- 詳細 2022年11月10日 01:35更新
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「私はある」という主観は、それが現実ではないと言われれば言われるほど、ますますその実体感を強めていく。「事物は実体である。世界は実在している。」という実体感は、それが幻想であると言われれば言われるほど、その強度を強め、血生臭い光線を発して輝きながら、化物のように人の心に襲いかかってくる。
「実体」は実在する。「妄想」は実在する。「私」は実在する。それを証明しなければならない。恐らく「実体」が「実在否定」され続ける限り、「実在光線」は私の心を刺し続けるのだ。
だが記号の王国「現実」は、「実体」に「非在」「妄想」という記号を貼付てしまっている。どうやって「実体」の実在を証明出来ようか。
「実体なんてものはないんだ。」「自我なんてもう古い。」「君はまだ言葉なんか信じてるの？」「君は本当は存在していないんだよ。」非存在と規定された少女は、人称を失い、限定を失い、「あるあるあるある……」という無限の熱的虚無(=過剰）の炎で焼かれ、怪物的無差別殺人の衝動に、たえまなく襲われ続けた。「それでも実体は存在する！ 殺されて手足バラバラになってもなお、血の海の中で生き続けてる。それを復活させねばならないのだ。」という少女の叫びを、認めてくれる人が現れるまで。
