イギリスのシンガーソングライター、ニッキー・ホランド。
92年のアルバムデビュー前、既に80年代初期から音楽活動をスタートし、ティアーズ・フォー・フィアーズや坂本龍一のツアーでキーボードで参加したり、ソングライターとしてもティアーズ・フォー・フィアーズ、オリータ・アダムス、セリーヌ・ディオン、シンディ・ローパーらに楽曲提供をする。
本人名義のアルバムは「Nicky Holland」(92年)と「Sense And Sensuality」(97年)の二枚しかリリースされていないが、本人によるピアノと、どこか淡々としたハスキーな声が印象的。
また、まるで小説を読んでいるかのように風景を切り取り、そこに心の波をリンクさせていくような歌詞は読むほどに味わい深い。
ファーストアルバム発表後に母となったニッキーは、当時数多く登場した、ギターを掻き鳴らしながら女性の力強さを男勝りな言葉で歌う女性シンガーソングライター達(アラニス・モリセットやシェリル・クロウなど)のアンチテーゼ的なスタンスで、肩の力が抜けたマイペースな作品作りを続けた。(この辺はセカンドアルバムのライナーに詳しい)
最後の作品から10年。今だにその力強くも静かな魅力は色褪せない。