。(高橋俊成)

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