ベルギーの海沿いの都市=オーステンド出身の
ジェームズ・アンソール(1860〜1949)は
近代美術の先駆者として、セザンヌやゴッホと
並んで称された程だが、ジャンルを特定出来ない
その作風はあまりにも個性的であり、国際的に
高く評価されたベルギーを代表する19〜20世紀の
画家であります。
また、広くは幻想的な『仮面の画家』として
知られておりますが、その出発点は写実主義の
模索の日々でした。若き日のアンソールは
外光派的表現(対象を光の中に捉える表現方法)を
取り込んだリアリズムによって、故郷の海辺の風景や
静物・人物等を描いており、その時代の作品には
優れた感性が伺えます。
やがて彼の作品には『仮面の画家』と言われる
由縁となるカーニヴァルの仮面や骸骨といった
劇場を思わせる様な不気味なモチーフが
登場していきます。
現実にある醜悪で汚れた人間の姿やキリスト教の
物語や歴史・政治・社会的主題等を悪夢の様な
幻想的世界観でグロテスクに描かれており
そこには辛辣で呵責なく諧謔を交えた批評精神と
鋭い風刺で痛烈に真実を暴き見出そうとした思いが
強く込められております。
また、こうした彼独自の表現を形成する過程には
中国や日本の東洋美術(シノワズリー)の影響が
指摘されており、葛飾北斎による絵手本『北斎漫画』を
模写した素描の作品もあります。
その繊細、且つ大胆な込めたるメッセージの描写は
他に類をみない芸術家である"James Ensor"を
こよなく愛し、魅せられた方々の情報交換と
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