幻の明治伊万里

明治初頭、富国強兵を掲げ、殖産興業を振興させた新政府の最大の狙いは不平等条約の改正であった。
国内では洋行派が幅をきかせ、極端な欧化政策もあった。そのようなご時世に和魂洋才を湛えた列強の洋食器にも負けない本邦初の本格的な洋食器開発を成し遂げた会社があった。有田焼で明治新政府より宮内省御用達の栄に浴し、彼の洋風化のシンボル『鹿鳴館』でも使用された食器を製造したのが「精磁会社」である。
精磁会社に糾合した個性的な人物群の興味に加え、製造された優美な陶磁器には誰しも感嘆の声を上げるであろう。今、その精磁会社の食器が復刻されつつある。
新年早々、発表することになっているが、困難な作業に懸命に取り組んでいる有田焼の陶工達にご声援をいただければ幸いである。