中里篤史～奇跡の復活への軌跡～

ログインして参加する

詳細 2021年11月6日 08:47更新: 中学3年生のとき県大会8強入り

高2の夏、県大会準々決勝で無念のサヨナラ負け

高3の夏、30度を超える猛暑の中、夏の太陽よりも光り輝き、関東三羽ガラスと呼ばれる逸材が10球団･13人のスカウトが見守る中、マウンド上でそのベールを脱いだ

｢全試合、中里を先発させる｣と監督の信頼は絶大

まさに平成の新怪物候補だが、試合を離れれば普通の高校生
スタンドから見守った母は｢洗剤がないとかいうときじゃないと電話もしてこないんです｣と寮生活をする息子を心配する

彩の国が誇る奪Kマシーン

県大会決勝で坂本弥太郎の浦和学院と対戦し、延長の末2-1のサヨナラ負け、結局甲子園経験なし

ドラフト1位で中日ドラゴンズ入団
坂本弥太郎はドラフト4位でヤクルトへ

2001年のルーキーイヤー
二軍で7勝1敗防御率2.90
ジュニアオールスター出場
一軍初登場は9/16ナゴヤドームの対巨人戦に先発
最速151キロをマークする快投で、しなる右腕が伝説となる

2002年、2/20沖縄･読谷での春季キャンプ
宿舎2階でのミーティング後、1階ロビーに下りる急な階段で用心に手すりを掴んだ
ちょうどその瞬間に足を滑らせ転倒
｢階段を踏み外し、咄嗟に手すりを掴んで｣という説もある
腕が後方にねじられる形で右肩脱臼、あるいは｢完全亜脱臼｣
外れた肩はその後自然に修正され、元の位置に戻ったらしい
急遽、名古屋に戻って精密検査
検査の結果、｢右肩関節唇および関節包の損傷｣で全治3ヶ月以上との診断
しかし3ヶ月では済まなかった
打者転向説、選手生命絶望説も濃く漂う

2002年、7/1キャッチボール再開、距離5メートル

プロ2年目にして初の開幕一軍を手にした坂元弥太郎投手に｢一軍で対戦してみたい選手は?｣という質問が報道陣から飛んだ
松井か、清原か!?
弱冠19歳の右腕が夢に見るバッターとは誰かと想像が膨らむ前に、坂元投手はこう言い切った
｢中里です、今はケガしてるんですけどね｣
平成12年、夏の高校野球県大会でサヨナラ勝ちで甲子園へのキップを手にしたのが当時浦和学院のエースだった坂元
坂元投手は甲子園の大舞台で、1試合19奪三振という54年ぶりのタイ記録を樹立、全国にその名を轟かせた

2003年、4/20ブルペンで立ち投げ30球、その後右肘、腰に違和感
7/8ブルペンで立ち投げ30球
11/8秋季キャンプでブルペン入り、立ち投げ20球
他に、バレーボールやカラーボールを使ってのリハビリトレーニング
13日には、25%ダウンの600万円で契約更改
11/19夜、リハビリの水泳中、背泳ぎで肩に違和感
11/21名古屋市内の病院でMRI(磁気共鳴診断装置)検査の結果、右肩関節血腫との診断
　　　　
2004年、1/27手術
8/24試しに手術後初のブルペン入り、立ち投げ30球、キャッチボール程度
11/1沖縄･北谷町にて秋季キャンプ入り
このキャンプでそれなりの覚悟を見せてもらいたい、ダメなら辞めてもらう
｢投げられることを見せるためにここに来たんです｣
初日は遠投30球、最後は70m
11/6プレートから本塁ベースの間、3つの地点にコーンを置き、プレートやや後方からコーンを狙って5球ずつ投げる
その後、全選手中最低額の500万円で契約更改
｢仕方ないです、野球をやってないんですから、どんな条件だろうとサインしようと最初から決めてました｣
｢もう3年ですから自分でも最後と分かっています、がむしゃらにやるしかない｣
11/11ブルペン入り、立ち投げ20球
11/15キャンプ2度目のブルペン、立ち投げ30球
11/19には3度目のブルペン
11/21に4度目のブルペン
立ち投げ1セット20球のメニューを2回、術後最多の計40球
　　　　
2005年、あの沖縄キャンプから3年
2/6沖縄春季キャンプ第1クール最終日、ブルペンで立ち投げ31球
3/24ナゴヤ球場で立ち投げ70球
5/29ナゴヤ球場でバッティングピッチャーを務め、10分間、61球
打者相手に投げるのは、3年8ヶ月ぶり
6/4中5日で2度目の打撃投手を務め、打者相手に58球
さらにブルペンで42球
故障後では最多となる計100球
8/6シートバッティング48球
8/13シートバッティングに登板
カットボール、フォークを交えて全力投球、48球
8/21ナゴヤ球場
ウェスタンリーグの対広島戦で先発、実戦4年ぶり
想い出づくりのサヨナラ登板かもと思われたが、1イニング20球3安打1失点、なんと最速148km
8/30実戦復帰第二戦
1イニング1安打2三振、無失点、MAX150km
9/11実戦復帰第三戦
先発、復活後初めて2イニング
1与四球1併殺無安打無失点打者6人27球、MAX149km
9/23実戦復帰第四戦
先発、3イニング53球、4安打無失点
　　　　
あの初登板から四年...
一軍復活...
1イニング17球、最速148km

