ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

インドネシーアバウの24小説コミュの24(mcdonalds)?12:24-13:00

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
12:24

マクドナルドのバッジを付けたスーツ姿のやや年配の男性達が
円卓のある大きな部屋に集まり始めていた。
それぞれ、横には秘書らしき人物を従えている。

既に席に着き、談笑をしている者もいる。

円卓からやや離れた席に着いた1人の男性が
スタンドで立てられたマイクに口を近づけ、部屋を見渡し声を発した。

「予定通り13:00より次期社長就任選挙の開票を始めます。
 5分前に着席していただければ結構です。
 予定時刻まで30分以上ありますので、どうぞおくつろぎ下さい。」

その言葉に1人の男性が声を出した。

「くつろいでるとも。結果は既に出ているようなものだ」

その言葉に会場にいた男達が声を出して笑った。
呼応するように、さまざまな場所から声が飛んだ。

「一部の幹部には、彼を批判する者もいるが
 全国の一般従業員の支持率が非常に高い。確かに彼以外はあるまい。」

「一般従業員の選挙権をなくさないと、彼は死ぬまで社長を続けるだろう。」

飛び交う言葉は、「彼」と呼ばれる男性を褒め称える言葉ばかりだった。
中には不愉快そうな顔をする者もいたが、支持する人間の方が遥かに多いようだった。

1人の男性が、入口付近で携帯電話を片手に持って部屋中に聞こえる声で言った。

「噂の『彼』が到着されたみたいですよ。」

部屋の外にまっすぐ伸びた廊下の先にあるエレベーターの扉が開き
1人の黒人男性が女性を連れて、威風堂々と歩きだした。


12:30

「ジャック今戻りました。
 妻はてりやきバーガーセット、息子はハッピーセットです。」
 セットの玩具は……
 ジャック?ジャックいませんか?」

トニーが入口の扉を開けて店内に入った。
軽く見渡したが、店内にはジャックの姿は見えない。
厨房の中を覗き込むトニー、中では山田がパティを焼いていた。

「おい…!なぜお前が厨房にいる!?ジャックは!?」
「…あの人なら俺にマニュアルを押し付けて外に出て行ったよ!」

ぶっきらぼうに吐き捨てる山田。
トニーはレジの下から無線を取り出した。

「クロエ。アルメイダだ。ジャックはどうした?」

--トニー、お帰りなさい。
 ジャックならドライブスルーに入った空腹の4人を尋問中です。
 そこの画面に映像を送ります。--

ドライブスルーのカメラ映像にトニーは目をやった。

「……ん…??」トニーは何かに気づいた。「クロエ…」

--どうかしました?--

「これは今の映像か…?」

-はい。リアルタイムです-

「…この映像…おかしいぞ!!ジャックの上着が違う!!
 今日着ていたのはキャンペーン用のTシャツだったはず!!
 ここに映っているのは通常のユニフォームだ!!」

--え!?--

「クロエ!!ビルに連絡しろ!!それと今すぐ動ける従業員を店内に回せ!!
 山田!!お前の妻はてりやきセット…息子はハッピーセットだ!少しの間頼む。
 ドリンクは2人ともオレンジジュース、おもちゃはピカチューのヤツだ。
 すぐ従業員が来る!」

