INDUSTRIAL HEMP CLUB JAPAN

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詳細 2020年3月31日 22:37更新: 　ヘンプは一万年以上も日本人の生活に密接に関わってきました。縄文時代からヘンプの繊維で糸や紐、縄が作られ、衣服や生活用品に利用されてきたことが各地の遺跡出土品から明らかになっています。また、古くから神社では各種儀式に欠かせないものとしてヘンプが重要視されています。現在でも「弓道」の弓の弦や「大相撲」の横綱の化粧まわしに用いられているほか、七味唐辛子の中にヘンプの種子（麻の実）が入っていたり、いなり寿司や味噌にヘンプの種子をまぶすといった伝統的な食べ方も受け継がれています。

　ヘンプは１１０日程度でまっすぐ２～５ｍほどに成長する一年草です。ほとんどの気候で栽培でき、害虫や雑草にも強いため土地や水を汚す除草剤や化学肥料の散布を必要としません。また、その成長過程においても、大地に力強く根を張り土地の侵食を防ぐばかりか、土壌から有害な重金属の汚染物質を徐々に吸い上げ、土地を浄化する役目も果たします。莫大な量の農薬散布を必要とする綿（コットン）と比べても、ヘンプは繊維原料として、とても地球にやさしい作物です。また、紙の原料の主要を占める木材パルプは貴重な森林資源を奪い、大量の農業廃棄物が生じますが、ヘンプは面積あたり木材パルプの４倍もの繊維を作り出すことが可能です。

ヘンプは全体に捨てるところがありません。
　ヘンプの茎からは絹に近く繊細で光沢のある繊維や品質の劣化しにくい上質の紙が取れます。また、茎に豊富に含まれているセルロースからはエタノールが抽出できるほか、近年では建築資材やプラスチックの原料としても活用されています。ヘンプの種子には良質のタンパク質が含まれており優良な食品としての利用が注目されています。花や葉はアメリカで緑内障患者に処方されているのをはじめとして、様々な薬効が研究、開発されています。

バイオマスエネルギー
　エネルギー資源として転換、利用できる生物有機体（バイオマス）としてもヘンプは無限の可能性を秘めています。従来のエネルギー資源が枯渇の心配がある地下資源（石油、鉱物、ウランなど）であり、他の地域に依存しているのに対して、ヘンプは再生可能な地上資源、地域資源として活用が期待されています。

　また、石油は使用・燃焼によって二酸化炭素を放出し、地球温暖化の一因になっていますが、ヘンプは成長の過程で二酸化炭素を酸素に転換させるので、バイオマスエネルギーとして利用・燃焼させる過程においては空気中の二酸化炭素のバランスを崩しません。

「ヘンプは3000万種ある植物の中で最もバランスが取れ、凝縮された栄養分が含まれている」（ジャック・ヘラー氏）

　ヘンプの種子は畑の肉といわれている大豆に次いでタンパク質が多く、すべての必須アミノ酸と不飽和必須脂肪酸をバランスよく含んでいます。

　タンパク質に含まれるグロブリン・イデスチンは消化吸収が早く、健康な免疫組織の維持には不可欠であることから、現在、ガン患者やエイズ患者の免疫機能増強にヘンプの種子の抽出物を用いる研究も行なわれています。

　また、不飽和必須脂肪酸であるリノール酸やリノレン酸は人体では生産されないため食物からの補給が必要です。これらの不飽和必須脂肪酸はコレステロールの生成を抑制し、血管を膨張させることによって動脈の血小板の凝固を予防する働きがあります。

　中国では古来、ヘンプの種は不老長寿の漢方薬「麻仁」として親しまれてきました。

茎と種は合法、葉と花を違法

　日本人にとって稲や麦よりも古い歴史と深い関わりを持つヘンプは１９４８年に大麻取締法の施行により禁止されました。

　この法律の目的は心身に対して薬理作用のあるテトラヒドロカンナビノール（ＴＨＣ）を含有するカンナビス属植物を規制することで、その内容は「茎と種を合法とし、葉と花を違法」と規定するものです。

産業用ヘンプ（Industrial Hemp）

　ＴＨＣの残存率が高いということで花と葉が規制の対象となっていますが、９０年にフランスで開発されたＴＨＣの含有量がきわめて低い（0.3％以下）ＣＢＤＡ種は現在ヨーロッパとカナダで産業用ヘンプ（Industrial Hemp）として栽培に助成金を与えるなど、積極的に栽培が推奨されています。

　ヘンプ栽培を解禁した国のねらいとして化石燃料の依存度の軽減、森林伐採の進行を止めるというような地球環境問題の視点と農業の新しい市場開拓、雇用問題の改善など地域経済の活性化があげられます。