このファースト・アルバム、日本のヒップホップの流れを確実に変えた。自らの曲に対する強烈なプライド、東京中心で回るシーンに対する激しい苛立ちと宣戦布告が鋭い言葉の数々に乗って聴く者の胸に突きつけられる。宮沢賢治の名作をタイトルに冠した<13>に代表されるように、さまざまな文学、映画などから引かれた言葉が次々と飛び出してくるのも BOSS のリリックの特徴だ。その一方で、トラックはダウナーかつトリッピー。当初はアブストラクトやテクノ、ダブなどヒップ・ホップ以外のリスナーから支持され、その後シーンに確固たる地位を築いていくこととなった記念すべき名盤。