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トリアージ(Triage)

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詳細 2017年4月29日 23:29更新

「トリアージ(Triage)」は、人材・資源の制約の著しい災害医療において、最善の救命効果を得るために、多数の傷病者を重症度と緊急性によって分別し、治療の優先度を決定すること。特記すべきとして、優先度決定であって、重症度・緊急度決定ではない。すなわち、人材・資材が豊富にある平時では最大限の労力をもって救命処置され(その結果、救命し社会復帰す)るような傷病者も、人材・資材が相対的に不足する状況では、全く処置されない(結果的に死亡する)場合があるということが特徴である。語源はフランス語の「triage(選別)」から来ている。適した和訳は知られていないが、「症度判定」というような意味。ただ、一般病院の救急外来での優先度決定も広義のトリアージであり、識別救急(しきべつきゅうきゅう)とも称する。

【概要】
 「トリアージ」は災害医療等において、大事故、大規模災害など多数の傷病者が発生した際においての救命の順序を決めるため、標準化が図られて分類されている。「トリアージ」は最大効率を得るため、一般的に直接治療に関与しない専任の医療従事者が行うとされており、可能な限り何回も繰り返して行うことが奨励されている。その判断基準は使用者・資格・対象と使用者の人数バランス・緊急度・対象場所の面積など、各要因によって異なってくる。一般的に、複数個の救急隊が出場する事案であれば(例えば玉突き衝突事故等)、隊と隊の間の意思疎通・情報共有のためにもトリアージタッグが使用される。

【歴史】
 トリアージは元々はフランス軍の衛生隊が始めた物で、野戦病院におけるシステムであった。 その始祖はフランス革命でドミニク・ジャン・ラレィ(en:Dominique Jean Larrey)で、フランス革命後の数々の戦争において戦傷者を身分に関係なく医学的必要性だけで選別した、フランス語のtriage(選別)から始まっている。ドミニク・ジャン・ラレィ以前の戦場医療は患者の身分や社会的必要性において選別される物であり、重傷度に関係なく身分の高い貴族から優先して治療されていたが、フランス革命により民主主義が誕生したフランスでは身分に関係の無い純粋に医学的必要性のみによる治療の選別が始まった。

 フランス革命からナポレオン戦争の時代になるとトリアージの意味は変化し、軍事的必要性において選別する方式へと変質した。 重傷者は見捨てられ、兵士として戦線復帰が可能な者に医療資源を投入して早期の戦力回復を図る物になった。 社会的、軍事的必要性の高い人物に医療資源を集中して軍事、社会システム全体の維持を図る全体主義による差別型トリアージであった。 クリミア戦争ではトリアージで重傷者と判定された患者が悲惨な扱いを受け、満足な治療を受けられずに不衛生な重傷者用野戦病院で次々と死ぬ事態になり、これを救済したのがナイチンゲールであった。

【日本では】
 日本では明治21年に森鴎外がヨーロッパからトリアージのシステムを持ち帰っていたが、明治22年に陸軍衛生教程が編纂された時に、日本ではトリアージの導入を行わなかった、森鴎外や石黒たち当時の軍医のトップたちは、トリアージが赤十字国際条約で禁止されている差別的治療に当たるとして日本では導入しないことにした。しかし、野戦病院のシステムはトリアージを行うことを前提に構築されているためトリアージ無しではシステムが機能しなくなるという問題があり、日本では分類はするが優先順位はつけないという欧米のトリアージを変形させた物になった。 しかし、優先順位無しでは不便も多く、大正12年に石黒大介はトリアージを行わない建前で軍医関係者にだけ順位が分かるような隠語的な優先順位をつける方式へ変化させた。このシステムは満州事変で初めて大々的に行われた。日本式のトリアージは戦後に日本軍の解体と共に失われる。 なお、日本軍では「在隊治癒可能な微傷者」「自分で歩ける徒歩可能者」「担架で搬送しなければならない重傷者」「助かる見込みの無い死者」に分類していた。

 医療の倫理において非道とされるトリアージは民主主義思想の強い軍隊では導入を忌避されることもあり、アメリカ軍は第一次世界大戦から第二次世界大戦までトリアージに否定的だった。

 トリアージは傷病者が医療資源を超えてしまう野戦病院において行われてきた物で、本来は医療資源が豊富にあれば行う必要が無い。 このため、医療資源が豊富だったアメリカ軍ではトリアージの導入は遅く、初めて組織的導入が行われたのは朝鮮戦争の時であった。

 現代の救急医療におけるトリアージは野戦病院のシステムが民間医療に逆輸入されたものである。

【判定基準】
 大まかに以下の要件で判定される。
・総傷病者数
・医療機関の許容量
・搬送能力
・重症度・予後
・現場での応急処置
・治療に要するまでの時間

【判定分類】
 トリアージ・タッグの拡大画像判定結果は4色のマーカー付きカード(トリアージ・タッグ:不要な色の部分は切り取り、先端にある色で状態を表す)で表示して、一般的に傷病者の右手首に取り付ける。 治療できないものおよび、治療対照群(治療不要も含む)が3段階と、計4段階に分類している。 本来、この分類は最大多数の最大幸福という観点から決定される優先度分類であるべきであるが単なる重症度・緊急度分類となっている可能性もある。後述のSTART法による分類はその典型例といえる。

