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フェリクス・ユスポフ公爵

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詳細 2016年11月14日 23:26更新

ラスプーチン暗殺によって、ロシア歴史絵巻にイコン色の悪名を刻んだ大貴族、フェリクス・ユスポフ(1887〜1967,Феликс Феликсович Юсупов,Felix Yusupov 又はYusopov,Jusupov,Yussupov,Youssoupov,Youssoupoff,Yussupovs)。フェリクスとは「幸福者」を意味する古代ローマ時代の称号であり、それは同時に「運命の女神に愛されし者」「神の摂理の体現者」をもあらわす。一九一六年一二月一九日月曜日、ラスプーチンの死体が発見されると人々はユスポフ邸外の雪の上にひざまずいて、神とフェリクス・ユスポフに感謝を捧げた。


「皇帝と貴族以外は奴隷しかいない国」、格差社会などという愚痴をこぼす余裕ひとつない、人間不平等が野放しにされた帝政ロシアで、国家随一と喧伝された巨万の富(金一トン分と称された、一五〇万ルーブリの年収は国内に三十八ある荘園と宮殿によってもたらされた)、完璧な女装、両刀愛を占有し、すばらしい美術館や劇場が私設された上屋敷のモイカ宮殿で"貴族の天国"を吟味する使命を燃焼させた堕天使は「片目には天使、もう片目には悪魔の光をたたえていた」(アンナ・パブロヴァ)。



「ロシア人ほど情熱的に何かを慾求する人間はいない。もしロシア人の慾望を要塞の下に投獄したら、その要塞は爆発するだろう。」(ジョゼフ・ド・メーストル伯爵『ロシアについての四章』)



一九五三年に上梓された、戦慄の回想録"Lost splendor"によれば、ユスポフ一族最古の血筋はイスラム教の開祖ムハンマドの甥アブー=バクル(572-634 フェリクスはAboubekir ben Raiocと綴っている)だという。先祖たちはエジプトやシリアのアンティオキア、コンスタンチノープルの統治者だった。タタール・ハン国が分裂した頃、ユスポフの一族はノガイ・ハン国の君主ユスフ・ハン(Yusuf又はYussuf Khan 1480-1555)を名乗っており、ユスフはロシアの雷帝イヴァン四世のもとに、息子たちを送った。かれらはロシアで広大な領地をあたえられ、十七世紀の当主ドミートリー(1676-1730)によって、ユスポフ公爵家がひらかれた。

淫蕩な北のベネツィアとよばれた水上帝都ペテルブルグで育った幼いユスポフは、頽廃を一身にあびた美貌の兄ニコライの導きで、女装趣味に開眼する。その声は数オクターヴの高さまで響き、女装をして、女子修道院の合唱団にまぎれこみ、指揮者が気づくまでファルセットをふるわせる悪戯に夢中になった。
ユスポフは生後まもないころ、兄に殺されかかった。美形しか認めないニコライが、赤ん坊特有のしわくちゃ顔に腹をたて窓から突き落とそうとした。

兄の決闘死と、政府高官だった父の左遷により、二十数歳で国家随一の財閥貴族の当主になると、個人劇場がある大邸宅は友人やノマドを招いた仮装パーティーが毎夜ひらかれ絢爛な伏魔殿となった。成人するにつれてより妖しい磨きのかかった女装すがたに、英王エドワード七世さえ油然たるまなざしで言い寄ったという。

ユスポフの仮装への情熱は甚大なもので、オックスフォードに留学した時分、深夜の仮装パーティーに参加すると翌朝には必ずかれの振る舞いが新聞に載ったという。
ユスポフはおなじオックスフォードを卒業したオスカー・ワイルドの、同性愛が豪華で犯罪的に練り上げられた小説を愛読した。



ココ・シャネルの愛人のひとりとしても有名な、ドミトリー大公はラスプーチン暗殺の共謀者であるとともにユスポフとの、ロシア社交界で「文法上のあやまりを犯す」と隠語される同性愛・・衆道でむすばれた恋人であった。

