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秘密のバイト大作戦。コミュの【荒野に生きるチーム 第6.5話】

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【第6話】からの続きです。

【第6.5話】こころ



 奥野と名乗った男のいびき声が高らかに響く。本来なら眠りに付けられないその騒音に激しく憤慨するところだが、今の僕には丁度良かった。どちらにしろ眠ることなど出来なかったのだから。



 人間は本質的にわがままな生き物だ。そして同時に合理的な生き物でもある。



 僕も今回の「バイト」では合理的な選択を常に行ってきたはずだ。そう、今までは。



 しかし、それ以上に人間は強い感情の起伏、また知能というものを持っている。感情の激しい揺さぶりにより、時に不可解な言動を選ぶこともあるのだ。



 今の僕がそうだ。正直バイトのことなどどうでもよかった。絢の突然の訪問。そして、僕の知らない事実を次々と知らされ、僕は冷静な判断が出来る訳も無かった。もはや任務失敗やそれに伴うペナルティもどうでも良かった。



 僕が今すべきことはただ一つ‥‥。僕はある決意を固め、目を閉じた。雑居房の天井は冷たいコンクリートで、瞼の裏には何の残像も残らない。奥野のいびき声は今の僕には心地よい子守歌の様であった。







 ───翌日───



 取調室へと向かう途中、僕は朝方に奥野から言われた言葉を思い出していた。



「長い廊下の真ん中らへんに便所があるはずだ。その前で『ラフノール8110のことは知ってるんだ』と笑いながら言い続けるんだ。そうすればEMJの捜査官が現れるはずだ。今日は何故か知らんが、署の奴らの人手が少ないらしいからな。頼んだぜ」



 僕は今、手錠をかけられている。僕を連れている警察官は一人だけだ。署の殺風景な長い廊下を二人で歩いている。何故か、署はシーンと静まりかえっている。



 不気味な静寂にいささか驚きを隠せない。果たして、その捜査官とやらはいるのだろうか。しかし、疑っていても始まらない。廊下の真ん中付近までたどり着き、化粧室と書かれた札の貼ってあるドアの前で、僕は笑い声をあげながら叫びだした。生まれて初めてナンパをした時の第一声をかけた瞬間のような、何とも形容しがたい開放感と緊張感が僕を包む。



「ラ、ラフノール8110のことは‥‥へへへ、し、知ってるんだぁ! ぐわっはっはっは〜〜! だぁっはっは〜! ラフノールのことは! ガハハハ」



 同行していた男の方は笑いに夢中でよく見ていなかった。しかし、何か叫んでいるようであった。それが僕を牽制するためのものなのか、誰かを呼んでいるのかもよく分からなかった。



 僕は笑い、叫び続けた。合図、演技とは言え、笑う行為は気持ちいい。しかし、僕の笑いと叫びは僕と警察官の男の背後のドアが開くのと同時に途切れた。



「サトーさーん。どうかしたんすか〜?」
「ハギワラ! こいつをなんとか大人しくしてくれ! 俺には手が負えん」



 男はドアを開けたまま、僕らに近づいてきた。ハギワラと呼ばれたその男は何となくけだるそうにポケットに手を入れたままガムをクチャクチャ噛んでいる。年はかなり若い。20代半ばだろうか。刑務所の中で突然笑い声が聞こえたようなイレギュラーな事態。そんな状況にまるで遭遇すらしていないかのような、そんな様子に見えた。



「俺にまかせてくださいよ〜。まぁとりあえずサトーさんは眠ってて下さいな」



 そう言うと突然ハギワラはサトウという警官のわき腹を殴った。うっ、と声を出しひるんだサトウの口にハンカチを当てる。十秒ほど経つとサトウの体はハギワラの体にもたれ掛かり、だらんと両手がだらしなくゆれている。



「こっち来な! 早く」



 ハギワラはそう僕に告げ、サトウの首に腕を回しながら驚く早さで先ほど出てきた部屋に引きずり込んだ。僕は突然の出来事にあっけにとられながらも、部屋へと踏み込んだ。



「EMJの萩原だ。あんたのことは聞いてるよ。まあゆっくり話してる暇は無いからね。これ、今すぐ着替えな」



 萩原はそう言い放ち、僕の足下へ警察の制服を投げた。そして倒れている警官から鍵を奪い、僕の手錠を外した。僕は萩原に従いその制服に着替えた。この男は相当おしゃべりな奴なのか。着替えている途中、萩原は話し続けた。