【議論・問題点】
 トリアージとは「全ての患者を救う」という医療の原則から見れば例外中の例外と言える。そのため、大地震や航空機・鉄道事故、テロリズムなどにより、大量負傷者が発生し、医療のキャパシティが足りない、すなわち「医療を施すことが出来ない患者が必ず発生してしまう」ことが明らかな極限状況においてのみ是認されるべきものである。しかしながら災害の規模が対応側のキャパシティを超過しているか否かを一切考慮せず、ただ単純に「災害医療とはすなわちトリアージを行うこと」だとする風潮が存在するのも事実である。

 一般的に重傷者よりも軽傷者の方が負傷の苦痛の訴え自体は激しいため、優先度判定を惑わせる場合がある。また、第三者や軽傷者本人が優先度判定に疑問を持ち、不審感を持つ場合があり、それが現場での治療の妨げや後日のトラブルの原因となる可能性がある。

 日本で採用されているもぎ取り式のタグは、負傷者の偶然または故意の行為によってタグがもぎ取られることで、評価の重度を大きくする可能性があり、その点も常に考慮しなければならない。

 日々救命の現場で働く看護師や救命士であれば、現場に疎い医師よりも迅速・確実な判断ができる事が明らかであるが、「黒」はすなわち「死亡」「助けられない」として切り捨てる判断そのものであり、死亡診断の出来ない(判定を下す事が許されない)救急救命士がトリアージで「黒」を付ける決断が難しい、心理的な負担が医療関係者以上に大きい等の問題がある。 2004年8月9日に福井県の美浜原子力発電所において発生した重大労災事故(10数名死傷)においても、救出時に心肺停止状態だった4名には「黒」の評価が現場でなされ、救急搬送はされなかった(のちの検死により、この4名は即死状態で蘇生不可能だったことが判っている)。

 トリアージでは優先度を4段階に分類するが、簡便である一方、段階数が少ないため、同じ判定の傷病者でも優先度が大きく異なる場合があることも問題点として指摘されている。例えば、いわば「典型的赤」と「かぎりなく黄に近い赤」の負傷者がいたとした場合、前者の治療順位が高くなるべきところだが、トリアージではいずれも同じ「赤」となってしまう。

 START法をある一定の訓練を受けたものが行うならば、その判断に誤差が出ることは少ない。しかし、本来そのトリアージ分類基準は、そのときの傷病者の数や医療能力により異なるものである。それを考慮せず一律に分類するSTART法は、重傷度分類に過ぎず、優先度分類ではない。

 また、黒とは正しくは、「何もしないと死亡することが予測されるが、その場の医療能力と全傷病者状態により、救命行為(搬送も含めて)を行うことが、結果として全体の不利益になると判断される傷病者」のことであるが、「その場での救命の可能性がない傷病者」と誤解される事が多い。たとえば、心室細動で心肺停止状態の傷病病者を想定する。初期から心肺蘇生法を行えば、救命の可能性は十分ある。しかし、その心肺蘇生には数人かつ10分以上必要である。その傷病者にそれだけの医療能力を割り当てることが可能ならば赤タグとなり、不可能ならば黒タグとなる。このように優先度分類は相対的な物である。

 また、トリアージは戦時における軍人軍属を対象とした軍隊のシステムであり、災害時であろうが民間人を対象とする平時の救急医療にはなじまないという批判も存在する。 たとえば、軍隊におけるトリアージでは、優先度判定などのミスによって死者が出たり障害が残ったりしても患者は基本的に軍人か軍属であり、彼等は国から年金や恩給、名誉負傷勲章などが送られ、差別的な扱いを受けたことによる損害に対して補償が約束されている。さらには軍隊内部のことなので、差別されることを命令できるなど患者と医師が統一された組織の構成員であり命令系統に服しているためトリアージが有効に機能するという点も重要である。トリアージを行った医師に対しても軍事上のことなのでよほどの重過失が無い限り判断ミスなどの責任が問われることは無く、医療ミスについて患者個人から訴えられることも無い。しかし、災害において行われるトリアージにはこのような責任問題や後の問題についてまで具体的な法制度や救済システムは未だに構築されていない。

 トリアージオフィサーなどの医師の配置や再トリアージの基準などについての徹底したガイドライン作りと、法的解釈の明確化の推進が不可欠なのはいうまでもない。災害などの非常混乱時において、70%以上の患者に適正なトリアージが行われれば成功の部類に入ると言われており、すなわち少なくとも2割程度の判断ミスは防ぎようがないのが実態である。また「助かりそうにない患者」と「助かりそうな患者」を判別できるとは誤魔化しであるという批判も存在する。そのような診断、判定は往々にして、自己成就予言的なものではないかというものである。実際トリアージが行われた場合、事後に検視等によってトリアージの判断の是非を検証を求めるべきなのか、またトリアージオフィサーの判断は事後に法的処分の対応になるか、という点においても、法の整備と国民の合意形成が求められる。

(出典:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B8

【当コミュニティの趣旨】
 上記のサイトによると、日本では、阪神・淡路大震災の教訓から総務省消防庁によって、トリアージ・タッグの書式が規格として統一されている。この様に、同書式が国単位で統一されたのは日本が初めてである。

 まだまだ法整備や人々の合意を得るまでの点で、課題の残るこの『トリアージ(Triage)』について、まず1、広く認知していただくこと、ついで2、よりよい発展のためにご意見を頂くこと、を目標として立てられたコミュニティーです。

 トピックは自由に立てて、コミュニティをご活用下さい。

 広い意味での『トリアージ(Triage)』がよりよき進化を遂げ、現場で適切な活躍をする事を心より、祈っております。

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2011年8月12日

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