玄洋社生みの親。近代日本の女傑。
舞台は幕末から明治。
「征韓」をめぐる大久保の術中にはまった西郷の
白雪下の挙兵そして死(西南戦争)。
この物語の主人公、幼少より父から
男として育てられた女医高場乱は、西郷の死
を心から悼んだ。乱は、興志塾(のちの玄洋社)
を開き、頭山満、来島恒喜ら、青春さ中の男たちに、
日本の進むべき道を、学問を通して徹底的に叩き込む。
自由民権運動の先端を走り、近代日本の幕開けを
リードした玄洋社。佐賀、神風連、萩、乱あい次ぎ、
愛弟子たちの死を前にした高場乱。乱の志を継ぐ頭山が、
アジアに見たものは何だったか。
(藤原書店、永畑道子著『凛』帯および見返しより)