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インヴェガ・パリペリドン

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詳細 2017年1月17日 22:50更新

2010年10月27日、抗精神病薬のパリペリドン(商品名:インヴェガ錠3mg、同錠6mg、同錠9mg)が製造承認を取得した。適応は「統合失調症」であり、1日1回、朝食後に経口投与する。常用量は1日1回6mgで、1日12mgを超えない範囲で適宜増減する。増量は、5日間以上の間隔をあけて、1日量3mgずつ行うこととされている。

 統合失調症は、長期にわたる維持療法が必要な慢性の精神疾患であり、維持治療期における精神症状の再発、再燃防止と患者のQOL向上が重要な治療目標となる。

 維持治療に使用する薬剤として、以前はクロルプロマジン(商品名:ウインタミン、コントミンほか)やハロペリドール(商品名:セレネースほか)など、いわゆる定型抗精神病薬が広く用いられてきたが、最近では、統合失調症の治療ガイドラインでも、非定型抗精神病薬が第一選択薬に位置づけられるようになっている。

 非定型抗精神病薬には、セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA)に分類されるリスペリドン(商品名:リスパダールほか)、ペロスピロン(商品名:ルーラン)、ブロナンセリン(商品名:ロナセン)や、多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)に分類されるオランザピン(商品名:ジプレキサ)、クエチアピン(商品名:セロクエル)、クロザピン(商品名:クロザリル)、ドパミン部分作動薬のアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)などがある。

 今回、承認されたパリペリドンは、セロトニン・ドパミン受容体拮抗薬の一つであるリスペリドンの主活性代謝物であり、セロトニン5-HT2A受容体及びドパミンD2受容体に対する拮抗作用を有する。統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)を改善する効果のほか、陰性症状の一部(感情的引きこもり、情動鈍麻など)に対しても改善効果が認められている。

 特徴は、リスペリドン製剤は1日2回投与が必要であるのに対し、インヴェガ錠では、1日1回の投与でパロペリドンの血中濃度を24時間維持できることである。同剤には、浸透圧勾配を利用した放出制御機構である「OROS」が採用されている。OROSは、多層構造のコアを硬い半透過性膜でコーティングした構造で、外部と内部の浸透圧差により水を内部に取り込み、水を吸収して膨張した多層構造のコアが押し出すようにして薬物を徐々に放出する。

 海外では、2006年12月、米国で統合失調症の急性期治療に対する適応が承認されて以降、2010年1月までに、欧州を含む92の国と地域で承認されている。

 国内の臨床試験では、86.2%に何らかの副作用が認められている。主な副作用は、血中プロラクチン増加(34.3%)、統合失調症の悪化(21.8%)、体重増加(14.7%)、錐体外路障害(14.1%)、便秘(9.6%)などであった。また重大な副作用としては、悪性症候群、遅発性ジスキネジア、肝機能障害、黄疸、横紋筋融解症、不整脈、脳血管障害、高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、低血糖、無顆粒球症、白血球減少、肺塞栓症、深部静脈血栓症が報告されている。


概説 心の不具合を調整し、気持ちをおだやかにするお薬です。心の病気の治療に用います。
作用

【働き-1】


気持ちの高ぶりや不安感をしずめるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。そのような作用から、統合失調症にかぎらず、強い不安感や緊張感、抑うつ、そう状態などいろいろな精神症状に応用することがあります。


【働き-2】


心の病気の一つ「統合失調症」は、脳の情報伝達系の調子が悪くなる病気です。現実を正しく認識できなくなったり、思考や感情のコントロールが上手にできなくなります。幻聴や幻視、妄想を生じることも多いです。

このお薬は、そのような脳内の情報伝達系の混乱を改善します。おもな作用は、ドーパミンとセロトニンという2つの神経伝達物質をおさえることです。2つをおさえることで、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の両方によい効果を発揮します。

統合失調症は それほどめずらしくなく、100人に1人くらいかかる一般的な病気です。特別視することはありません。この薬をはじめ、よい薬がいろいろとあります。薬物療法を中心に きちんと治療を続ければ、普通の社会生活が送れます。


