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蝮☆千夜一夜コミュの週刊『機動戦士ガンダム ガイスト〜鬼の啼く宇宙(そら)編〜』第31話〜烈〜

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 何十年も鍛錬された技が
 昨日今日のまぐれ弾で消えていく
 相手を倒し己が生き残るために
 蓄積され磨かれた技術も
 平和な社会では
 必要とされない

 戦史に語られぬ死に様があり
 歴史に残らない生き様がある

 これはそんな片隅で
 魂を燃焼させる人々の

 忘れ去られた記憶である



 ティターンズを主力とした、地球連邦軍の、ジオン残党組織「鐘鬼」討伐隊の第二陣は、損害に見合う戦果には程遠いながら、少なからず鐘鬼に被害を与えることに成功した。しかしながら、それと引き換えにした犠牲の大きさは、生き残ったものたちに暗い影を落としていた。

 鐘鬼のモビルスーツ隊も後退し、連邦軍も第二陣の戦闘力が枯渇するまで戦いつづけたが、追撃する戦力すら残っていないほど痛めつけられていた。

 モビルスーツ隊を指揮していたゴッドフレイ大尉は、無事に帰還を果たしたものの、機体を失い、そして意識不明の状態で収容されている。ゴッドフレイ大尉を回収し、ともに帰還したジムクウェル一機のみが、戦闘可能状態の機体となっていた。
 生き残りの艦は三隻。旗艦カーツーンとレオニダス、それからコロンブス改級だけである。


 唯一、S.O.G分遣隊として参加していたサラミス改級軽巡洋艦レオニダスであるが、戦闘の最中、被弾して漂流していくライヒ大尉の機体を回収することができなかった。
「ニトロン伍長、ライヒ大尉から連絡は?」
 シュワルツェンベルグ艦長が、ニトロン伍長に確認を取る。
「・・・・・いいえ。」
 途中までは位置を把握していたが、リックドム?の攻撃を回避しているうちに見失ってしまった。それだけリックドム?が肉薄して、レオニダスに迫っていたということでもあるが。
 ライヒ機の僚機であった、トーマス・ウッズ中尉とその機体も戦闘で失った。それでなくてもS.O.Gの補充そのものが厳しい状況下である。ライヒまで失ったとなれば、かなりの痛手であった。
 ブリッジの空気も重い。
「艦長、後方より接近中の第三陣から、回線を開くよう、要請が来ていますが・・・」
 ニトロン伍長が告げる。
「何?」
「ペロピダスの回収に向かった、第二陣のクラッススからです。」
 第二陣が合流出撃する前、第一陣が壊滅したとき、生き残った艦を帰還させるため、第二陣から回収に参加していた、S.O.Gのサラミス改級軽巡洋艦「クラッスス」であった。目的は大破したペロピダスの回収である。
「ほう、第三陣に合流したのか。わかった、つないでくれ。」
 モニターにクラッススのシ・サバン・ボン艦長が映る。東南アジア系の顔が覗く。
「こちらクラッスス艦長のボン少佐であります。」
 敬礼しながらボン艦長が話す。シュワルツェンベルグ艦長も敬礼で返した。
「そちらの迷子を保護しております。」
「迷子?もしやライヒ大尉か?!」
「はい、そうであります。すぐにお返しするのが通例ではありますが、ペロピダスからの託され物がありまして・・・ぜひ、ライヒ大尉にと。その始末がつき次第、そちらに戻ってもらいます。よろしいでしょうか?」
 レオニダスのブリッジがどよめく。
「よろしいも何も、うちの暴れん坊が世話をかけた様子。感謝の念にたえない。」
 シュワルツェンベルグ艦長が答える。
「わかりました。では、こちらからメカニック数名とともに、合流してからそちらに送りますので。」
「メカニック?」
「ええ。ペロピダスのクルーなんですが。詳細はライヒ大尉にお聞きください。」
「ライヒ大尉の様子は?」
「大丈夫です。怪我はありません。ピンピンしてますよ。」
「それを聴いて安心しました。では後ほど。」
「了解であります。」
 交信を終了し、シュワルツェンベルグ艦長が、少し笑ったのをニトロン伍長は見逃さなかった。
「ふ、生きておったか。」
 シュワルツェンベルグ艦長は、そう、独り言のように呟いた。


