ヒトメボ

  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク
  • コメント入力フォームに移動する
  • 評価フォームに移動する
読了時間:約4分

最近はあまり聞きませんが、かつてはエリマキトカゲやウーパールーパーなど、珍しい生き物が流行することが度々ありました。'70〜'80年代には「シーモンキー」という生き物が流行しましたが、ご存じでしょうか? 今回は、このシーモンキーについて調べてみました。

シーモンキーはなぜ流行った?

シーモンキーは、1957年にアメリカの通信販売業者ブラウンハットが『インスタントライフ』という商品名で売り出したのが最初です。これが1962年には『シーモンキー』と名前が改められたといわれています。日本では1971年に玩具メーカーのテンヨーが輸入し、シーモンキーの名前で販売を始めました。当時の広告には「タイムカプセルにのってきた!」というキャッチコピーが書かれており、子どもの好奇心をくすぐったのです。これがきっかけとなり、日本でシーモンキーブームが起こりました。なお、現在テンヨーでは「シーモンキー」の育成キットを取り扱っていないとのこと。

シーモンキーは、生物学的にいうと小型の甲殻類の一種「アルテミア」を改良した品種で、小型のエビのようなプランクトンです。アルテミアはヨーロッパや北アメリカ内陸にある塩水湖に生息するといわれており、手に入れやすい動物プランクトンとして魚の餌などに使われています。

特徴としては、14回の脱皮を行い、大きい個体で2cmほどまで成長します。その姿は細長く、節足動物特有のたくさんの足を持ち、体は白っぽく透明感があります。エイリアンのような見た目ですが、水中を漂う姿をかわいいと思う人もいるかもしれませんね。

シーモンキーは水中で生息する生物ですが、卵は乾燥に耐性を持っています。生まれた場所の環境が悪化しても乾燥した状態で長期間休眠し、環境が回復した後で卵からかえって活動を開始することができるのです。この性質があるからこそ扱いやすく、大ヒットしたといえるでしょう。

当時、学研の付録として子どもたちに馴染みがあった

「シーモンキー」が流行した当時は、以下のようなルートでキットを入手することができました。

学習雑誌の付録

ガチャガチャのおまけ(シーモンスター)

通信販売

例えば、1970年にテンヨーが発売したキットは通信販売によるものでした。また、『学研の科学』を購入していて、付録として入手した「シーモンキー」(「アルテミア水族館」として付いていました)を育てたことがある人もいるのではないでしょうか。また、おもちゃ屋などに設置されていたガチャガチャで手に入れたという人もいるかもしれませんね。

現在は一般的な熱帯魚の餌として「ブラインシュリンプ」という甲殻類の一種が販売されています。「アルテミア」とも呼ばれており、現在入手できるものとしてはこれがかつてのシーモンキーに近いといえるでしょう。

どうやって飼ってた?

テンヨーが販売していた「シーモンキー」の育成キットは、「培養液のもと」「卵」「リビングプラズマのもと」「餌」で構成されています。育て方は以下のような手順です。実際に育てたことがある人は懐かしく思うかもしれませんね。

1.容器(キットの容器が水槽になります)に水を入れる

2.培養液のもとを加え、24〜36時間置く

3.卵を入れてかき混ぜる

4.別に作った「リビングプラズマ※」を加える

※「リビングプラズマ」は沸騰させた水を冷まし、リビングプラズマのもとを加えた液体。海水に近い塩分濃度の水です。

この手順でシーモンキーが生まれ、育てられる環境が整います。あとは、水が腐らないように餌をあげたり、水が指定されている量よりも減ったら水を加えたりするだけで、シーモンキーを飼うことができます。

'70〜'80年代には、シーモンキーに夢中になった子どもがたくさんいました。実際に雑誌の付録などで育成キットを手に入れ、育ててみたことがある人もいるでしょう。実は今でも似たような生物を育てることは可能です。大人になった今、育ててみるのも楽しいかもしれませんよ。

取材協力:株式会社テンヨー

(C)Hans Hillewaert

(C)Phot:Tenyo Co.,Ltd., all rights reserved.

(藤野晶@dcp)
  • twitter
  • facebook
  • line
  • はてなブックマーク

評価

ハートをクリックして評価してね

評価する

コメント

性別

0/400

comments

すべて見る >

ライター

藤野晶@dcp

あわせて読みたい