"美―――美というやつは恐ろしいおっかないもんだよ! つまり、杓子定規にきめることができないから、それが恐ろしいのだ。なぜって、神さまは人間に謎ばかりかけていらっしゃるもんなあ。・・・・いや、まだ恐ろしいことがある。つまり、ソドムの理想を心にいだいている人間が、同時に聖母の理想をも否定しないことだ。・・・"ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
(しかしながら、ロシア語の「ソドム」という語はかならずしも自然の理にそむいた性的倒錯というイメージを喚起しないことに注意すべきである。「大騒動」「乱痴気騒ぎ」も、ロシア語では「ソドム」と言う。・・・マリオ・プラーツ『肉体と死と悪魔』原注より)

当時の帝政で、検事総長ヤコビによる秘密法廷は作曲家・同性愛者のチャイコフスキーに、自殺を命じた。



一九一七年の革命で、一旦は巴里へ亡命するが危険をおかしてクリミアの領地へ戻り(トピック「アレはウソでした」を見よ)、公爵家所蔵のレンブラントの肖像画『手袋に山高帽の紳士』と『ダチョウの羽根の扇を持った婦人』の持ち出しに成功する。これらはグルベンキアンに拠って買われ、ワシントンのナショナル・ギャラリィに展示されている。

一九二〇年代のパリでは亡命ロシア貴族たちによる自主ブランド造りが流行した。ユスポフも、絶世の美女とよばれた妻イリナとともにIRFE(イリナのIrと、ユスポフの名前フェリクスのFeからとられた)をたちあげ、ベルリンやロンドンでも開業する。

一九二〇年代以降のユスポフは、かれが主犯のラスプーチン事件をあつかった映画や芝居を片端から観て、不名誉な場面をみつけては訴訟をおこすことをくりかえした。狂気の美男俳優ジョン・バリモアがユスポフを演じた一九三二年の映画”Rasputin and the Empress 怪僧ラスプーチン”を相手に勝訴し、撮影会社のMGMから巨額をひきだした事は映画史でも有名である。

ジョン・バリモアに肉迫する美男俳優、サイレント映画黄金期の大輪たる徒花ルドルフ・ヴァレンチノが好きだったらしい。 



革命前のペテルブルグを凌駕するワイマール・デカダンに浮沈したベルリンで、アンナ・アンダーソンことフランツィスカ・シャンツコフスカ(Franziska Schanzkowska 1896—1984)がアナスタシア皇女を名乗って亡命ロシア華冑界を仰天させると、ユスポフはその騒乱の火に油を注いだ。
『アナスタシア 消えた皇女』(ジェイムズ・B・ラヴェル著 広瀬順弘訳 角川書店 1992)によれば、ユスポフは或る女性をつかって、ドイツのゼーオン城で暮らす偽アナスタシアの毒殺を謀ったが、―――初対面の席で「お前をラスプーチンのように殺してやる」と言い放った―――それからほぼ四十年後の一九六一年に、なんと彼女を皇女に認めてもよいと声明した。

"・・・・ユスポフが、不実で劣悪な人物であることは瞭らかです。ラスプーチンが極悪非道の悪党であったとしても、ユスポフが画策し実行した暗殺は途方もなく愚かしい行為であっただけでなく、歴史上もっとも卑劣な犯罪のひとつであると考えられるべきです。ユスポフは自分が殺人犯で嘘つきで裏切り者である、と自ら認めています。「アナスタシアはペテン師で、その支持者は全員気が狂った詐欺師だ」とユスポフは宣誓証言したのです。ところがイングランド銀行に眠っている、ロマノフ家の遺産の一部が確実に手に入るなら、二年前にハンブルグの裁判で行なった証言を撤回してもかまわない、アナスタシアを皇女と認めてもよいと言っているのです。これは彼が卑劣漢であることの証明です。"



池田理代子の長篇漫画『オルフェウスの窓』(1975-1981)ではユスポフ公爵がモデルの帝政ロシア高位将校、レオニード・ユスーポフ侯が登場する。本人とは正反対の、壮絶なかっこよさを披露している。
池田理代子はエッセイ集『歴史の影の男たち』(小学館、1996年)でへリオガバルス、ポチョムキン、ファリネッリらとともにユスポフを紹介している。
幸か不幸か、いずれも出版がフェリクス・ユスポフの死後だったため、当人からの批判または讃辞は得られなかった・・・・


当コミュニティ参加者に、雄々しき幸福あれ。


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