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狩猟採集漁労民コミュのレヴィ=ストロース追悼

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1.メンバーのみなさま、既にニュースでご存知の方もいらっしゃるかと思われますが、構造人類学者レヴィ=ストロースが逝去されました。

http://www.news24.jp/articles/2009/11/04/10147098.html#

2.必ずしも研究者の方ばかりではないコミュニティですが、レヴィ=ストロースの狩猟採集漁撈民への功績は計り知れないものがあるので、ここで悼みを共有させていただきたいと思います。

3.レヴィ=ストロースは1908年、ベルギーに生まれ、「レヴィ」という苗字からお分かりのように、れっきとしたユダヤ十二支族の末裔を生きた一人でした。フランスの最高学府を終了し、ブラジルでフィールドワークを行い、特に諸民族に伝承された神話の体系を、そのあらん限りの勢力で、手探りしようとしました。「私がまだ若かったころ、人類はまだ現在の半分だった」(大意)という発言もあるように、一人で人類の変容を一身に見てきたような人でした。

4.彼がどんなに狩猟採集漁労民を愛していたのかは、『野生の思考』という本1冊だけでも分かります。そこでは、哲学者サルトルの「未開人」観念を批判して、「野生の思考」という概念を打ち出し、それが人類の知性の一側面であることを大いなる情熱で論じました。この「野生の思考」と対になっていた概念が「栽培思考」であり、もとはフランスの「社会学」者コントから出てきた言葉ではありますが、この野生と栽培の対立を見ただけで、彼が農耕や牧畜以上に狩猟採集漁労にあこがれていたことが分かります。

5.その後、彼の思想の骨格であった構造主義は、様々な批判を浴びせられ、今でも構造主義を擁護するかどうかという議論をしばしば見かけますが、私自身は、本当はレヴィ=ストロースが「構造」や「変換」ととりあえず呼んで見せた領域を、学問が追求する前に「構造」というものの実在や、そうした言葉の上だけでの批判に終始してしまったことが残念です。

6.また彼の思想は中沢新一により、主に神話の共時的変換、もしくは折口信夫的な思考の層を捉えるという形で継承されていますが、レヴィ=ストロースの「構造」には、『アスデワァル武勲詩』で、サケの生態と神話の相関を読解して見せたように、生態系と哲学との間の構造変換を考えていたように思われます。また、フランスのイメージ療法を媒介にして、出産の歌の子宮への働きかけを想定した「象徴的効果」(『構造人類学』所収)にみられたように、同級生だったメルロ=ポンティが「一貫した変形」という言葉で捉えようとした身体内の諸々の系の構造変換も考えていたように思われます。つまり、巨大な可能性が未だに埋もれているのです。

7.『親族の基本構造』は、オーストラリア先住民のような平等的な双分社会での婚姻規制がいかにしてインドのような階層的なカースト社会の婚姻規制に結びつきうるのかを論じた大著でしたし、『悲しき熱帯』は、旅嫌いの青年が、南米の神話探索の果てに西洋哲学と仏教の出逢う地点を見出すという、非常に感動的なエセー(随想)でした。

8.そうした巨大な知性が逝ってしまわれたことは悲しみの至りです。

9.あのレヴィ=ストロース自らが「親族」によって葬られるなんてなぁ。

10.巨大な知性の放蕩息子の帰還を、あの世ではどのように迎えるのだろう。

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