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2018年05月28日02:16

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「 夏の祈りは 」 (須賀しのぶ 著)

 
高校野球を描いた連作短編集である。

著者の須賀しのぶさんは、「革命前夜」 で 【大藪春彦賞】 を受賞すると共に 【吉川英治文学新人賞】 の候補になり、「また、桜の国で」 では直木賞の候補に挙げられたりしているが、高校野球を題材にした文庫オリジナル作品を4冊も出されています。

私は、今作より前に刊行された3冊とも面白く読み、その内の1冊は感想日記まで書いたが、本書は、購入する前、” 今回はパスしてもいいかな ” と少し迷ったものだった。何となくマンネリ感を抱いてしまい。
結局、文庫で安価だし、青春18きっぷで遠方の映画祭へ往復する際には文庫の方が荷物にならなくて助かるからと入手したのだが、結果は大正解。
これまで以上に惹き込まれ、最後の一篇のクライマックスでは目頭が熱くなり、鼻の奥がつんとなって、たまらず本を閉じ、鼻をかまなければならなくなったほど。

” 高校野球ものの名手!”

一作ごと、ますます磨きがかかっていくのでは。
毎年、このシリーズの新作を執筆し続けてほしい。
次作からは、迷うことなく購入していきますから。

閉じた本を再び読み始めたものの、それから僅か1頁、本書がなぜこのタイトルになったのか明らかにされるくだりで、今度は頬まで濡らしてしまったのだった――。

読み終わった後、この感想を書くに当って調べてみると、本書は 【本の雑誌が選ぶ2017年文庫ベストテン】 で 1位に輝き、【2017オリジナル文庫大賞】 も受賞しているではないですか!
納得。

読む前に分っていたなら、ハードルを高くしてしまい、これほど心を打たれなかったかもしれません。
知ったのが後で、本当に良かった。

須賀さんは、本シリーズより先に、「ゲームセットにはまだ早い」 というクラブチームを舞台にした野球小説を書かれており、とても魅了されて感想日記を熱く記したものでした。
高校野球に限定せずとも、とにかく野球界を描いた新作を、今年も送り出してくれますよう!

 
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