どんな議論だったの? 最賃28円増、労使の受け止めは
今年の最低賃金の引き上げ額の目安は、厚生労働省の中央最低賃金審議会での協議の結果、全国一律28円の引き上げでまとまりました。これから都道府県別の地方審議会が、この目安を参考に、実際の引き上げ額を決める議論に入ります。
ただし、審議の過程では、引き上げに反対する使用者側の一部委員が例年とは異なる採決を求め、最後まで反対の意思を示し続けるなど、しこりも残りました。
この結果をどう受け止めたのか。労使それぞれの記者会見の内容を紹介します。
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日本商工会議所の三村明夫会頭
中小企業を代表する立場にある日本商工会議所の三村明夫会頭(日本製鉄名誉会長)が16日の定例記者会見で、今回の中央最低賃金審議会の決定について語った主な内容は次の通り。
「最初から政府の意向に配慮」
――最低賃金の目安が28円の引き上げと決まった。現行水準の維持を訴えてきたが、今回の決定をどう受け止めているか。
「どうして3.1%(の引き上げ)に至ったのか。ちゃんと具体的な理由を書いてくれ、と(日商選出の委員から)強く要望した。(目安に関する公益委員の見解に)『経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)と成長戦略実行計画に配意した調査審議が求められたことについて特段の配慮をした上で、総合的な審議を行ってきた』と書いてある。私はここに注目している」
「言ってみれば、3%(の引き上げ)、できるだけ早く1千円を上回るということに配慮したと書いてあるわけだ。対立する使用者側と労働者側に対して、公益委員が中立的な意見を出すという構図がずっと続いてきたが、実はそうじゃないんだと。公益委員は最初から、政府の意向に十分配慮したと言っている。ここに非常に大きな問題を感じている」
「最低賃金審議会でいくら議論したって、政府方針に十分配慮すると堂々と書いてある。我々の意見はまったく(結論に)反映されていない。最低賃金はそもそも何のためにあり、どういう役割を果たすべきなのか。客観的な事実も踏まえながら、どういう審議を通じて最低賃金を導き出すのか。この二つについて、重大な懸念を感じざるを得ない」
「各地の商工会議所や飲食業界から懸念の声が出ている。我々は最後まで反対の票を投じた。今後、審議は地方に移る。我々の意のあるところは、それぞれの地方の審議会で十分述べてくれと頼んでいる」
――審議会で日商選出の委員が採決を求め、反対の意思表示をした。極めて異例の対応をとった意図は。
「最終的に全員一致という形で決着してきたということは十分知っているが、議論のプロセスについて非常に疑問を持っている。改革せざるをえないだろう。あえて問題提起をするために、反対の挙手をした。今後の審議会のあり方について、何らかの検討会が開かれると思う。基本的なあり方の議論につなげていただければありがたい」
――政府の「骨太の方針」に配慮して議論して決めていくことの何がいけないのか。
「客観的な使用者側の支払い…
- 【視点】
今年の議論に限定すれば、日商の三村会頭の言い分は理解できます。ただ、昨年の議論と合わせて考える必要があります。 最低賃金の議論が始まる時には、その春の小規模企業の賃金改定状況のデータが出されます。かつては、このデータが結論に大きく影響
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