名作「私は貝になりたい」ファンのコミュニティ
中居正広・仲間由紀恵主演でリメイクされた「私は貝になりたい」が全国ロードショー中です。
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理髪店を営む一人の男が、戦時中にアメリカ兵捕虜を殺害しようとした罪(実際には怪我をさせただけ)を軍隊から復員した後の裁判で問われ、BC級戦犯として死刑にされるという悲劇を描いた作品。テレビ草創期の時代に放送され、視聴者の涙を誘ったドラマとして、日本のテレビの歴史に語り継がれている。「ドラマのTBS」の礎となった作品でもある。
1958年(昭和33年)『サンヨーテレビ劇場』の企画として制作。第13回芸術祭大賞受賞。
岡本愛彦演出、橋本忍脚本、フランキー堺主演。
ストーリー自体は橋本のオリジナルだが、当該の台詞の類似などから裁判の結果、遺書部分の原作は加藤哲太郎が「志村郁夫」名義で発表した『狂える戦犯死刑囚』(現在は『私は貝になりたい』と改題して再刊、春秋社、ISBN 4-393-44161-3)だとされた。そのため、現在では題名 遺書の原作は加藤哲太郎とクレジットされるようになっている。なお、『遺書』(あるいは『遺言』)というタイトルの作品が存在したわけではなく、遺書部分の原作が加藤ということである。
翌年の1959年(昭和34年)には、フランキー堺以外キャストを変えて映画化。
橋本忍はこの作品で初めて監督も務めた。配給は東宝。
1994年(平成6年)10月31日、TBS放送センター(ビッグハット)落成記念として、リメイク版が放送
第43回日本民間放送連盟賞ドラマ番組部門優秀、
第21回放送文化基金賞ドラマ番組部門奨励賞、
第34回日本テレビ技術協会賞(照明)を受賞。
山泉脩演出、橋本忍脚本、所ジョージ主演。
2007年(平成19年)SMAPの中居正広主演で劇場版映画化されることが発表された。
福澤克雄監督、橋本忍脚本。2008年冬公開。
(STORY)////////////////////
第二次世界大戦中、高知県で理髪店を営む清水豊松(フランキー堺、リメイク版では所ジョージ)が突然、軍隊に召集されるところから物語は始まる。豊松は気は弱いが平凡な人柄。
豊松は、新兵の訓練で上官に命令されてアメリカ兵捕虜を銃剣で殺害しようとするが、気後れして怪我を負わせただけにとどまる。
終戦後、理髪店に戻って、いつも通りに仕事をこなしていた豊松だが、捕虜虐待の罪で戦犯として特殊警察に逮捕される。極東国際軍事裁判(横浜裁判)で被告席に立った豊松は「日本の軍隊では上官の命令に逆らえば命はないんだ」と主張するが、「拒否しなかった事は殺す意思があったという証拠だ」というアメリカ流の論理に跳ね返され、豊松に死刑判決が言い渡される。
死刑執行の宣告を受けた豊松は、妻と子供に宛てて遺書を書き始める。
「せめて生まれ代わることが出来るのなら……
いゝえ、お父さんは生れ代わっても、もう人間になんかなりたくありません。
人間なんて厭だ。牛か馬の方がいゝ。
……いや牛や馬ならまた人間にひどい目にあわされる。
どうしても生まれ代わらなければならないのなら……いっそ深い海の底の貝にでも……
そうだ、貝がいゝ
貝だったら、深い海の底の岩にへばりついているから、何の心配もありません。
兵隊にとられることもない。戦争もない。
房江や、健一のことを心配することもない。
どうしても生まれ代わらなければならないのなら、私は貝になりたい……」
書き終えた後、処刑台に上がって処刑される。