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最近、父親と子どもだけで父方の実家に帰省する「父子帰省」が注目されているそうだ。「教えて！goo」にも「この時期に妻たちが1番、頭が痛くなる行事が迫ってます。夫の実家へのお正月帰省です」と、夫の実家へ帰省することを憂鬱だと感じている妻から「本音は父子帰省をして欲しいが、妻は無理をしてでも行くべきだろうか」と質問が寄せられていた。そこで、子育てや人間関係が専門で、パーソナリティーコンサルタントでもある横山人美さんに、「父子帰省」のよい点や注意点などについて話を聞いてみた。■父子帰省のよい点
父子帰省のよい点とは、具体的にどのようなところだろう。
「第一に、妻（母親）が子育てや家事から一時的に解放されることではないでしょうか。男女雇用機会均等法が浸透し、お父さんも積極的に子育てに参加する時代になったとはいえ、家庭内のお母さんの負担はまだまだ大きいです。自由になれる時間がもらえるのは貴重ですね」（横山さん）
確かに、主婦が数日間でも子育てや家事から解放される機会は、なかなか持てないかもしれない。
「次に、気疲れなく過ごせることでしょうか。たとえ嫁姑問題が良好な関係であっても、血縁関係がないというだけで『お互いに気を遣う相手』になって当然です。特に、日頃から父親が嫁と姑の板挟みになることが多い場合は、父子帰省により、父親、迎える家族、家に残る妻（母親）それぞれの精神的負担が減りますね」（横山さん）
なるほど、夫婦（父母）にとっても夫の実家にとっても、よいと感じる点は少なくないのだ。
■子どもと父親の組み合わせならではの注意点
横山さんは、「今は昔と違って父親も育児に積極的で、母親より細やかな子育てをする人も増えていて感心することがあります」と話しながらも、父子帰省の注意点を挙げてくれた。
「車で帰省する際の車内の安全確認でしょうか。ドアや窓が確実にロックされているか、シートベルトが正しく装着されているか、お子さんをチャイルドシートに正しく乗せられているかなどは、出発前にしっかりと確認しましょう。特に道中は、あらゆることを父親一人で対応せざるを得ないので、お子さんの急な病気やけがの対処法、アレルギー食材の再確認、オムツやミルクの持参量についてなど、帰省前に妻（母親）と相談しながら準備しましょう」（横山さん）
特に、乳幼児は環境の変化や疲れなどから体調を崩しがち。日頃、子育てをしている妻の知恵をもとに、事前準備をしておくと安心だろう。
■迎える家族の心構え
父子帰省を迎える父方の実家側で、留意すべきことはあるのだろうか。
「先に、父子帰省は父親と迎える家族にとって精神的負担が減り、気楽と述べましたが、だからといって、完全に自分達が過ごしやすいようにしてよいという訳ではないです。日頃、子どもを大切に育てている母親の『子育てへの思い』を尊重し、自分達の価値観を押し付けることなく（母親も一緒に帰省しているときと同じように）過ごすとよいでしょう。祖父母などが、『昔の子育てはこうだった』、『我が家では◯◯だった』など、我流を語り出す場面があるかもしれませんが、そんなときは父親がその場にいない妻（母親）や家族のあり方について語り、理解を求めてみてはいかがでしょうか」（横山さん）
話題の父子帰省により、「複数の核家族から成る『拡大家族』から『核家族』へ、そして核家族の中の『個』を尊重しようという新たな時代の流れを感じます」と横山さん。
「この新たな『流れ』が互いにとってプラスになることを前提に、家族それぞれが、『一緒に過ごすことで互いに与え合えるよさ』や、『家族という信頼関係のもとに個になる自由のよさ』という両面について、理解を深め合っていくことが大切ですね」（横山さん）
今回は「父子帰省」について伺ったが、いかがだっただろう。年末年始、父子のみで帰省を考えているご家庭が、横山さんのご意見を踏まえ、夫婦（父母）や実家双方にとってメリットとなる“落としどころ”を見つけられたら幸いだ。
●専門家プロフィール：横山 人美
Keep Smiling代表。パーソナリティーコンサルタント、講演・セミナー講師。各種メディア執筆やテレビ出演など多数。前向きな発達障害とのかかわり方を始め、子育てや人間関係の悩みが楽になる心理学を伝えている。
