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共産主義

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詳細 2016年11月20日 12:25更新

共産主義(きょうさんしゅぎ、英Communism)は、生産手段の私的所有を社会的所有にする事に依って、階級支配がなく、搾取形態が消滅した「能力に応じて働き、必要に応じて分配を受ける」社会の成立を目指す為の道筋を示そうとする社会理論及び政治運動、イデオロギーを意味する。

古代ギリシアのプラトンの学説にも見られるが、ブランキやオーウェンやヴァイトリング、その他の初期社会主義者の中でも特に直接的な運動を重視する人々による共産主義の展開が端緒となった。マルクスとエンゲルスがそれまでの共産主義を総括した、個人的必要に供するものを除く生産手段の私的所有の廃絶による共産主義、階級闘争史観とそれに基づいた将来のプロレタリアートによる共産主義の樹立の必然性を唱えた唯物史観、ヘーゲル弁証法と唯物論との融合による弁証法的唯物論、アダム・スミス→リカードによって確立された労働価値説からプロレタリアートの搾取を説明した剰余価値説等の諸理論の集大成から成る大規模な思想体系「マルクス主義」とその運動を一般的には指す。最も狭義では、マルクス主義をロシア的環境に於いて実践したレーニンの思想であるマルクス・レーニン主義(ML主義)の事をいう。ウラジミール・レーニンは「共産主義とはソビエト権力と全ての電化である。」と定義した。

反マルクス主義的な無政府主義者の中にも独自の自由共産主義を標榜する者が居るし、コルネリュウス・カストリアディスの様にマルクス主義から決別し、自主管理を基調とする共産主義を主張する者もある。


マルクス主義の理論
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革命とは、一般に社会構造が根本的に変革される事である。マルクス及びエンゲルスは国家を一階級によって他階級を支配する為の装置であるとした。故に資本主義国家とはブルジョア(資本家)がプロレタリアート(労働者)を支配する為の階級支配の機関であると規定する。そして、その支配を革命によって打ち倒しプロレタリア独裁を打ち立てた後に社会主義社会を経て共産主義社会に到達する為の道程とされた。マルクスは「革命が暴力的であるか平和的であるか、民衆の成熟度とともに、時の状況や力関係による」と規定し、エンゲルスは資本論(1886年)で「平和的な手段をもって、不可避的な社会革命を遂行する」ことができるともした。これを受けて、ヨーロッパの共産主義は、ヘゲモニー概念・その他の理論的発展により、支配は暴力によるもののみではなく、より精神的な要素、法体制的な要素も含まれると考え始めた。

しかし、マルクスとエンゲルスは、その著書『共産党宣言』において、「共産主義者は、彼らの目的は、既存の全社会組織を暴力的に転覆する事によってのみ達成出来る事を、公然と宣言する。」として、暴力によってのみ社会主義革命が達成できると主張した(暴力革命必然論)。革命理論としては他に、国家は抑圧の為の装置であり、全社会は相対立するブルジョアジーとプロレタリアートの二大階級に分裂するという(階級国家観)、過渡期においてはプロレタリアートの革命的独裁が行われなければならないという(プロレタリア独裁論)、『共産党宣言』の一節「万国のプロレタリアよ団結せよ」で知られるプロレタリア国際主義、民族解放理論などがある。

マルクスによって提唱された共産主義は、歴史的には、資本主義社会の構造の分析を経て、マルクス以前の共産主義を再定義した考え方であり、その特徴は、既に私的所有の範囲を超えて社会的に機能している生産手段の社会化を提唱した点にある。従って共産主義の本質とは私有財産の廃止でなく、社会的生産手段(工場、土地等)の私有の廃止がその核心であり、個人的な必要に使用される財産は逆に社会主義社会において再建されるとされる。

先ず前提として資本主義社会があり、その資本主義社会が成熟した状態で、革命を通じて社会主義社会を目指してプロレタリア独裁体制を樹立し資本主義的な制度の廃止を行い、その後不必要になったプロレタリア独裁を廃止し生産手段の社会化が成された社会主義社会となり、そこで生産量は無限大に増加し、科学技術が指数関数的に発達しきった段階で共産主義社会へ到達するとされ、共産主義は生産的にも最も高次で、成熟した社会の段階であるとされた。

