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労働者の街、山谷(ヤマ)

労働者の街、山谷(ヤマ)

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もし東京都の台東区や荒川区にある山谷地域を歩いたら、道路で大の字で寝ているおっちゃんや、ただただ座り込むだけの人や、午前中から車座になって酒を飲んでいるところに遭遇するかもしれないし、将棋や博打で盛り上がる一群を発見するかもしれない。つまり、その地区を歩けばホームレスが多いとあなたは感じるだろう。

でも路上で寝ている人のことを"ホームレス"と言ったら、もしかしたらおっちゃんたちは怒るかもしれない。俺たちは日雇い労働者だ、と。

山谷のある行政機関で働く人は、そこら辺で寝ている日雇い労働者のことをつい"ホームレス"と形容した私に対してとても嫌な顔をし、「この地区にいる日雇い労働者とホームレスは違います。ホームレスは働きません。しかし彼ら(日雇い労働者)は路上で寝ていても働きます」と言った。

まず「ホームレスは働きません」という考えが間違っている。その人は山谷の労働者への思い入れが深い分、ホームレスに対する偏見も大きいのではないだろうか。ホームレス全員が物乞いをしているわけではない。全員がエサを漁っているわけでもない。山谷にいる労働者だって"このまま仕事が無ければ外で寝てエサを漁る生活になっちまうな"と言っている。

平成15年の国の調査では、39.8%の人が路上生活をする直前まで常勤職員・従業員(正社員)で働いており、日雇い労働をしていたという36.1%を上回る結果になった。つまり寄せ場などを経由せずに定職を失ったと同時に路上に出るという流れの人が多くなっているのである。

そういう違いはあっても、公園で寝ている人が日雇い仕事に行くこともあれば、山谷地区にいる人がダンボールで寝ることもあるし、そこに境界線があるとすればそれは当事者個々の価値観やプライドの問題であって、状況だけを見ればその境界線は無くなりつつあると私は思っている。

高度経済成長を担ってきた労働力が売買がされた歴史ある人寄せ場は、ドヤといわれる簡易宿泊所が密集している。(名古屋の笹島や東京の高田馬場など、ドヤがない寄せ場も存在する)

有名な日本の三大ドヤ街といえば大阪の釜ヶ崎(現在は釜ヶ崎という地名は存在しないが、住民は今でも釜ヶ崎、釜などと呼んでいる。西成区荻之茶屋近辺で面積約0.62k?、人口約30,000人という過密地域。ドヤは周辺地域を合わせ約200軒、最大収容人数は17,000人を上回る 参考:大阪市保健福祉局)、横浜の寿(寿町という地名は今も存在するが、俗に寿というとその近辺の地域も含める。面積約0.06k?、人口約6,500人。ドヤは約100軒。 参考:寿にある各支援団体ホームページ)、そして東京の山谷(釜ヶ崎同様に現在は山谷という地名は存在しない。41年に町名としての山谷が消滅したが、現在も住民は山谷と呼ぶ。泪橋交差点を中心に、台東区・荒川区にまたがる簡易宿泊所の密集した地域で面積は約1.66k?。ドヤは周辺地域を合わせ約180軒 参考:東京都福祉保健局)である。

ドヤの語源は「人が住めるようなところではない」ということから住人が自嘲的に"ヤド"をひっくり返して"ドヤ"とよんだことが始まりらしい。

ドヤの料金は700〜3,000円ぐらいで、安いものだとベッド式(蚕棚のようだという)で8人部屋のところもあり、老朽化が進んでいる。テレビや冷暖房が完備されている個室式は1,000円代後半〜といったところだろうか。

山谷では10年ほど前から、釜ヶ崎でも5年ほど前から宿泊客のターゲットを日雇い労働者から外国人のバックパッカーをはじめとした観光客へ転換した。2005年4月からは横浜の寿でもこのような試みが開始されている。

帰る場所があって、温かい家庭があって、家族や愛する人との縁が繋がっている人間がドヤに泊まっても山谷の何かが分かるというわけでもないのだが、ものは経験、とりあえず高級ドヤ(ホテルと謳っているからホテルなのだろう)に泊まってみることにした。

