「切手シート」のモックアップ(模型)を自作したツイートが大きな話題を集めています。こちらを制作したグラフィックデザイナーの辻尾一平さん(@keltoto)にお話を聞きました。
「迷わない切手シート」と題されたデザイン。そこには、定形郵便用84円切手・94円切手、定形外郵便(規格内)用120円切手・140円切手が4枚ずつ描かれ、グレーとグリーンに分けて配色。サイズの目安・細かなサイズ規程・重さを記載し、それぞれの場合にどの切手を使えば良いのかわかるようガイドされています。シート上部には、透かしで封筒の種類表示も入っており、下部には定形外郵便(規格外)の重さと金額表記もきっちり。封筒を郵送する際に必要な情報がこのシート1枚で網羅されているデザインです。
「横にmmの物差し付けてくれるといいね」
「封筒の形も描かれていて普通郵便初心者にとても優しいデザインですね」
「このデザインで、切手を分別できるケースを作られたら即座に買います…」
「これ大変良き」
「是非販売してほしい」
「素晴らしいアイデアですね」
など、ご覧になった方からも称賛の声が寄せられ、4.9万件のいいねがついています。
辻尾さんは1992年生まれ、大阪出身のグラフィックデザイナー。成安造形大学卒業後、建築設計事務所やデザインオフィス勤務を経て、2019年に独立。2022年に自身が立ち上げたTOAL inc.で企業のデザインワークのほか、自作のオリジナルプロダクトを発表するなど多岐にわたり活動中です。
辻尾さんにお話を伺いました。
――どういったきっかけでこちらの切手シートを?
郵送する際によく迷って調べるので、切手とガイドを一体化することでストレスが減らせるかなと思ったのが始まりです。
――63円のハガキ用は含まず、封筒向けの組み合わせにした意図は?
はがきは変形サイズでない限り一律料金なのと、料金別納郵便で送ることが多いので、別になくても良いかなと思い今回の仕様にしてみました。
――透かしで入った封筒イラストに細やかな気遣いを感じました。
制作する過程で入れた方が伝わりやすいなと思い入れました。封筒の種類が分かっているとわざわざ測る必要もないので。
「サイズ」より先に「目安」を入れたのも同じ理由です。測るのは結構面倒くさいので、できるだけ測らなくて済むように情報整理しました。
また、封筒のイラストを文字の背景として入れたのは省スペースのためです。上部のガイドの割合が大きくなってしまうと「切手シート」として不恰好な気がしたので。
――色やフォントも美しくわかりやすいです。
色はあくまでモックアップと割り切って結構適当に決めています。ガイドが入っているので事務的な印象にならないように少し多めに色を使いました。
実際に使われる場面を想定すると、文字はもっと大きく、緑と赤の組み合わせは色弱の方には判別がつきにくいので、別の色を検討する必要がありそうですね。
――切手の柄にモチーフなどはありますか?
柄のイメージは特にありませんが、色味は左から春夏秋冬をイメージしたカラーリングにしています。
――製作期間(時間)はどのくらいで?
2日ぐらいです。
――もし切手のデザイン公募などあれば応募してみたいですか?(※現在、切手のデザインはすべて日本郵便株式会社が制作)
単に印刷部分のデザインではなく、プロダクトとしての切手のデザインでしたら興味があります。
――過去のツイートから「円切手」や「点で繋がる切手」のお写真も拝見いたしました。元々切手のデザインにご興味が?
切手に執着があるわけではないのですが、平面なのでアイデアさえあれば簡単にモックアップができてしまうという部分が大きいです。切手はグラフィックとプロダクトの中間のような存在ですね。
――ツイートにたくさんの反応がありました。
横にスケール(メモリ)をつけるというご意見が盲点でした。左辺・下辺・右辺の順にひと続きにメモリをふれば、角を支点に回転させてかなりの長さを測れそうですね。
――普段から制作のために心がけていらっしゃることなどありますか?
クライアントに見せたり、世に出したりする前に、まずは自分が納得することを心がけています。
――今後やってみたいことは?
仕事だと、グラフィックかプロダクトで明快に分かれることが多いので、平面と立体の中間的な表現で作品展をやってみたいですね。
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辻尾さん独自の視点から生み出されるプロダクトや、洗練された企業ロゴ・サインなどはどれも目をひくものばかり。今後の展開にも注目です。商品化したものはホームページから購入することも可能。「珈琲牛乳のグラス」はLOFT(11店舗)にて現在販売中。
【辻尾一平さん関連情報】
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