そしてシーズン最終戦
先発、中里篤史
キャッチャー、谷繁元信
3イニング59球は故障後最多
多村に31号2ランを食らう
52球、被安打5、3失点

谷繁が｢今まで受けてきた誰とも違う｣と惚れ込み、福留が｢後ろで守っていて楽しい｣と認め、落合監督が｢モノが違う｣と絶賛した華やかな才能

故障からの奇跡的な復活というストーリー

利き腕だろ?しかも肩
もうあの投球は見れないよ、引退だよ
さっさと打者転向しろよ

今中のようにしなやかなフォーム
右の今中

快速球を投げ込み、打撃センスも抜群

埼玉史上最高の素材と言われた男

故障した直後、トレーナーが｢可動域が狭まるから今までのような投球はできない｣とコメント

4年ぶりの公式戦直前
中里の球速予想で盛り上がる
｢134?と見た｣
｢ほぼ4年間1度も実戦で投げれなかった投手がいきなり130なんて...」
｢頑張ってたみたいだから期待をこめて128Kmくらいとみた」
しかし、結果は予想をはるかに上回るMAX148Km

江夏が高校時代の中里をテレビで観て｢素材的には松坂クラス｣と評した

松坂も中里に注目していた

打撃センスは福留より上らしい

中里と対戦後の広島戦で黒田のストレートについて聞かれた高橋由伸が、｢今まで見た中で2番目ですね、中里って言うピッチャーがいますから｣と答えた

仁志が｢いいピッチャーだなぁ｣と珍しく褒めていた

ストレートと分かっていても打てないらしい
一軍に上がってきたら凄いことになるぞ

05シーズン、活躍して欲しい選手のアンケートで、第一位は中里だった

凄くスピンのかかったボール

球持ちがいい、手元での伸びもある

手元でピュッと来る
全部真っ直ぐだったけど、ほとんどのボールに振り遅れてしまった

ボールがズドンというよりホップしてくる
病み上がりであれだけのボールを投げられるんだから凄いよ

球の出所が見えにくいため、球速よりプラス8～10Km早く見える投球フォーム

他の投手は10の力で投げて10の球がいくが、中里は8の力で投げて12の球がいく

アイツがケガしていなければ、ローテの柱として10年は安泰だったろうなぁ

2006/10/19
祝!日本シリーズ40人枠メンバー入り決定!

2006/10/24
日本シリーズ第3戦目に初のベンチ入り
1死1、2塁で中継ぎ登板
セギノール三振後に痛恨の被弾
2/3イニング、被安打1、奪三振1、四死球0、失点1

2006/10/26
8回1死後に中継ぎ登板
新庄の最終打席を3球三振
2/3イニング、被安打0、奪三振1、四死球0、失点0

中里篤史が地獄のどん底にいるとき
中日ファンは中里篤史という想像上の投手を生み出した
中日ファンの願いはいつしか妄想に変わっていた
たまに現実と想像の区別がつかなくなった者が中里の名を口にするが、そんな時に冷静な中日ファンが言い放つ台詞がこれである
｢中里篤史という投手は存在しない｣
だが、一部ではこれこそが妄想なのではないかという説もある
つまり、中里という素質に満ちた投手は実在する
しかし、不慮の事故で選手生命に関わる大怪我を負ってしまった
中日ファンはそんな辛い現実を忘れるために、中里の存在そのものを消し去ったのではないかと
だが中日ファンに真相を糺しても、彼らは決まってこんな台詞を吐くだけである
｢中里という投手など存在しない｣

オレには見えるよ
一時はセピア色になった、色あせたあの中里篤史が...
今はフルカラーでスポットライトを浴びているのを
そして、この先の活躍が...

さぁ、夢の舞台へ駆け上がれ!!