引き籠もり気味の亀井徹は歪んだ憧れや過去の象徴主義を枕に自慰的夢に倒錯しています。
阿修羅に扮した自画像「妙連」では荒ぶれていた阿修羅が仏果を成就した事を告げる光輪を付けた白い蓮が描かれ、一方バロック期の形を借りた、世の空しさ、富の儚さを表わすヴァニタス画「花虫達」ではすぐに枯れてしまう花や骨に擬態している、すぐに死んでしまう虫等を鏡の上に配し個性的な世界観が表れています。
金剛力士と呼ばれる仏法を守護する天神に自ら扮した油絵で、本来持っている金剛杵(古代インドの武器。密教では煩悩を打ち砕く仏の智慧を象徴する法具) は意味深にも描ず、物思いに耽っています。
恋愛中の金剛力士といったところでしょうか。
言霊を吹き込まれ、散華に向かう女や秘密を交わす蛇と女。
この世の者では無い女が亀井の好みの様です。
(東京アートフェアのコメントから抜粋)
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<諸行無常>を表象した17世紀静物画に光をあて<死>の寓意に充ちたヴァニタス画の系譜を現代に甦らせた連作。
あるいは半神半獣の肖像を通して<無国籍的楽園>の創造と<自己神話化>を試みた作品群など、卓越した油彩表現により古典的構想画を偽装しつつ独自の幻想世界を構築した亀井徹。
2009年6月には画集が刊行される。
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亀井 徹 KAMEI Toru (1976〜 )
日本大学藝術学部美術学科絵画専攻
Nihon University College of Art Fine Arts