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弁護士から官僚。華麗な経歴に見える。しかし原点は、自らの体験にあった。中学1年の時、父親が経済犯罪に巻き込まれ、全財産を失った。厳しい取り立ても経験した。「私の人生も決まった。貧乏からは、一生抜け出せない」。そう思い込み、進学をあきらめかけた。その時、無償で助けてくれたのが、近くに住む弁護士だった。
中学時代から家庭教師をし、高校、大学の学費も自分で稼いで弁護士になった。「経済犯罪によって、子供の希望や家族の幸せが奪われるのだけは許せない」
金融庁の任期付き採用に応募したのは、「制度を作る側に回らなければだめだ」と思ったからだ。そしてその制度作りも、少しずつ結実してきた。今年6月、経済事件が刑事裁判で認定されれば、国が犯罪者から違法収益を没収し、被害者に分配する関連法が成立した。金額は低額でまだ十分ではないが、歯車は確実に回り始めている。
「違法収益剥奪」と「ダイバシティ」で企業の経済犯罪を防げ
森雅子さん 金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室課長補佐・弁護士
上場廃止になった「西武鉄道」や「ライブドア」、経営トップと公認会計士らが逮捕・起訴された「カネボウ」、一酸化炭素中毒事故を隠して営業を続けていた「パロマ」など、大企業の経済犯罪が相次いで発覚しています。昔は「清濁あわせのむのがカイシャだ」などと言われたりしましたが、今の時代、そういう倫理観の欠けた、古い常識に凝り固まった企業には、国民から厳しい目が向けられるはずです。それなのに、なぜ、経済犯罪を犯す企業が後を絶たないのか。企業側の常識と社会の側の常識の間に「ズレ」が生じているのでしょうか。企業の経済犯罪の原因と対策について、弁護士から行政の世界に飛び込んで活躍する森雅子さんに聞きます。
もり・まさこ●1964年生まれ。福島県出身。東北大学法学部卒業後、95年に弁護士に。日本弁護士連合会消費者問題対策委員などを歴任。99年に日弁連の推薦で米国に留学。ニューヨーク大学ロースクール客員研究員などを経て、2000年に森雅子法律事務所を設立。2005年3月から金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室課長補佐に。専門は消費者法、犯罪収益吐出制度など。
”経済犯罪を犯した企業に対する"おしおき"がない ”
2002年の雪印食品や2005年のカネボウ、2006年のライブドアやパロマなど、大企業の不祥事が相次いで発覚しています。その内容を見ると、雪印食品は輸入牛肉を国産牛肉と偽装して助成金をだましとったり、カネボウやライブドアは会社の決算を不正に操作したり、パロマに至っては死亡事故まで起こしながらそれを隠して営業していたり、経済犯罪が目立ちます。
規制緩和の流れの中で、最近ではレギュレーション(規律)に反対する声が強いですが、私は、すべてを規制緩和してうまくいくとは思いません。とくに企業に対しては、そのことを強く思いますね。企業は自分がハッピーになるために利益を追求しますが、自分だけではなく、ステークホルダーからエンドユーザーの人までを含めてハッピーにならないと、結局、最後は壊れてしまうのです。企業がそうならないために、何が必要なのか。先日、経済産業省の産業構造審議会の委員と議論したのですが、その委員は「必要なのはレギュレーションとエデュケーションとインフォメーションのハーモナイゼーションだ」と。それは私も同感です。
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大企業の経済犯罪が多発するのは、それらがないから、ということですか。
はい。日本では企業に対する制度的な根幹がきちっとできていないことが、経済犯罪が多発する大きな原因だと思いますね。とくに、レギュレーションについて言えば、経済犯罪を犯した企業に対する十分な「おしおき」がない。だから同じことを繰り返してしまうんです。
「刑務所に入る」という「おしおき」があるじゃないかと思われるかもしれませんが、経済的な犯罪というのは普通の犯罪とは違って「利欲犯」です。お金が欲しいから、利益を上げたいから、やる。そういうことをした経営者や社員を逮捕・起訴し、刑務所に行ってもらっても十分なおしおきにはなりません。刑事罰を科したうえで経済的苦痛も与えることによって「もう二度とやらない」となるんですね。そうすれば、他の人にも「経済犯罪は、やり損なんだ」と知らしめることができます。ところが、今の日本では奇妙なことが起きていて、経済犯罪を犯した人が逮捕・起訴され、有罪になっても、その犯罪で得た収益はその人に戻るんです。
ライブドアも村上ファンドも、経営トップが逮捕・起訴されたけれども、収益は企業がそのまま持っている。
そう。企業が違法な方法で上げた収益は全部、剥奪されるのが当然でしょう。それが、そうなっていない。「違法収益剥奪」ということにならないといけないわけですが、この話を私がすると、みなさん、「当たり前じゃない」「そんなの昔から言われていることだ」「この日本でもあるはず」と言う。でも、今のところ日本には、違法収益を企業に吐き出させるための制度がないのです。2006年6月に組織犯罪処罰法が改正されて、犯罪収益を剥奪して被害者に返還する制度がはじめて導入されましたが、一部の犯罪について、一部の被害者に、被害額の一部しか戻されません。