 クラッススの艦内、とくにモビルスーツのハンガーでは、突貫作業が行われている。その現場にライヒもいた。
「必要なパーツは全部使ってくれ。それでこいつが動けるってんならよ。」
 ライヒがメカニック班の整備班長にそう言っている。
「ええ、助かります。なにしろ鐘鬼の奇襲を受けたときに、ペロピダスも格納庫をやられてコイツも損傷しましたからね。新型の予備パーツがほとんどやられた上に、パイロットのジャクソン中尉まで負傷したものですから、半ば諦めていましたが・・・・」
 ライヒの目の前にある機体は、以前、第1陣の出撃時に、ペロピダスのジャクソン中尉に紹介された機体であった。その横には回収され、分解されつつあるライヒの愛機があった。
「ジャクソン中尉が我々に、レオニダスには、N型のジムカスタムがあることと、ライヒ大尉にならば一度この機体について解説したことがある、ということを言ったことがあって、それで思い当たったんですよ。もともとコイツもN型ですし、これは前線での確実な稼働率を確保するために他のN型とのパーツの共有や整備のしやすさを考慮して設計されてあるものですから。」
 話を聴きながら、ライヒは機体を見つめていたが、
「ジャクソン中尉に聴いてはいたが、本当にそれだけの性能が発揮できる機体なのか??」
と尋ねた。
「ええ。実践投入はこれが初めてになるので、行き当たりばったりのところありますが、実験では現在のところ、S.O.Gでは最強機体といっても良い性能ですよ。」
「そうか・・・・」
「しかし、本当なんですか?今更、赤い彗星だなんて。」
 メカニックの整備班長が噂をライヒに質した。
「ああ。シャア・アズナブルかどうかはわからんが、正体不明の赤いザクモドキが暴れていたのは確かだ。そいつに対抗できるなら、ありがたい。」
 ライヒのジムカスタムでは歯が立たなかった。その苦い思いがある。
「データが欲しいですね、そんな相手なら。噂のニュータイプ専用機なんでしょうかねえ。」
「どうかな。追い詰められた残党なんかが整備できる環境にあるとは思えないがな。」
「なんにせよ、現在の我々S.O.Gでは、このアドバンスド・ブロックが最強です。あんな逃げ回っている残党には負けやしませんよ、ええ。ま、もっとも、コイツだってティターンズの実験部隊に配備された機体のおこぼれみたいなところがあって、政治的な鬼っ子なんですがね。」
 やれやれ、というゼスチャーをしながら班長は答えた。
「S.O.G最後の仇花ってやつか・・・・」
 ライヒがポツリと言うと、
「まあ、そういうことです。近いうちにS.O.Gは解体されてしまうでしょう。ですから、我々はこうやって、無理やりにでもコイツを引っ張ってきて大尉に届けようとしたわけです。ティターンズが偉そうにする前から、ジオンの残党と命を張って戦ってきたのは我々なんですから。ですから、大尉、自分達S.O.Gの意地を分からず屋な連中に見せてくださいよ。俺達こそが守ってきたんだってことを!」
 整備班長の話を聴きながら、ライヒは自分の頭をポリポリと掻いた。暑苦しいのは嫌いな性分である。しかし、トーマスを失った悲しみもある。だから、その態度とは裏腹に、ライヒの胸には熱いものがたぎっていた。ゆっくりとライヒは、突貫作業の行われている機体を見ながら、
「ああ。」
とだけ答えた。
 鬼っ子が、鐘鬼という鬼と対峙する。運命の皮肉か、神の悪戯か。
ただ、ライヒにはもう選択権など無いことだけは確かであった。