20世紀の社会主義国家
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最初に社会主義革命が起きたのは資本主義が成熟していない農業国のロシアであった。19世紀以降に産業革命後の資本主義社会において過度の競争により、貧富・階級差が社会に生じ、生産力を持たない労働者階級の立場が悪くなる社会情勢を受けて、どうしたら労働者階級の人々が立場を保障され、平等に暮せるかという問題に対して生まれた思想であり、当初は労働者階級を対象とした思想であったと思われていたが、実際は理論と実践が矛盾する結末に至った。 共産主義の理想や理論がどのように評価されるものであるにせよ、実際に社会主義国家が、20世紀中に「共産主義」を確立することは出来なかった。

「共産主義を目指した国家」はいずれも、資本主義における科学技術の指数関数的発達や市場経済、生産手段の成熟を待つことなく、共産主義社会建設の前提・暫定措置としてソ連型社会主義に移行したまま、そこに留まってしまった。共産主義社会はおろか、社会主義の実現にも成功したとは言えず、その中で、生産手段の私的所有の廃止・労働機会の官有による権力の集中は当初の目的を外れ、単に資本家に代わって、その国で共産党を名乗る政党が生産手段を独占するだけに終わった。また政治的にも、これらの国々は議会制度が十分に成熟・機能していない状態から直ちに共産主義を目指した為、共産党(を名乗る政党)による一党独裁制に陥った。特に、ソ連のスターリン執政期や中国の毛沢東執政期に至っては、自分の政策に反対する勢力や同僚を、政治的にまたは物理的に抹殺するに止まらず、政策に反発する市民や全く無関係・無関心な人民までをも大量に虐殺、餓死させる等、歴史的に新奇な全体主義体制を創り出した。スターリンや毛沢東の独裁は、マルクスやレーニンが目指した「共産主義」からは大きくかけ離れているが、この歴史的事実は、共産主義に対する認識を大きく歪ませてしまった。 これらの例については、社会の実情を十分に把握せずに先ず形から社会主義化を押し進め、市場や生産手段の成熟を待たず強引に政治構造のみを変換しようとしたのは根底から間違った方法であり、マルクス本来の共産主義からかけ離れた存在だったとして、将来的には本来あるべき共産主義への移行が有り得ると考える人もいる。これに対して、十分に成熟して議会制度の下に繁栄している資本主義の国には、マルクスの時代に指摘されていた資本主義の問題点である過酷な労働環境は解消され福祉が発達しているのであるから、成熟した資本主義から真の共産主義体制に移行するというのは非現実的だと考える人もいる。あるいは、現時点では一見成熟したように見える資本主義もまだまだ社会的矛盾を多く抱えており、問題点を解決した資本主義の究極形態が共産主義であるとして、一度に変革するのではなく、徐々に行われる成長と改善によって、「成熟した資本主義」が共産主義に変化していくという考え方もある。

20世紀の共産主義を標榜した国家の多くは、「共産主義によって、皆が等しく自由に、豊かになる」と唱えながら「全体主義によって、皆が等しく束縛、貧しくなる」という最悪の結果をもたらした。これらの事実は、共産主義を目指す国々が、歴史に刻む「負の遺産」である。これらの「負の遺産」を乗り越える事が、これからの共産主義を目指すという思想の要になってくるであろう。


