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九相詩絵巻

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詳細 2016年5月19日 07:41更新

 
<新死の相>
この世の月日は短く、死後の黄泉の年月は長い。現世の命の早く過ぎ行くことはかげろうのごとく、たまゆらを生きて、やがて死に去ってゆく。あわただしきこと風雲のごとくにして、貧りの住家を辞し去り、かこい火のたち消えるように、欲望の城をやめ去って行く。命は既に満了して、閻魔庁の死籍簿に名が記されたのである。生きとし生けるものの寿命は霞のようにはかなく、三十三天の力を借りても、つぐないの手立ても施しようがなく、かくて詩によみあげて悲しみ歎くばかりである。


<膨脹の相>
墓地の丘は虚しく広く、人里を遠く離れて、訪れる者とてなく、白く清らかな月光のみが広野をわたって過ぎ去ってゆき、風はしめやかにして色褪せた樹々の葉に吹きわたる。悲しみをこらえて四方を見渡せば、ただ一個の屍がある。裸のままに松林の丘に臥して、髪はざんばらで、長い夜を経て死去した人であり、仏法の半分を求めんがために、身を捨てた雪山童子のような死にざまではない。生前には獣や魚の肉を飽食したであろうに、今では百獣の餌食となっている。


<青疱の相>
地獄の使者の手からは永久に逃れるすべはなく、墓穴は深く底なしである。美しいかんばせは既に光を失い、宝鏡のようであった容貌は自ら壊れて形を失ってゆく。屍は風に吹きさらされる灯火のごとく、また、花の散り落ちた枝にも等しい。日が経つにつれて次第にくずれおち、月が毎夜来たりて、さらに黒ずみを増してゆく。白いウジが穴の中にうごめき、肉の付いた骨の上には青いハエがたかっている。愛した者の昔の面影はなく、その変わり様を悲しみ、またかくも醜悪な体を愛しんだ我が身がはずかしい。


<方塵の相>
様々なものから成る人体は、離散にあたってまことにおぞましく、体と心を機能せしめる諸要素の理は、滅びやすくして頼みにできない。体力や気力は肉体より去って帰らず、水分や蛋白なども朽ち果てようとしている。体は青く黒ずみ、腐ってただれた雑草のように膿んでくずれてくる。体の穴という穴から流れ出る膿み汁は、あたり一面に散って、臭くて汚いことの極みである。猛獣は傍らに寄ってうずくまり、不吉な悪鳥が鳴いては肉をさらってゆく。肉体はやがてこの野の塵となって残るが、魂はいったい何処へ帰り去るのであろうか。


<方乱の相>
よこしまな煩悩は断ちがたい網であり、迷いの世界に輪廻する体に不変の果報などあるはずもない。飛ぶ矢の速いように、人の命も速く尽き終わり、一身の空なることは朝露のようにはかない。その玉のような美貌も今は膿血にくずれ、麗しい肢体も腐り壊れてゆく。臭気は風にのって遠方までも届き、腹部の脂肪も沸き流れて炎のようである。なお残る美しい衣服は肉の腐爛に恥じるようで、立派な枕も今は見るかげもない。歎き悲しんでもなすすべもなく、涙を拭いつつ往路と違った道を帰るのである。


<蝋骨連の相>
世の中の人々は死の影におびえて恐れるが、その無常の影から脱却するためには、人目の届かないところで善行を積むしかないことを知らず、夢の中の蝴蝶のように世間の浮き雲にのって飛ぶだけである。人の命は、電光よりも速く過ぎゆき、やがては松下の塵と成り果てる。生前には都会で栄華を極めた人も、今では白骨と化して横たわっている。死者を甦らせるという黄色い白鳥も、あなたの名前を呼んではくれないし、また、ここは寂しい山野だから、死者を復活させるという青い柳の田畑もまったくない。春が来て百花が競って咲き誇り、ただよう香りも芳しく、明るい月がむなしく山を照らしている。永遠にものさびしさだけが支配して、ついに白骨の人は再び春を知るよしもない。


<白骨連の相>
ここはさびしい所で人影もなく、しめやかにして人里も遥かである。朽ち果てた一連の白骨が、はっと眼に入るように沢の中に横たわっている。松や柏が茂ってほどよい影をつくり、乱れ茂る茅がしめった白骨の周りをおおっている。常に風雲にさらされており、さらに霜露がしたたり加わる。日が経つにつれ、白骨はますます枯れてゆき、年を越す毎に白さを増してゆく。死者を復活させようとして、青い柳を植えても、甦るすべはなく、名医を招いても、もはや施す手立てもなかろう。


<白骨離の相>
人の永らえることはなく、夢がむなしく消えるのと等しい。人が住む欲界は水の泡と同然である。人間が現実に住んでいるこの世界は苦しみ多く、厭い離れなければならないところであり、楽しんで生活できるところではない。人の皮膚や血液は、月が欠けて、また満ちて丸くなるのとは異なって、元のようにならないし、人の骨は青い柳に再び花が咲くのとは違う。人の爪や髪はそれぞれに草にけがされて溶け、頭蓋や頸骨は東西に離散する。散乱した骨の半ばを落葉がおおい、その骨のあたりに菊の花が秋に咲くけれども、どうして美しいと褒められようか。あふれ落ちる涙を禁ずることができず、いたずらに故人を憐れんで声をあげて泣くのみである。


<成灰の相>
自然の山川は、永く万世にわたって存在するが、人間の命は短く、長く生きても百年である。身体のすべての骨は消滅し、棺桶すら朽ち果てて灰塵と化してしまう。魂は今や依りどころがなく、おそらくは地獄に墜ちて、塚の主は不在であろう。せめて碑文にその名を書き留めて偲ぶよすがとし、塚穴の底にあなたをおさめることにしよう。月日の移るにつれて、骨もやがては黄白の土と化し、ついには風に散って山に帰るであろう。かの三乗の教えのみが常住不滅の宝であり、この教えに従って修行を積まねば、八苦に悩むただの人に止るのみ。かつてこの人の活動を支えていた六識は、今いったい何処にあるのであろう。その身体を支えていた諸要素は破滅して、今は名前が虚しく残るのみである。冬には苔が塚の周りを青く色どり、夏には草がぼうぼうと塚の上に根をはって生い茂る。誰が置いたのか、墓塚の袋の中には、供えの食物が今なお残っており、松の木の下に見える髪の毛はなお黒く見える。丘の上には青黒い雲が集まって薄暗く、夜の松風がひゅうひゅうと鳴りわたっている。


***

九相図 / 九相詩 / 九想図 / 九想詩 / 六道絵 / 人道不浄相図
 

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