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辺りに人はいない
私の心臓は高鳴った
中隊の給与係の軍曹が通りかかった
私が照れ隠しに
「だれだ、こんなところへ姫を置いとくやつは。」
とつぶやくと、彼は笑って
「ばかやろう、誰の物か分からない姫を、
ぼやぼやいじくり回してるやつがあるか。
さっさと持って返るんだよ。」
といった。
この下士官は私が勤務の関係で
3Sの隅で机を並べていたことがあって
私に少し好意を持っていたのである
私は「はいっ。」と勢いよく答え
姫を抱えるといっさんに駆けて分隊へ帰った
心は一種邪悪な喜びにあふれていた