共産主義の現在
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中華人民共和国では改革開放によって急速に市場経済化が進んでいるが、生産力の増大を目的に成熟した資本主義を準備する現在の中国は、寧ろマルクスの経済発展段階説に忠実であり、その究極地点こそが共産主義だと認識されている。現に中国共産党は1987年から現段階を生産力が低い初期段階に規定している。中国とは対照的に、かつては「地上の楽園」と呼ばれ90年代に深刻な飢餓に見舞われ経済が崩壊した北朝鮮は公式にマルクス主義を事実上放棄した。冷戦終結後に最大の援助国ソ連を失ったキューバはその後も米国の経済封鎖が解かれていないため国内の経済は停滞しており、都市部での有機農法での食料増産や省エネルギー政策である程度の改善がみられるものの、最近増加傾向にある中南米の友好国からの経済援助無しでは立ちゆかない状態である。しかし、ソ連崩壊後は逆にアメリカ合衆国の一極集中支配に対する反発を生んだ。冷戦期は共産主義に対する脅威から西側諸国は社会保障を充実する等労働者の権利を認めざるを得なかったが、冷戦の終結と東側陣営の崩壊は再び資本主義国の労働者を過酷な境遇に追い立てている。それはアメリカや日本等新自由主義経済の国々で著しい。その為、逆に21世紀を迎えた今日こそ共産主義革命の好機だと共産主義者は主張する。東欧や南米では選挙によって民主的に共産主義政権が誕生する事例が相次いだ。これらの国々では嘗ての共産主義の認識にとらわれず、その国に合った独自の国作りを目指している。

ちなみに日本においては「共産主義は過去の思想」という認識が強く、嘗て学生運動等を展開していた所謂団塊の世代も、現在では革命を訴える事も無くなった。平成18年現在、日本共産党が18人、社民党が13人の議席を国会に確保しているが、国策を主導するだけの力は持っていない。特に、社民党は社会民主主義政党へと方針を転換しており、共産党も政策的には社民主義に近づいている。


マルクス・レーニン主義の理論の再検討
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20世紀の社会主義国家の失敗によりマルクス・レーニン主義の理論の再検討が行われている。 1870年代にウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ、カール・メンガー、レオン・ワルラスの3人の経済学者が、ほぼ同時に、且つ独立に限界効用理論を基礎にした経済学の体系を樹立し、古典派経済学に対して近代経済学を創始した。近代経済学では、希少な財を配分する事に於ける市場の優位性が証明された。また、価格を説明する為の理論として労働価値説は、否定されるに至った。アナリティカル・マルキシズムでは、プロレタリアートの搾取を説明するのに労働価値説は使用しない。 1920年代から1930年代にかけて、合理的経済計算と効率的資源配分に関する社会主義経済の存立可能性に付いて社会主義経済計算論争が行われ、オスカル・ランゲがワルラスの一般均衡理論に基づく社会主義経済を構想し資本主義経済に対する優位性を主張した。ランゲの構想に着想を得て、東欧諸国では生産手段の公的所有に基づく市場経済の導入が行われたが、いずれも現存する資本主義国家の経済を上回る効果を生まなかった。 1990年代になりソ連・東欧の失敗を踏まえて、ジョン・ローマーは現在の資本主義とほぼ同じだが、企業の株式は、国民に平等に配分されたクーポンによってだけ購入出来るというような経済システムをランゲの構想の延長線上として提起した。このローマーの経済モデルも現実の経済システムの様な活力を持ち得ないという批判が多くの自由主義者から起こっている。


蔑称としての共産主義
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反共主義の立場から、共産主義が広く影響力を行使していることを共通認識に蔑称としてよく用いられる。これにはアメリカのベノナスパイ、ナチスドイツのローテカペレ、イギリスのマグニフィセントファイヴなどに代表されるように共産圏のスパイ網が絶大だったことが背景にあり、日本では近衛文麿首相が「国体の衣を着けたる共産主義」と呼んだ革新官僚や統制派が幅を利かせ、ゾルゲ事件などに見舞われていた経緯があるからである。戦後はニューディーラーの貢献でマルクス経済学が主流派となり、公然たるマルクス主義者が政策担当者や教職などに就き、一種のパラダイムを形成した。その為、今日でもエスタブリッシュメントに対する反共主義の不信感は強いのである。

現在では、『産經新聞』『世界日報』など、反共主義者の発言に比較的寛容な媒体で識者などが、「共産主義の脅威」を訴えることが極めて多い。一例として中国・北朝鮮など共産主義諸国との宥和政策、ジェンダーフリーや皇位継承問題 (平成)での女系天皇推進論、日本國憲法や国際連合、さらに進化論などの自然科学の分野に至るまで共産主義の脅威が潜在すると主張している。しかし、一連の分野に以前、そういった勢力が何らかの関係を持った事実は確認されている。

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2006年10月19日

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