ホームラン多き選手は三振もまた多いのだ俺はやめない 武富純一『鯨の祖先』
いつもお世話になってゐる武富さんの歌集の代表歌より。
この短歌に詠まれてゐる内容が事実かだうか、
実際の記録を2014年度のNPB一軍(セリーグ・パリーグ)及び
2014年の東都大学野球一部リーグ春秋の実際の記録を
抜き出して分布図にまとめてみた。
結論から言ふと、打者には3タイプある。
NPBで年間25本以上の本塁打を打ち、本塁打王を争ふ選手は確かに三振も多い。
しかし0〜25本あたりまでの選手には本塁打数と三振数に有意な関係性は見られない。
東都大学野球一部リーグでは逆に本塁打の多い選手は三振は少ない。
つまりこの歌で述べられた情報は、嘘とは言へないまでも
非常に限られた層の選手のみを対象とした言葉と言へる。
勿論、そのこと自体がこの歌の短歌としての価値には全く影響しない。
その情報が嘘であれ本当であれ、この歌は私が好きな野球詠の一首である。
※1:図中、ともに縦軸が三振数・横軸が本塁打数。
打席数との比率でも集計したが大きな差はなかった。
※2:NPBの他で東都一部リーグを選んだのは、リーグ戦形式で
野球のレヴェルが平均的に高く、公開データが揃ってゐるため。
東京六大学では、東大の扱ひの難しさから敢へて選ばず、
関西学生ではHR数が少な過ぎて統計的比較ができなかった。
※3:東都大学リーグの試合数は、年間20〜30試合とNPBの約1/5程度で
NPBと直接的な成績数値の比較はできない。
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