 鐘鬼のモビルスーツ隊も後退してすぐに、連邦軍の第三陣がカーツーンらに合流したが、撃破された艦の乗員の回収や、負傷者を後退させるための準備でしばらくこの空域に留まる必要があった。
 第三陣の戦力は、連邦軍本隊であった。したがってモビルスーツも大半がジム改であった。しかし物量的には総数は艦20隻、モビルスーツ約40機と、かなりの数をかき集めている。この戦域のティターンズは第二陣に威信をかけたシフトで挑んだので、戦力を集中した結果、それがほぼ壊滅。これ以上の戦力の空洞を作らないためにも、連邦軍本隊があと始末をつけることになる。


 ライヒが新型を受け取っているころ、カーツーンにも一機の新型が到着していた。もともとゴッドフレイの専用機として届けられたものである。ガンダムNT-1のデータをもとに、T-3部隊のヘイズル高機動型を改修した機体である。
だが、肝腎のパイロット、ゴッドフレイ大尉は意識を失ったままであった。
外傷はない。軍医の診断では、おそらく過度の緊張状態が何かしら脳にダメージを与えたかもしれない、ということであった。
 もともと薬物を投与されているために、脳への負担は一般のパイロットよりも大きい。そうした中で、Tジャニ隊のパイロットは戦争神経症を発症しやすいという弱点がある。
 強靭な精神力を持つゴッドフレイといえども生身の人間である。限界はあるであろう。ともかくカーツーンの専門医療班が蘇生を幾度も試みている最中であった。


 連邦軍艦隊は、戦場となった空域に留まり、破壊された艦船からの脱出者の救助や、負傷兵の後方への送還に追われていた。その中からサラミス改級三隻が先行して派遣され、鐘鬼艦隊を追っていた。任務は戦闘ではない。追跡である。最悪、戦闘に参加できなくてもよい、ともかく本隊が鐘鬼を捉えるまで見失うことなく追跡せよ、というのが命令であった。したがって、最大に近い速力で追っている。
 先ほどの戦闘で負傷した第二陣の兵たちは、モビルアーマー「ゴルゴン」の母船となっていた、コロンブス改級に集められていた。ゴルゴンを失った今、もはや母艦としての機能よりも、その搭載力を生かして負傷兵を輸送する任務が適任であると判断されたからである。
 そして艦隊から、サラミス改級を一隻護衛につけ、コロンブス改級はコロニーを目指して後退していった。


「艦長、ライヒ大尉からの着艦許可要請がでています。モビルスーツ一機と小型艇も一隻いるようです。」
 ニトロン伍長がシュワルツェンベルグ艦長に伝える。クラッススとレオニダスの合流も成り、ライヒ大尉の受け渡し準備が整ったということなのだろう。
「わかった、着艦を許可せよ。それから、大尉にはすぐにブリッジに上がってきて現状を報告するように伝えたまえ。」
「了解。」
 シュワルツェンベルグ艦長は、シートに腰をかけたまま、ゆっくりと指示した。ニトロン伍長には、艦長が疲労しているようにも見え、少し心配になった。
艦隊が合流し、通信によってこれからの方針を協議したのであるが、戦力の大半が、いままでのティターンズとは違い、連邦軍本隊であるため、連邦軍艦隊を率いてきたケンダ大佐と、カーツーンのスタービレ艦長との折り合いが巧くいかないようであった。指揮権はこの場合、スタービレ艦長にあった。階級はケンダ艦長のほうが上であったので、通称「司令」などと呼ばれた、この強権発動を好む男は、ことあるごとに、スタービレ艦長に楯突くようである。新興勢力であるティターンズを苦々しく思っているのだろう。
 シュワルツェンベルグ艦長への抱きこみも兼ねて、S.O.Gへは連邦軍モビルスーツ4機をまわす、ということをシュワルツェンベルグ艦長に言い、暗にティターンズへの協力を拒むように言っているかのようであった。
(この期に及んで、仲間割れとは・・・・)
 シュワルツェンベルグ艦長はまとまらない自軍に暗澹たる気持ちになった。といって、こちらはもっとも権力のないS.O.Gである。その立ち位置が難しい。
連邦軍本部の強硬派がどうやらケンダ大佐を送り込んだらしい。ティターンズの戦力が低下したことにつけこみ、この作戦の主導権をケンダ大佐に渡すようにと圧力をかけたようである。
 結局、スタービレ艦長としても、自艦戦力が可動モビルスーツ2機(現時点では実働1機だが)という現状では作戦を独自に遂行するほどの力も無いため、指揮権をケンダ大佐に譲り、連邦艦隊の後塵を拝する形を取る事にしたようだ。
「ティターンズばかりが脚光を浴びるのが面白くないのはわかるが・・・・」
 シュワルツェンベルグ艦長は独り言を言う自分に気がつき、そして小さく笑った。