最初はそれほど悪いイメージを持っていなかった山谷地区だが、自分の周りの人に危険だ危険だと言われるたびにどんどん不安が大きくなっていく。とりあえず女性が山谷地区に泊まるのであれば山谷を良く知る人に聞くか、ホテルに問い合わせて女性の宿泊客がいるか聞いたほうが良い。少なくとも3,000円以上のところにするべきだ。男性でも "都内の安い宿泊所"という理由だけで泊まろうとすれば、値段が安ければ安いほどその設備と狭さと衛生状態に驚いてしまうだろう。2,000円以下では個室でないことも覚悟しなければならない。

2002年日韓合同で開催されたサッカーのワールドカップで多くの外国人サポーターが宿泊したというこのホテルは、外国人のツーリストが多いことで有名。インターネットのホームページ(英語・韓国語・台湾語・ドイツ語ページもあり)から割引券を印刷していくと一泊3,200円のところ、2,980円になった。

フロント(と言ってもラブホテルの受付がガラス張りになっているような感じ)で名前を記入し鍵を受け取る。自動ドアを抜けると5台のパソコンが置いてあり、2人の白人系の外国人が利用していた。無料で利用できる。日本語対応していないパソコンもあるから驚く。

1週間前に予約の電話を入れた時点で女性専用フロア(2階)はすでに満室。長期滞在者がいるようだ。かなり遅い速度のエレベータのドアが8階で開き、私は3畳の部屋に不安を持ちながらも胸を高鳴らせドアノブを握った。

ドアを開けたその瞬間、大きめの窓から陽が差し込むその部屋は清潔で「いい!悪くないかも!」と思った。すでに布団は敷いてあって、荷物をその横に置いたら残されたスペースはほんの少し。

「うーん、やっぱり狭いかも」と思いつつも、テレビも冷蔵庫もエアコンも小さなテーブルも全部が手に届く範囲にあるのは居心地が良さそうに見えた。それでもどこか微妙に圧迫感を感じ、予定よりも早い時間に外出することにする。

部屋に戻ったのは21時半頃。布団の上に大の字になる。と、突然不安に襲われる。それを振り払うように急いでシャワーの支度をして2階に下りた。ちなみにお風呂は時間で男女が入れ替わる大浴場のほかに24時間使用可能なシャワールームがある。シャワールームといっても不透明の電話ボックスを想像してもらえればよいと思う。体を屈めることも難しいような狭さだ。

再び部屋に戻ってテレビをつけたがどうしても不安が抜けない。とにかく寝てしまおうと思うのだが眠れない。やっぱり狭い!圧迫感がある!落ち着かない!

隣にあるコンビニにダッシュし、ビールを購入、ガーっと飲んで叫びそうになる自分を抑えて寝ようと試みる。目はさえたまま鼓動が激しく嫌な時間を過ごすが、ウトウトしても窓の外が誰でも通ることが出来るベランダだったため、物音がするたびに3回も4回も目を覚ましてしまった。熟睡はできなかった。

女性専用の2階フロアにある部屋は全部のドアに「定員2名」のシールが貼ってあったのでどの程度の広さなのか気になっていた。そのうち部屋のドアが偶然開いていたのでのぞいてみたが・・・なんと3畳だった。日常生活品が棚のようなものにびっしりと並べられ、アジア系だと思われる女性が2名その部屋に入っていった。どんな風に寝ているのか不思議でならない。

「三畳の個室式宿屋は、窮屈な住居が原因のさまざまな臨床抑鬱症の防止に最低限必要である日本の心理学者が考える空間よりも狭い」(エドワード・ファウラー著『山谷ブルース』より)そうだから、私が単なる寂しがり屋(もうすぐ三十路です!)でも閉所恐怖症でもないことが分かっていただけるとありがたい。

よく4畳半のアパートに生活していたなんて人もいるけれど、そこに小さくてもシンクがあったり、トイレやシャワーのドアがあったりすれば感じる広さは違うかもしれない。やはり3畳で四方が壁という圧力は大きい。

ただここが"山谷地区である"ということが精神的な疲れを増長させたのは間違いない。

一畳分の寝息も筒抜けのプライベート空間しかない格安なドヤで生活をしている人ならば、いくら3畳でも個室の生活は最高なのかもしれないが、やはり自分は当然ながら今までの生活レベルと相対して考えてしまっただけだった。



つぶやき(大石太)
ちょっとした文(櫛田佳代)
http://www.geocities.jp/kushidasite/index.htm

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2004年12月08日
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