--了解!--
「りょ…りょうかい…!?え??俺??」

山田はトニーの勢いに押された。

それを聞くと、トニーは扉を開けドライブスルーポイントに向かった。
現場に着いたトニーは唖然とした。

「どうなっているんだ…」

そこにはジャックのライフルが転がっているだけだった。

--トニー!すみません。
 ドライブスルーのカメラに侵入の形跡を発見しました。
 映像をすり替えられています。
 今携帯電話に実際の映像を転送しました--

トニーは携帯電話を開き、転送されてきた映像を見て目を丸くした。

「なんてことだ…」
そこには神経ガスか何かでで眠らされたジャックが
4人の男達に拉致される映像が映りこんでいた。

「クロエ!この車を追えるか!?」

--何とかやってみます。国土交通省に映像取得の申請をします。10分下さい-

「5分でやれ!」

--…努力はします。--

トニーは無線を切ると落ちたライフル銃を拾い上げ、
辺りを見渡しながら「くそっ」と吐き捨てた。


12:38

車の中でジャックは目を覚ました。まだ頭がクラクラする。
最後部に寝かされ、手足は縛られている。さるぐつわはされていなかった。

泳ぐ意識の中、ジャックは自分の状況を冷静に分析した。
走行中の車は、ワゴン車である事が分かった。

運転席に1人、助手席に1人、その後部に2人が乗っている。
自分がいるのは更にその後ろ、3列目の座席を倒しフラットにした状態で
4人は何やら会話をしている。

ジャックは、寝た姿勢のまま、座席の隙間と窓ガラスの反射を利用して確認した。

助手席の男が何やら武器を持っているのが見える。
車が信号待ちで停車したタイミングを見てジャックは4人に話しかけた。

「くそっ…お前ら…一体何者だ…!?」

ジャックはミノムシのように体を動かし
社内の最後部にもたれかかる姿勢を作った。
 
「目が覚めたのか…」
4人は同時にこちらを向いた。30代と思われる男性が4人。
マスクをしている者もいるが、どの顔もジャックには見覚えがなかった。

「目的は…なんだ!?」そう言うと同時に信号が青に変わり、車が進みだした。

車は信号で右折し、あまり整備されていない路地に入ったようだ。
車体が前後左右に小刻みに揺れていた。

4人はジャックの問いには答えないままだった。

ワゴンはしばらく路地を進み、どこかの敷地に入り停車した。
そこは、現在は使用されていないと思われる倉庫の中だった。

4人は車から降りた。
その内運転席と助手席の男2人が外から回り込み、背面のドアを開けた。

「ぐぅっ!!」ジャックは引きずり降ろされ、地面に叩きつけられた。

その様子を腕を組んで見ていた一人の男が口を開いた。
中肉中背のどこにでもいる中年男性に見える。

「俺たちはお前に用があるんじゃない。マクドに用がある。」

「なんだと…!?どういう事だ!!」

ジャックは地面で少し態勢を整えた。

「俺たちはお前たちの店に苦しめられた…言わば同士だ。
 そして…日本国民、いや…世界人民の代弁者だ!!!」

男の言葉には気迫が感じられた。
ジャックは体を上に向け、車体の側面に上半身を寄せた。

「もし俺たちが何かをしたのなら謝罪しよう!!
 しかし…お前たちのやっている事はただの犯罪だ!!」

「黙れ!!マクドの飼い犬がぁ!!」

そういうと男はジャックを殴り飛ばした。
ジャックは車体に頭を叩きつけられ、苦痛に顔をゆがめた。

それを横目に、殴った方の拳をさすりながら
ノートパソコンを持った一人に指示を出した。

「おい、繋げ」

「了解」

そういうと携帯電話をノートパソコンにつなぎ、キーボードを両手で叩きだした。
ノートパソコンの男が携帯電話を耳にあて、発信している事を確認し、
「どうぞ」とそれを差し出した。

12:50


--お電話ありがとうございます。マクドナルドお客様相談窓口です--
電話口から女性の声が聞こえてきた。

「従業員を一人拘束している。責任者を呼びたまえ。」

女性はその言葉に一瞬ためらったようだったが
--は…しょ…少々お待ち下さいませ--と、そう言って保留音を流した。

4人はそれぞれイヤホンをつけ会話の内容を聞いているようだが
ジャックには携帯電話を持つ男の声しか分からない。

--責任者のビル・ブキャナンだ--

「ビル・ブキャナン君。ごきげんよう。私は世界の代弁者の代表だ。」

--ジャックは無事か?--

「もう気付いているのか。話が早いな。」

--まずは名を聞こうか--

「新名とだけ答えておこう。」

--ニイナ…珍しい名前だな…--

「そんなことはどうでもいい。ここに従業員を一人預かっている。
 俺たちの要求に答えなければこいつの従業員生命は無くなると思え。」

--…分かった。聞こう…--

「まずは…ポテトだ。アツアツのポテトが食べたいのに…
 ぬるくて不味いポテトが出てくる事がある。」

ジャックは新名と名乗った男の言動から咄嗟に直感した「クレーマー」だと。

--マニュアルで数分は作り置きを使う事を許されている--

「ただぬるいんじゃない!!待たされたのにだ!!5分も待たされたのに
 冷めている事がある!!これはお前たちの怠慢だ!!」

新名は声を荒げた。

--ハンバーガーに時間がかかればそういうこともある。--

「ふ…いつまで大口をたたけるかな…
 テイクアウトで商品を間違えられた事もある…」

--…それは…--

「20分かけて持ち帰り食べようとしたら
 大嫌いなピクルスの入ったハンバーガーだった。
 俺が頼んだのはてりやきだ!!」

電話口のビルは明らかに動揺した様子で、会話にはしばし間隔が空いた。

--…少し待て--

ビルは電話を保留にし、クロエに聞いた。

「逆探知はどうだ!?場所の特定はできたか!?」

数台のパソコンを前にキーボードを叩きながらクロエが答えた。
「スクランブルがかけられていて時間がかかります。」

ビルは「そうか」と顔をしかめ「車両の特定は?」と続けた。

「ナンバーはダミーナンバーですが…
 店舗南西約1?先の交差点で左折したところまで確認できました。」

「急げ。トニー聞いていたか?」

ビルは別の電話機の方向を向いて声をかけた。

--ええ。今交差点に向かっています--

「電話の向こうからは車のエンジン音は聞こえない。
 おそらく現在は停車中だ!
 ジャックが拉致されたのが12:28だから
 電話をかけてきた時間から逆算すると…
 おそらく車で10分〜20分圏内の場所だ!!交差点付近で待機しろ。」

