普賢菩薩(ふげんぼさつ)は、菩薩の一。梵名サマンタバドラ(Samantabhadra、あまねく賢いの意味)。
世界にあまねく現れ、仏の慈悲と理知を顕して人々を救う。また女人往生の信仰も集める菩薩である。密教では、金剛薩埵と同一視され、菩提心の象徴とされる。
中国・四川省の峨眉山が普賢菩薩の霊場とされ、文殊菩薩とともに釈迦如来の脇侍を勤める。
独尊としては、蓮華座を乗せた六牙の白象に結跏趺坐して合掌する姿で描かれるのが、最も一般的である。密教では、左手に宝剣を立てた蓮茎を持る姿や、左手に五鈷鈴、右手に五鈷杵を執る姿で表される他、如意や蓮華、経典を手に持つ作例も見られる。日本では絵画による尊像が多く、彫像の作例としては、大倉文化財団蔵の平安時代後期の木像(国宝)などがある。より密教的な姿として「普賢延命菩薩」という尊格があり、22手を持つ強力な尊とされ、日本でも作例は少なくない。
日本では平安中期以降、女人救済を説く法華経の普及によって、主に貴婦人たちからの信仰を集めた。東京国立博物館の普賢菩薩騎象像(国宝)は、この時代の代表的な作例である。普賢菩薩の眷属が十羅刹女であり、時として鬼子母神が描かれているのも、女性による信仰が厚かったためである。初期の十羅刹女は唐装束であるが、国風の影響を受けた和装の羅刹女の作例も多い。
また、小説『封神演義』には普賢真人、文殊広法天尊という仙人が登場しており、この作品では、彼等が後に仏門に帰依しそれぞれ普賢菩薩、文殊菩薩となったとされている。
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