八重山上布の起源は定かではない。薩摩藩の侵略により八重山でも厳しい人頭税が課せられ貢納布制度が定められた。琉球王布から送られてきた御絵図を基にその柄を忠実に織り上げさせた。
八重山上布は、宮古上布と同じく苧麻糸を素材とする。宮古上布が紺地絣の織物であるなら八重山上布は白地を基調としている。
染色技法には「摺込み捺染」と「括り染め」の二種類がある。「括り染め」は一般の絣の染色技法と同じで、「摺込み捺染」はクール(ソメモノイモ)等の染料を直に糸に摺り込んでいく方法である。「摺込み捺染」は明治初頭から能率よく織物を織るためにその方法が採られ、逆に「括染め」がなくなっていった。
現在の八重山上布では「括り染め」も復活している。
八重山上布は豊かな自然風土から原料となる苧麻や多種の染料を人の手と知恵によって大きく活現され美しい布へと生み出されてきた。織り上がった布は、5月ごろ天日乾燥し、海水で色止めする方法(海さらし)も八重山上布の特徴である。
上質の苧麻織物である八重山上布は、亜熱帯沖縄の気候にあった、清涼感あふれ、軽くて風を通しやすいことで親しまれている。
染料:クール、紅花、福木、藍など。