【薬理】


脳内のドパミン2(D2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状をおさえます。また、セロトニン2(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きがよくなり、陰性症状が改善します。このような作用メカニズムからから、セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)とか5-HT2/D2拮抗薬などと呼ばれています。
特徴 抗セロトニン作用と抗ドーパミン作用をあわせもつ新しいタイプの非定型抗精神病薬(第2世代抗精神病薬)です。抗ドーパミン作用を主とする旧来の定型抗精神病薬に比べ、錐体外路系副作用が軽減され、また陽性症状に加え陰性症状に対してもよい効果が期待できます。
有効成分のパリペリドンは、繁用されているリスペリドン(リスパダール)の活性代謝物になります。同系のなかでは、とくに陽性症状に対し素早く強力な作用を示します。副作用は全体的に少ないものの、他の同類薬と比べ、高プロラクチン血症(生理不順、乳汁分泌)の発現がやや多いようです。
インヴェガ錠は、放出制御システムを応用した製剤で、長時間作用が持続するのが特徴です。1日1回、朝食後に飲めば、24時間にわたり安定した効果が得られます。

注意
【診察で】
持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。また、使用中の薬を医師に教えてください。
副作用について、ご本人、できたらご家族も含め、事前によく説明を受けておきましょう。

【注意する人】
腎臓の悪い人は、飲む量が少な目になることがあります。症状によっては使用を控えなければなりません。
糖尿病のある人は、血糖値の上昇に注意するなど、慎重に用いる必要があります。糖尿病の既往歴や家族歴、高血糖や肥満などで糖尿病発症リスクの高い人も要注意です。
パーキンソン病やてんかん、不整脈、低血圧、肝臓病、体が弱っている人、高齢の人、また自分のいのちを絶ちたいという思いが強い人なども、慎重に使用するようにします。
寝たきり、または手術後などで長時間体を動かせない人、脱水状態の人、あるいは肥満のある人は血栓塞栓症の発現に念のため注意が必要です。
認知症関連の精神症状に対する適応外使用例において、死亡率が1.6〜1.7倍高かったという研究報告があります。認知症における安易な使用は控えるべきでしょう。


【飲み合わせ・食べ合わせ】


他の安定剤など脳の神経をしずめる薬と併用すると、作用が強くなりすぎるかもしれません。逆に、パーキンソン病の薬では、お互いの作用が弱まることがあります。降圧薬との併用では、めまいや立ちくらみが起こりやすくなります。また、アルコールといっしょに飲むと、ふらつきや立ちくらみなどの副作用がでやすくなります。飲酒はできるだけ控えましょう。


飲み合わせの悪い薬..アドレナリン(ボスミン)
飲み合わせに注意..他の安定剤、パーキンソン病の薬(レボドパ製剤など)、降圧薬、カルバマゼピン(テグレトール)、バルプロ酸(デパケン)、アルコールなど

【使用にあたり】
通常、1日1回朝食後に飲みます。飲む量は症状により違います。指示どおりにしてください。少量より開始し、効果や副作用に注意しながら段階的に増量していくのが一般的です。すぐに効果がでなくても、決められた期間、きちんと続けることが大切です。
直前に開封し時間を置かずに、多めの水で服用しましょう。水でなくてもかまいませんが、必ず飲み物と一緒に飲む必要があります。
特殊な徐放性製剤ですので、噛んだり、割ったり、砕いたり、あるいは溶解したりしないで、錠剤のまま飲み込んでください。また、錠剤の殻が便中に排泄されます。これは有効成分が放出されたあとの抜け殻ですので、心配いりません。
のどが異常に渇き、水をガブ飲みしてしまうときは、すぐに受診してください。血糖値が高くなっているかもしれません。
脱力感、けん怠感、冷や汗、ふるえ、眠気、もうろうとするなどの症状に注意してください。血糖値が下がっているかもしれません。
急に飲むのを中止すると反動で具合が悪くなることがあります。自分だけの判断で、急に中止したり、飲む量を変えてはいけません。


