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色えんぴつ

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詳細 2016年9月6日 01:25更新

<ぼくのこころ>
たかはし のぶみ
vol,0「えんぴつ」

僕は、「えんぴつ」みたいな人になりたい。
えんぴつは、真ん中にまっすぐな“芯”を持っていて、周りは“木”で出来ている。
このえんぴつと同じように、心の真ん中にまっすぐな“芯”を持って、周りに“気”を、心を配っていける人。
そんな人になりたいんだ。
“芯”を持っていないと、ただ周りに流されてしまう。
「これをがんばるんだ」っていう“芯”になるものを持っている人は、カッコいいよね。
だからといって、この世界にたった一人で生きているわけではないし、たった一人で生きていけるものでもない。
周りに“気”を配っていける感性が必要だと思う。
人は周りの人を支えたり、支えられたりしながら生きている。
感謝の心を忘れちゃいけないと思うんだ。
その感謝の気持ちが、“気”を配ることにつながるんじゃないかな。
僕はえんぴつから、そのことを教わった気がする。

えんぴつが教えてくれたことは、それだけじゃなかった。
えんぴつは、シャープペンと違って、削らなければ使えないんだよね。
人もそれと同じだと思う。
いろんな本を読んだり、映画を観たり、楽しいこと、苦しいこと、様々な体験を通して人間が削られ磨かれ、周りの人の役に立っていく。
削ったばかりのとがったえんぴつは、凶器にも変わってしまうものだけど、使えば使うほど芯が丸くなっていく。
人も、このえんぴつの芯と同じように、最初は周りの人や物を傷つけちゃうくらい、とがっている時があるかもしれない。
僕にも反抗期(はんこうき)があった。
だけどいろんな出逢いや経験が、僕自身を磨いてくれたおかげで、性格がだいぶん丸くなったんだと思う。

そして、えんぴつは使っていくと、最後には無くなってしまうよね。
僕のおばあちゃんは、物をとても大切にする人で、小学校の頃、えんぴつが小指のツメくらいになっても、10センチ程の銀色をしたサックに入れて使わせられたんだ。
友達に見られるのがイヤだったんだけど、先生が「物を大切にするのはいいことだ」って言ってくれて、クラスでそのサックが流行ったりもした。

えんぴつを使い切るのって、達成感の中にも、少しさみしい気持ちがある。
使い切ったえんぴつは、学校の裏に「えんぴつのおはか」を建てて埋めていた。
これと同じように、きっと僕も、使い終わる時が来る。
それがいつになるかは分からないけど、いつかは必ず来るんだよね。
“死”というのは極端かもしれないけど、例えば、学校からの卒業だったり、クラブやサークル、人との別れも、これに当てはまると思うんだ。
えんぴつは、無くなるまでに、僕らにいろんな字や絵を残していってくれるよね。
それと同じように、僕もいなくなるまでに、何かを残していきたいんだ。
それは何か形のあるモノかもしれないし、思い出のように形のないモノかもしれない。
どっちでもいい。
僕がここに居たという証(あかし)を残したいんだ。
だから今、こうしてこれを書いているのかもしれない。

また、えんぴつには、「色えんぴつ」があるよね。
この世の中にいろんな色があるというのは、当たり前だと思うかもしれない。
でも、雪の白とひまわりの黄色、真っ赤な夕焼け、みんな神様のつけた色なんだ。
神様がそこに込めたメッセージは何だろう?
人にも、それぞれいろんな個性や色がある。
濃い色の人もいれば、薄い色の人も、十人十色にいる。
でも、それでいいんだ。
他の人の色をうらやましがる必要はないよ。
君の色は、君しか出すことのできない色なんだから。
まったく同じ色の人なんて、一人もいない。
絵でも、薄い色があるからこそ、濃い色が映(は)えて見えるし、濃い色があるからこそ、薄い色がやわらかな感じを与えてくれる。
だから、いろんな色の人がいていいんだ。
いや、いなくちゃいけない。
「みんなおれ色に染まれ」なんて思っちゃうけど、一色の絵なんてつまらないよね。
カラフルだからいい。
その方がキレイだし、心にも残りやすいからだ。
神様がつけてくれた個性や色を変えようとしないで、楽しく伸ばしていくような人生。そんな人生が、幸せな人生だと思う。
だから、僕も君も、そのまんまの色でいいんだね。
この世界をカラフルなものにするために…。

そして、人と人とが出逢うということは、色と色とが出逢うということになるんだ。
仮に、僕の色が青だとするね。

青の僕が、赤い色の人と出逢う。
そうすると、僕の中にその人の赤い色が入ってきて、紫色が生まれるんだ。
けど二人は、まったく同じ色になるわけではなくて、ベースの色があるから、僕は青紫になって、その人は赤紫になる。
青は黄色と出逢うと緑に変化するし、白と出逢うと水色に変化するよね。
それと同じように、いろんな色が混ざり合って、その人独自の色になっていく。
人だけじゃなく、本や映画、音楽や景色、そういうものとの出逢いを通じて、人は成長し、その人の魅力になっていくんじゃないかな。
だから僕は、いろんな人やいろんな物に出逢いたいって思う。
そして、相手から少しずつ色を分けてもらいながら、ぼくの色も少しずつ分けていく。
そうやって、僕だけの色を作り上げて行こうと思うんだ。

最後に、えんぴつで何かを書いたり、文字や絵を残していこうとしたら、必要になる物があるよね。
何か分かる?……そう!「紙」だよね。
僕はその「紙」を例えるとするなら、それは「神」に当たるんじゃないかと思うんだ。
「紙」と「神」って、言葉遊びみたいだけど、本当にそう思う。
この世界のありとあらゆるものは、神様の不思議な御守護で成り立っている。
そして僕たち人間は、神様の懐(ふところ)の中で、育まれ、生かされているんだ。
自分で生きているんじゃなく、理由(わけ)があって生かされている。
人間は「陽気ぐらし」をするために生まれてきた。
「側(はた)の人を楽させるため、“はたらく”ために生まれてきた」とも言われている。
つまり僕らは、自分が喜ぶため、そして人を喜ばせるために生まれてきたんだ。
僕たちが生かされているのも、その陽気ぐらしの世界を実現させるために、何かやり残していることがあるからなんだと思う。
そして、その僕たちすべての人間の色を受け止めて、この世界をカラフルな絵として表してくれる「紙」が、きっと「神様」なんだ。
濃い色の人も、薄い色の人も、とがった芯の人も、まぁるい芯の人も、すべての人を受け止め、受け入れ、この世界というキャンバスに表現させてくれている。
今こうして生かされているのが、その証拠だと思うんだ。
神様は必ずいるよ。
だからね、今を喜んで、先を楽しみに暮らしていこうね。
いつも笑顔で、一人の「えんぴつ人間」として。






高橋伸実の『ぼくのこころ』につながるえんぴつさんへ

自由に自分の色を出して

たくさんのえんぴつさんたちと出逢ってくださいわーい(嬉しい顔)
  
   高橋 伸実

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