 ライヒは着艦後、ブリッジに上がってペロピダスから送られた新型機の受領の経緯を、シュワルツェンベルグ艦長に説明した。
「S.O.Gの意地、というのもわからんではないが、新型機をこっちに持ってきたことで事務方はえらいことになっているだろうな。」
 艦長はライヒにそう言った。ライヒも笑いながら、
「まあ、いいんじゃないですか。自分ら現場の人間なんで、弾の飛んでこないところで三味線弾いているようなやつのことなんぞ、知ったことではありません。」
と答えた。それを聴いたブリッジは笑いに包まれる。
「そうだな。どのみち我々は近いうちに肩たたきに合うのだから、好きにさせてもらうか。」
「ええ。」
 レオニダスのブリッジには、なんともいえない一体感が漂っていた。
(ここにトーマス、お前がいればな・・・)
 ライヒの心に、ふと相棒の影がよぎった。
「ライヒ大尉。」
「はい?」
「出撃までは当分時間がある。本来なら、パイロットの休息時間に当てるべきところであるが、トーマス・ウッズ中尉の荷物をまとめてもらってもよいかな?」
 ライヒには珍しくビシッと敬礼をして、
「はっ!喜んで!」
と答えた。長らくライヒとウッズがチームを組んでいたことを艦長は知っている。はねっかえりの気性を持つライヒとは違い、ウッズ中尉はどちらかといえばその尻拭いに翻弄されているような役目であったが、傍目にもその信頼関係は半端でないほど強固であることは一目瞭然であった。かつてもう一人、リーダー格の人物がいて、相当3人で暴れまわったらしいという逸話も艦長は聞いたことがあった。他の隊では手に余って、それでシュワルツェンベルグ艦長の下に配属された、という経緯があるくらいである。
「それから、これを・・・・」
と言って、艦長がライヒに書状を渡した。
「それはウッズ中尉の部屋に着いたときに読んでもらいたい。」
 ライヒには何かわからないが、何かの辞令かもしれない。トーマスの戦死に付随する階級の特進の話か・・・・いや、それにしちゃ、話が早すぎるし・・・・とライヒは思案したが、あとから読めば分かること。受け取ってブリッジを後にした。