--コンピーザッ--

12:55

「長い保留だ…ふ…ココが探知されるのは時間の問題だな…」

新名は薄笑いを浮かべながら呟いた。

「…ニイナといったな…お前たちが逃げ延びる可能性はゼロだ…
 相手は世界最大のFFC(ファーストフードチェーン)だ…
 どんな事をしてでもお前を黙らせるぞ…」

「バウアーと言ったな…俺たちをなめるなよ…
 お前は俺たちを…ただのクレーマーと思っているだろう…?」

「なんだと…?」

ジャックが聞き返したところで、新名は目を反らした。

--ニイナ!ブキャナンだ--

「待ちくたびれたぜ…
 先に言っておくが…時間稼ぎをしてここに来ようとしても無駄だぞ…」

--なんだと…?--

「ここに乗り込んだ瞬間…
 マクドナルドの誹謗中傷を…ある事ない事を含めて
 2ちゃんねるやよつばちゃんねる…全世界の名だたる掲示板に投下する…
 もちろん…ココにいるバウアーの従業員生命も同時に消えると思え…」

ジャックは新名の部下を見た。
そこには立ち上げたパソコンが数台あった。
脅しなどではない…この4人は間違いなく「クレームテロ」を引き起こすのが目的だった。

--!!!…な…なんという卑劣な…--

「イメージが大事なら受け入れろ!
 お前たちマクドが行ってきた不手際と怠慢を!!」

--く…我々に非があったのなら詫びよう。
 そして君たちに迷惑をかけた商品の一切を保証しよう。--

「その言葉はマニュアル通りかな?
 ブキャナン君…勘違いするな…
 精神的攻撃を受けた俺たちに、1対1の取引は虫がよすぎる。」

新名はジャックに近寄り、腹部を蹴り上げた。
「ぐうっ!!」と倉庫内にジャックのうめき声が響いた。

電話越しのビルにもその声は聞こえた。

--ジャック!!--

「忘れるな。ブキャナン君…こっちには人質もいる…
 マックカードを一年分だ!…それを5人分!
 「1年分の定義」は「1日3食」とさせてもらう!」

ジャックは違和感を感じた…
ここにいるのは4人…なぜ5人分の要求をするのか…


「マックカード…1年分だと…?」

ブキャナンは1人の女性に目をやった。
「一食を500円として1年が365日…
 53万7,500円…5人分となると…273万7,500円です。」

女性の答えに眉間にしわを寄せたクロエが割り込んだ。
「一食500円は数年前のデータよ。
 今は地域によって平均単価が違うわ。再度計算をやり直して。」

「どちらにしても…クレーマーにしては法外な請求よ。」
女性は不服そうにクロエに言った。

「この仕事で必要なのは正確性とスピードよ。もう一度言うわ。やり直して。」
クロエは口答えするなと言わんばかりに振り向き、女性を睨みつけた。

「…分かりました。」
女性はクロエとは目を合わせず、不服そうに振り返った。

「朝マックのデータも反映させて。」クロエは女性の背中から呼びかけた。

しかし、その女性は何も言わず自分のデスクに戻った。

それを見送るとクロエは、新名と交渉を続けるビルに1枚の紙を差し出した。
そして新名に聞こえないよう、小さな声と早口で告げた。
「お客様相談室の過去10年の顧客データベースから「新名」という名字の人間を検索しました。
 該当者は8人…内男性は6人です。
 標準語を使っているようですが
 『マクド』という関西なまりがありましたので、
 関西地方に絞って検索したところ該当者は1名に絞れました。この男です。」

ビルは話を続けながら資料に目を通した。

「新名舞哉(にいなまいや)32歳 大阪出身の独身 自称プロサーファー
 過去に薬物での逮捕歴があります。
 先ほどのポテトとテイクアウトの件、
 それ以外にもドリンクの間違い、レタスの量など多岐にわたりクレームがあります。
 職歴などの詳細についての履歴はなし。念のため現在ハローワークに問い合わせています。」

ビルはその資料を見ながら小さく頷きクロエに手で「待て」の合図をした。

「すぐに上の許可を取る。受け渡し場所はどこだ?」

--1時間以内に準備しろ。場所はまた連絡する--

そういうと電話は一方的に切れた。
ビルは鼻の下に、右手人差し指の第二関節を軽く当て、
何やらしばらく考え事をしていた。

「クロエ、私は本部に連絡を入れておく。
 引き続き新名の調査、誰かにマックカードをかき集めさせろ。」

そういうと、ビルは踵を返し、自室に戻っていった。

13:00

続く→http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=46794148&comm_id=4580506

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

インドネシーアバウの24小説 更新情報

インドネシーアバウの24小説のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング