飲食店チェーンで、ご飯おかわり無料のセルフサービスのために席を立ったら、その間に、おかずが盗み食いされる――。インターネット上で、そんな都市伝説「おかずスティール」がまことしやかにささやかれている。
「おかずスティールまじむかつく」
「ワイはハンバーグやられたで」
「前おかずスティールされたから警察呼んだわ」
もともとはネット上のネタだったが、真に受けた一部の人が本当に実行していると言われている。真偽は定かではないが、飲食チェーン「やよい軒」の一部店舗で、4月16日から「ごはん有料化」が導入されると報じられたときも話題になった。
●おかずスティールは窃盗罪にあたる
せっかくご飯をおかわりしたのに、おかずがない――。おかずスティールの被害者からすればたまったものではないだろう。飲食店からしても絶対にしてほしくない行為だ。西口竜司弁護士は「おかずスティールは窃盗罪にあたります(刑法235条)」と話す。
「おかずは注文して自分のものになっているわけですから『他人の財物』にあたります。また、おかずを食べる行為は、おかずを自分のところに持っていくものですから『窃取』にあたります。したがって、窃盗罪ということになります。
結局のところ、他人の物は食べてはいけないということです。ちなみに、バイキングで皿に盛ってきたものについても同じことなので注意してください。世知辛い世の中になりました。今日のランチ、気をつけます」(西口弁護士)
●ご飯有料化とおかずスティールは関係なかった
やよい軒を展開するプレナス社は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、ご飯おかわり有料化の背景を次のように説明した。
「顧客層の変化に伴う、ごはんおかわりのテストマーケティングになります。以前はおかわりをされる方が7割くらいいらっしゃいましたが、家族連れや女性客などの幅広いお客様が増え、おかわりをされる方が半分以下になってきたことも受け、テストをおこなっております。テストは5月末迄となっております」(同社広報)
また、同社広報は、おかずスティールについて「詳しくはわかりかねます」と回答。今回のご飯おかわり有料化とも「関係ございません」ときっぱりと否定していた。いずれにせよ、マナー以前に罪に問われる行為なので、くれぐれも真似しないでほしい。