中村直 / Nao Nakamura
30年以上のキャリアを誇り、今なお現役で活躍するDJ界の重鎮。 その独創的なプレイスタイル、ハウス〜テクノ〜ポップ〜ロッ ク〜ディスコといった幅広いジャンルの上を自由自在に行き来しつつ、 それら全てを「中村直的ダンスミュージック」として昇華させる手腕は 芸術的とも言えるほどに秀逸で、彼が90年代以降の日本のクラブ シーンに与えた影響は計り知れないものがある。また自身の膨大な音楽知識に基づいた選曲スタイルの引き出しの多さも 魅力のひとつである。 70年代後半、ニューウェーブ〜ディスコミュージックの洗礼を受けた彼 は80年代に入り単身N.Y.へ渡り、やがて彼はそのあきらかな音楽性を認められ、当時N.Y.で 「Paradise Garage」と人気を二分していた巨大ディスコ「The saint」や「TRACKS」のレジデントDJとして日本人で初めて抜擢されることに なった。
N.Y.のシーンに遅れること約10年、日本でもストイックにダン ス・ミュージックを享受するためのシーンが産声を上げた。 今や伝説とも言える芝浦の巨大クラブ「GOLD」の誕生である。 中村直はその創立メンバーとして企画に携わる。
その後 「CLUB LOVELY」「PRIVATE PARTY」「HITS」といっ た数々のモンスター・パーティの看板DJとなった。それらのパー ティはまた、おびただしい数の派生パーティを産み、日本のクラブシー ンは急速に加熱していった。
それらが今もなお、中村直が多くの後続の DJたちにリスペクトされ続ける由縁でもある。 それから更に10年が過ぎた今、彼が産み出したと言っても過言で はないシーンは、彼の手を離れたところで更に変化を遂げてはいるが、
ストイックなまでに変わることのない彼のダンスミュージック哲学は今 なお根強いファンを数多く残している。
なぜならば彼のダンスミュー ジック哲学とはひとえに彼の音楽への愛であり、
それが今もなおダンス フロアーのシリアス・ダンサー達を魅了してやまないからなのである。