 トーマス・ウッズ中尉の部屋は、整然としていた。レオニダスに配属になってから、ライヒはウッズの部屋に入ったのはこれが初めてである。
「まだ、こんなものを・・・・」
 机の上に飾られていたのは、昔、カシラッス・ムレノと、ライヒ、ウッズで暴れまわっていたころに、余暇に地球でやっていたサバイバルゲームのおもちゃの銃である。
「馬鹿が。宇宙に持ってきたって出来るとこなんかねえだろうが。」
 そういいながら、ライヒはその銃を手に取る。ハンドガンのそれはよく手入れされていた。ウッズが何を思ってこれを入念に手入れしていたのかは知るよしもないが、ライヒの手にも馴染むそれは、いつかの日々を思い出させた。ライヒはそれを自分のポケットに仕舞い込んだ。
 手早く荷物をまとめていく。ほとんど元から整理されているのでそれほどの手間はかからない。ふと、その中に一枚の写真があった。いつか見せてもらったウッズとその母親の写真である。
「大尉は、ご両親を亡くされているんでしょう?自分のところも母親しかいませんが、大尉のことをおふくろに話すと、今度連れて来いって言うんですよ。手料理たんまりご馳走するからって。」
 万年大尉のライヒの下について、ウッズも苦労したろうに、屈託のない笑顔で彼はライヒにそう言ったことがあった。
 ライヒには両親はいない。兵士になったのは、手っ取り早く金になり生活が出来るからであった。ウッズも似たようなもので、戦争が始まると、真っ当な仕事でなど食べていけなくなる。兵士の募集に応募して、ウッズも兵士になった。そこでライヒに出会ったが、ライヒにとっては、自分の飯の種であった兵隊稼業は、ウッズにとっては母親を養うという目的が大半を占めていた。
 一年戦争が終わっても、二人ともまともな仕事などしたことが無い。必然、除隊することなく、最前線で戦うS.O.Gに志願して今に至る。別に二人に限った話ではない。全人口の半分を失う戦争というものは、ライフラインの大半を破壊しつくし、物流経路も破壊した。そんな中で生きていくのに必要な資金や知識、人脈を持たなければ、あっという間に干上がってしまうのが民間の世界である。だから、人殺しと蔑まれても辞める事の出来ない事情の兵士はいっぱいいたのである。

 もっとも、この点ではジオンのほうが深刻で、敗戦した以上、兵士としての生活はない。続けたければ犯罪者にでもなって逃亡生活するしかない。連邦が雇ってくれるはずもなく、ジオン共和国がこれまた独自の国防軍を持つということなど、前例から考えてもありえない話であった。
「トーマス、お前のおふくろさんになんて言えばいいんだ?」
 写真に向かって呟いてもみるが、ウッズが答えるわけも無い。おふくろさんに恩給は出るのだろうか。いや、出ないことはないが、連邦の財政事情から考えても、どれくらい出してくれるのだろう。
(俺が考えたところでどうなるもんでもないか・・・・)
ライヒは考えることを辞めにした。まだ、戦いは終わっていない。すべては終わってからだ。
「そういえば、艦長が読めとか言ってたな・・・」
とライヒはポケットからブリッジでもらった書状を取り出して読み出した。
他言無用、と書かれたその内容は、衝撃的な文面であった。
「俺とトーマスをエウーゴに推薦していたってかよ?」
 連邦内のある人物から、シュワルツェンベルグ艦長に接触があり、艦長をエウーゴへスカウトする、という極秘の話があり、その流れで艦長が自分が行くなら、この二人も連れて行きたい・・・と言った話であった。
「エウーゴって、いきなり言われてもなあ・・・・」
 そこには、この作戦が終了しだい先方へ返事をする、ということであった。ここまで艦長がライヒに公開する以上、艦長の腹は決まっているのだろう。そして、少なくともライヒがこのことを誰かに公言するような人物ではないと知っての話であることも。
 ライヒは先ほどのおもちゃの銃を取り出して構える。
(トーマスも逝っちまって、何故かわからんが、班長は自分の意思で鐘鬼なんかにいる。もうS.O.Gもなくなるんだし、それに俺には他に能もねえしな。)
 ティターンズのやり方に対する反発として、エウーゴが誕生した。いわば連邦内の内ゲバに等しい分裂なのだが、エウーゴのほうには、スペースノイドやジオンの生き残りといったものまで加担して、その勢力は侮りがたいとも言う。
(まあ、俺がティターンズってのは想像できねえし、第一、あそこは柄じゃねえ。毒ガスなんてえげつないのは・・・な。)
 銃をクルクルっと回して再び構える。
「それに、あんな連中がのさばったんじゃあ、息苦しくていけねえやな。」
 銃をポケットにすっと仕舞って、ライヒは一人呟いた。
「・・・・行くか。」



 多次元世界があるかもしれないと
 誰かが行った
 選べる可能性は無限にあっても
 人はそれでも一つしか選べない
 その日、男が決断した先で
 何を勝ち取るのかは誰にもわからない
 しかしそれでも
 行かねばならない

 ここからどこかに行くために
 我々の足は
 ついているのだから


〜つづく〜


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