「吉良たちが偽の誘拐事件でサツを攪乱してるからな。だから、今日はこんなに少ないんだ。まぁ誘拐事件だけならこんなにはなんねーけどよ。身代金が8110万円だぜ? こりゃ警察も混乱するわけだ。だから、今日この時間だけが捜索のチャンスなんだな。お前が着替えたら速攻開始だぜ」



 8110の意味は未だによく分からない。僕が制服に着替えると、萩原が言った。



「とりあえず、調査が終わった後の逃げ道を教えるぜ。外の廊下の突き当たりに非常階段があんだけどよ、そこを地下二階まで降りるんだ。正面出口には奴らがいるからな。地下二階は倉庫なんだが、実は奥から外に出れる階段があるんだな〜。すげえだろ。んで、作戦だが‥‥」



 僕は萩原の言葉を遮って言った。
「今日は署内に人はどれくらいいるんですか?」



 突然話を切られた萩原は苛立ちよりむしろ驚きの表情を浮かべていた。
「まぁ、いつもの半分もいねーよ。吉良たちの罠にハマって、バカな奴らだぜ」



 萩原は鼻で笑いながら、上機嫌に僕に背中を向けるとたばこを取り出し、火を付けようと首を丸くしてかがみこんだ。








 吉良、奥平、EMJ、笑い屋、ナメヌマ、萩原、そして絢‥‥‥‥もう何かもかもどうでもいいさ。僕が、すべて壊してやる。



 ──その必要はもうありませんよ。



 僕は声には出さずにそうつぶやきながら萩原にそっと近づいた。そして、なかなか火の付かないジッポライターに苛立っている萩原の首に手をかけ、



 全身の力をその手に込めた。





核爆発の【第7話】に続きます。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=28149951

コメント(10)


 あえて言おう。どんなもんだ、と。


 僕は誰ですかさん作



 最終兵器の登場です。
 荒野の第7話は第6.5話と第7話のふたつに分かれています。
 まずは午前0時台に第6.5話のアップです。
 これを読んで、とりあえず、びっくりしておいて下さい。

 あとで第7話をあげます。
 ナウシカで言うと、あれです。巨神兵です。
 なぎはらえ、です。
 こんな6.5話程度で驚いてたりなんかしたら、7話ではさらにおぞましきものを見るであろう、です。

 メンバーがアップすると、いつも最初のほうにコメントを書く僕ですが、7話に関しては、リーダー失踪説が出ました。

 めちゃめちゃ煽っていますが、それでものけぞりますよ。
 あまりのことにぽかんとなります。
 今までの話を読み返した方がいいですが、別に強要しません。
 なぜって、7話終了直後、必ずあなたは読み返さずにはいられなくなっていますから。
ええっ…
バイト放棄、どころじゃない、シビアな展開ですよね?
なんじゃこりゃ。本当に疾風怒濤な展開だわー。おもしれー。

登場人物も多いし、謎は深まるばかりだし、
こりゃ、やっきーリーダーが失踪するはずだ(笑)。
ちょちょちょ!!
つづきー!!
かもーん!!
続きが気になって何も手につかないじゃないですか…
続きが気になるぅ〜!
やはりどのチームも最後が近づくと、これまでの流れをまとめると言う大変なご苦労があるでしょう。
わがミステリアスチームも同様です。

うちのリーダーも多分頭を抱えてると思います。

やっきーリーダーがんばです!ってもう書けたんですよね。
ん〜楽しいな、この祭は!
おぉぉぉぉっっ!!

凄い。凄いですねぇ。
この流れをどうまとめるんだぁぁぁ!!!
もう、なにもかも凄いです
どうですかー!

いやいやまだまだこんなもんじゃない。
第7話もアップされましたからね。
第0.5話から、一気に読んでみてください。驚き倍増ですぜ!
【第7話】記憶

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=28149951



 なるほど、こうやってコメントにアドレスを貼るという手があったか。
 ミステリアスチーム(第7話3部作)ありがとう。
むむむ、荒野のニオイ。第7話へ行くのです。はい。

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