【検査】


血糖値の測定をおこなうことがあります。

【食生活】
とくに飲みはじめに起立性低血圧(立ちくらみ)を起こしやすいです。急に立ち上がらないで、ゆっくり動作するようにしましょう。
眠気がしたり、注意力や反射運動能力が低下することがあります。車の運転など危険を伴う機械の操作、高所での危険な作業は避けましょう。
口が乾いて不快なときは、冷たい水で口をすすいだり、小さな氷を口に含むとよいでしょう。
体重が増えてきたら、食生活を見直してください。食べすぎに注意し、適度な運動を心がけましょう。

効能 統合失調症
用法 通常、成人はパリペリドンとして6mgを1日1回朝食後に経口服用する。なお、年齢、症状により1日12mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は5日間以上の間隔をあけて1日量として3mgずつ行うこと。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。

副作用 比較的多いのは、立ちくらみ、めまい、眠気、口の渇き、便秘、尿が出にくい、動悸、体重増加などです。とくに飲み始めの強い「立ちくらみ」には十分注意してください。女性では、高プロラクチン血症にともなう生理不順や乳汁分泌が現れることがあります。

従来の定型抗精神病薬に比べ、錐体外路系の副作用(下記)は少ないのですが、やはり服用量が多くなると、手のふるえ、こわばり、じっとできないといったパーキンソン病のような症状がでやすくなります。また、長期服用時は「遅発性ジスキネジア」にも注意が必要です。

そのほか、血糖値の変動による昏睡や意識障害の報告があります。高血糖のサインとしては、のどが異常に渇く、多飲、多尿、頻尿などがあげられます。逆に低血糖を起こすと、脱力感やけん怠感、冷や汗、ふるえ、眠気などが現れます。どちらの場合も、すぐに受診してください。もともと血糖値が高めの人や太りぎみの人は、定期的に血糖値の検査を受けるようにしましょう。

めったにありませんが、抗精神病薬には「悪性症候群」という注意を要する副作用があります。急に高熱がでて、体がこわばり動きが悪くなったら、すぐに医師に連絡してください。とくに、高齢の人、体の弱っている人、薬の量を増やしたときなどに出現しやすいものです。ご家族や周囲の方も注意してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
悪性症候群(Syndrome malin)..急激な体温上昇、筋肉のこわばり、体の硬直、飲み込みにくい、発汗、ふるえ、意識がはっきりしない。
遅発性ジスキネジア..頻回なまばたき、口の周辺がピクピクけいれん、口をすぼめる、口をモグモグさせる、舌のふるえ。
麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)..だるい、のどが渇く、頭痛、吐き気、けいれん、意識もうろう、気を失う。
肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色。
横紋筋融解症..手足のしびれ・けいれん、手足に力が入らない、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
重い不整脈..動悸、頻脈(120/分以上)、徐脈(50/分以下)、胸の痛みや違和感、胸苦しい、だるい、めまい、立ちくらみ、気が遠くなる、失神。
高血糖、糖尿病性昏睡..異常にのどが渇く、多飲、多尿、食欲亢進、多食、脱力感、もうろう、意識がうすれる。
低血糖..力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。
無顆粒球症、白血球減少..発熱、喉の痛み、口内炎、咳、だるい。
肺塞栓症、深部静脈血栓症..突然の息切れ、胸の痛み、手足の痛み・はれ・むくみ・しびれ、急に視力が落ちる、視野が欠ける、目が痛む。

【その他】
錐体外路症状..指や手足のふるえ、体のこわばり・つっぱり、ひきつけ、よだれが多い、目の異常運動(正面を向かない、上転)、舌のもつれ、じっとできない、そわそわ感、無表情、うまく歩けない。
眠気、頭痛、めまい
けいれん、興奮
吐き気、食欲不振、食欲亢進
口が渇く、便秘、尿が出にくい、目のかすみ、鼻づまり
立ちくらみ、血圧低下、動悸、不整脈
体重増加、高プロラクチン血症、生理不順、乳房痛、乳汁分泌
発疹

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2011年2月2日

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