■明らかに自分の能力を超えた仕事を振られた場合の対処法
明らかに自分の能力を超えた仕事を振られた場合、そのままにしていても、事態は時間とともに悪化する一方だ。そんなときはどうすればよいだろう。
「『できない』と思っても、ストレートに最初から『無理です、できません』と言ってしまうのは避けましょう。時間的な問題ならば現在の状況を伝え、優先順位を確認します。そしてヘルプしてくれる人をつけてくれるようお願いしましょう。 経験が少なく能力的に難しい場合は、どこまでだったらできるのか、代替案を提示します。そのまま引き受けては、上司はもちろん会社にも迷惑をかけてしまう恐れがあることもちゃんと伝えた方がいいですね」(三上さん)
例えば「この部分までであれば対応できます」「○時までであれば対応できます」などと回答するのが好ましいという。
ちなみにもし引き受けなければならず、自分が窮地に立たされたとしても、普段から積極的に人のサポートをしたり、こまめなコミュニケーションをとっていれば、助けの手が差し伸べられると三上さん。どんなときもコミュニケーションが大切なのだ。
■自分を犠牲にすればなんとか対応できるレベルの場合は?
なんとか残業や早朝出勤をすればやれそうなボリュームの仕事の場合、引き受けるのはどうだろう。
「上司が申し訳なさそうな態度で、他にあてもなく困っている様子が感じられるのであれば、一肌脱ぐのもチームとして仕事をする上では大切です。結果、自分が困っている時にも助けてもらえるでしょう」(三上さん)
しかし安請け合いは、その後も無茶振りをされ続ける可能性がある。相手がやって当然のような振り方であれば、やはり、冷静に断る理由を伝えたり、代替案を提案するなどの対応をしたほうがよいと、三上さんは教えてくれた。
■無茶振りされないための予防策
さらに、上司から無茶振りされない予防策がないか聞いてみた。
「無茶振りしてくる人は、頼む相手の仕事の状況を把握していないことがほとんどです。ですから、自分はこんなことをしていて、いつまでに終わらせる必要があるなどを、具体的かつこまめに、タイミングを見て話しておくことも予防策になります。 それでも気づいてくれないときは、信頼している先輩や上司に相談するのもよいでしょう」(三上さん)
ただし、相談事も陰口のように伝わると話をややこしくするので、その場合の相談相手はよく見極めたほうがよいようだ。
無茶振りであっても、仕事を引き受けることで成長に繋がることもある。断る場合も、表情や言葉の抑揚などで「力になれず残念です」という気持ちをしっかり伝え、人間関係が壊れないよう細心の注意を払いたい。
なお、「教えて!goo」では「あなたがこれまでにされた仕事の無茶振りはなんだったのか教えて!」とみんなのエピソードを受付中だ。
●専門家プロフィール:三上ナナエ
NPO法人日本サービスマナー協会ゼネラルマネージャーマナー講師。著書に『仕事も人間関係もうまくいく 「気遣い」のキホン』『図解でわかる! ビジネスマナー』等がある。