『
15時17分、パリ行き』
クリント・イーストウッド監督による実話ヒーローものの映画化。
2015年8月にパリ行の高速鉄道で起きた無差別テロに立ち向かった3人の若者の話というのだから記憶に新しい人もいるのではないか。
ただし、これまでの実話物と違い賛否が分かれるかもしれない。…というのは、主人公らを本人が演じているという点だけでなく、全編が緊張感あふれるサスペンスタッチとは異にしているから…。
予告編を見る限り、『新感染 ファイナル・エクスプレス』のテロリスト版のようになるのかと想定していた。
実際は3人の青年を掘り下げて描き、友情にフォーカスした構成になっていたことだ。
監督は真実を描いているというが、一人の部屋に貼ってあった『フルメタル・ジャケット』『硫黄島からの手紙』のポスターもそうなのだろうか。
欧州旅行のくだりには違う映画に入り込んだのかと思ったくらい。(笑)
幼少期は別の俳優が演じているのだが、青年期以降は本人が演じる。
お世辞にもうまいとは言えない演技は監督も想定内だったろう。
だが素人臭い芝居を笑い飛ばせたとしても、いざ事が始まってからこの3人のように決断と行動ができるのかと問われたら返答に窮するのではないだろうか。
もちろんこういう形でヒーローにならない世の中であることが望ましいとは思うが、現実はそれを許さない。
乗り合わせたのは偶然かもしれないが、結果は必然であったのではないか。
まさに虚構と現実がリンクするところに本人起用の意図の一端があったのではないか。
いくつになっても挑戦し続けるクリントの姿には脱帽。
試写会@神楽座(初めて!)
3月1日公開
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