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2018年08月10日15:34

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パンスターズ彗星(C/2017 S3)の崩壊

 7月中旬にバーストによる急増光を見せ、一時は7等級に達したパンスターズ彗星。20日に明るくなったところを都内から撮影した後は、9等級への減光という情報と台風による悪天候からもう撮影する機会はないと考えていました。しかし30日明け方、良好な透明度に恵まれたこと、彗星の位置がぎょしゃ座の近くで明るい星を起点に容易に導入できる条件だったことから、再び都内からの捕捉に挑戦してみました。

崩壊したパンスターズ彗星@都内 Comet PanSTARRS (C/2017 S3) Remnant
フォト

2018年7月30日03時30分、15秒露光×64(総露出16分)、トミーテックBORG 100ED(f=490mm,F4.9, 自作レデューサー使用)、キヤノンEOS Kiss X6i改造機 (ISO1600,JPEG) 、LPS-D1+LPS-V4フィルター使用(2枚重ね)、GPガイドパック赤道儀、東京都足立区にて

※1800万画素のうち、630万画素相当の範囲をトリミング。


 彗星は元画像でも緑色の雲状に写っているのがわかり、パッと見では健在なように見えました。しかし、拡大表示すると、20日の撮影時には明確にあった恒星状の芯が見当たりません。撮影した64コマの画像を、シミュレーションした彗星の運動量を元に位置合わせをして画像処理してみましたが、彗星独特な青緑色はあるもののやはり集光した芯は見当たらなく…後方にやや伸びたのっぺりした姿のままでした。光度変化の振る舞いと引き伸ばされたようなのっぺりした姿から、彗星核そのものが崩壊してしまったのでは?と解釈しました。

 彗星核の崩壊で拡散・減光に向かうとみられることや地平高度が日に日に下がり続けることから、これがこの彗星を写せる最後になると思っていましたが……2日後の8月1日明け方、再び真夏としては澄んだ空になったのでもう一度撮影してみました。

フォト

2018年8月1日03時33分、15秒露光×64(総露出16分)、トミーテックBORG 100ED(f=490mm,F4.9, 自作レデューサー使用)、キヤノンEOS Kiss X6i改造機 (ISO1600,JPEG) 、LPS-D1+LPS-V4フィルター使用(2枚重ね)、GPガイドパック赤道儀、東京都足立区にて

※1800万画素のうち、630万画素相当の範囲をトリミング。

 彗星像は、2日間でさらに淡くなっていました。紡錘形の雲状で、内部に引き伸ばされたようなやや明るい部分があるものの、のっぺりしたとらえどころのない姿です。全体的な輝度が下がっていることから、拡散・減光が進んでいるようでした。もし透明度の良い好天に恵まれたら5日頃まで追跡してみるつもりでしたが、2日以降は急激に透明度が悪化したため、結局この1日明け方の写真が私にとってのパンスターズ彗星(C/2017 S3)のラストショットになりました。

 このパンスターズ彗星はもう観測できないですが、来月にかけては21Pジャコビニ・ツィナー彗星が7等級まで明るくなると予想されています。天の川に沿うように移動していきますが、明るい星雲や星団と接近する場面もあり、望遠鏡や望遠レンズでの良い撮影対象になるでしょう。



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