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日本国債市場分析コミュのH20年度スタート早々の金利急騰(下)

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相場自体の悪化の一途を辿る中、計画通り発行される国債を市場で消化することは非常に困難だった。ただでさえリスク許容度の低下している証券会社はこれまでのように「在庫手当て分」として落札する分を減らし、期初時点では押し目買い意欲満々であったであろう投資家達は、金利急騰により既保有分の評価損が大きく拡大していたために、入札で札を入れてリスクを取ることを避けがちだった。結果として、利付国債の入札は毎回テールが流れるなど不調な入札が続いた。よって、入札は相場の重石になり続けた。

6月に入ると、バーナンキFRB議長やポールソン米財務長官が相次いでドル安是正発言を行い、これがFEDの早期且つ段階的な利上げ観測が浮上。また、トリシェECB総裁が5日の理事会後の記者会見で「物価安定のリスクが一段と高まった」「ECBは時宜を得た方法で断固たる行動を取る」「来月7月に利上げする可能性は排除していない」などと発言したことから、こちらでも早期且つ段階的な利上げ観測が急浮上し、ともに短期ゾーン主導で金利が急騰するに至った。

こうした欧米中銀総裁の発言を受け、「日銀も協調姿勢を取るのではないか!?」という意味不明な憶測も浮上し、円金利も6月中旬にかけて中短期ゾーン主導で上昇余地を試す展開となった。結局、2年1.05%、5年1.56%、10年1.895%まで売り込まれ、年度末の水準からそれぞれ47.5bp、81bp、62bp金利上昇した計算となる。2ヵ月半という期間を考えると、まさに「急騰」と呼ぶにふさわしい値動きだった。

先物(日本長期国債先物08年6月限)は3月半ば過ぎに142円台まで上昇した後、6月13日に132.05まで実に約10円の下げを演じた。特筆すべきはこの間先物建玉の急減少が起きていること。3月時点の14兆円から6月上旬(まだ限月交代に伴う建玉の減少がほとんど起きていない時点)にはその半分である7兆円前後まで減った。相場下落に伴って建玉の減少が起きたということは素直に解釈すればCTAファンドなどがそれまで積み上げてきた買い玉を一斉にクローズしたということになる。また、グローバルな信用収縮の動きに伴い、ファンドからの資金引き上げが生じ、やむなくポジションの解消に至ったという側面もあったかもしれない。

12・13日に行われた日銀金融政策決定会合において白川総裁は欧米の中央銀行とは金融政策運営において協調体制を取らないとはっきり言及されたこともあって相場はようやく下げ止まり(懸案の5年債入札を何とかこなしたことが大きかったような気もするが)、その後は金融機関の損失拡大観測や金融・自動車セクターの格下げ報道、センチメント系指標など一部経済指標の悪化等を背景に米国を中心に株価が大きく下げたことなどを背景に金利は徐々に低下余地を試す展開となった。米金利低下の動きもフォロー材料となり、5年1.2%割れ、10年1.6%割れまで戻るに至った。

しかし、今後金利低下基調が鮮明になるかどうかは疑問だ。当然、金融市場の参加者にも「学習効果」があり、「金融機関の損失拡大による破綻懸念の増大」や「景気減速懸念」というテーマでもって昨年度末にかけて加速度的に進行した「質への逃避」の動きが素直に起こるとも考え難い。当時と違ってインフレ率は大きく上昇している。日銀はともかくECBとFEDは明確に「インフレ抑制姿勢」を鮮明に打ち出しており、これが金利マーケットの足枷要因となろう。

それとリスクシナリオとして「リスク資産の総売り」が起こる可能性も念頭に置いておかなければならないかもしれない。スタグフレーション懸念が増大する中、もはや中銀は有効な政策を打てないという指摘もある。株や債券といった伝統的な資産が相関関係を失い、全て減価していく。これまでの運用手法・論理が通用しない事態が起こるのかもしれない。

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