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意味不明小説(ショートショート)コミュのてづくり

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「機械だからこそ、手づくりの味こだわりたかったんです」
 そう言ってタオルで汗を拭い、浅い皺深い皺を重ねて笑う男性、内田謙三さん58歳。油汚れのしみこんだ作業着、小さな町工場、窓から夕焼け、工場の器具類を一時的にオレンジにカラーリングしている。
「電気は使いません。すべて人力です」
「え?人力ですか?」
「ええ、電動で作ったものってなんか味気ないじゃないですか?だから敢えて人力にこだわってます。例えばこのネジも電気を使わずに私が手作業で作りました。まぁ、ネジなんて市販のものを買ってくればいいんでしょうけどね」
「ネジ一本にまでこだわっておられるんですね」
「同業者からは笑われてますけどね。でも私は妥協できないんです。私が作る機械はすべて、私の人力を込めて作っています」
「じゃあ、こちらの機械もすべて内田さんの手で作られたということですね」
「ええ」
 二人が眺める機械、大きさは人の背丈程もある。内田さんの眼差しは優しい。まるで我が子を見るように。
「私の作る機械はすべて手作業で作りますので、一つ一つ微妙に違うんです。本来なら機械というもは、すべてが均一であるということが第一に求められます。でないと作業効率が落ちますから。でもすべてが均一って、何というか、まさに機械的過ぎるんじゃないかって、私は思うんです。私が作る機械には個性があります。個性って今の世の中で、忘れられがちですが実はとても大切なことじゃないのかなって思うんです」
「なるほど、仰る意味、わかる気がします」
「つい先日、お得意様からこんな事を言われたんです。『こないだ納めてもらった子、いい仕事してるよ』って、私、自分が作った機械を『子』って言われた事が嬉しくってね。私と同じように機械に愛着を持っている方がおられるというのが、一番の心の支えですね」
「なるほど、本日はお忙しい中、貴重なお時間を頂き、有り難う御座いました。内田さんのこだわりと機械への熱い思いが視聴者の方にもきっと伝わったんじゃないでしょうか?では最後に、内田さんの作られたこちらの機械で、お寿司を握って頂きたいと思います。では、内田さん、お願いします」
「はい、まずここに原材料となる酢とお米とお水を入れます。そうしてこのスイッチを押すと自動的に酢飯を作ってくれます」
「内田さん、こちらの機械の動力は?」
「当然電気ですね。次にこちらのベルトに寿司ネタを載せます。そうしてタッチパネルに作りたい個数を入力、後は待つだけです。毎回必ず均一の味になるようにこのセンサーがその日の気温や湿度を感知して、寿司の握り方を変えます」
「すごいですね。毎回同じ味が楽しめるというわけですね」
「そうです。まさに機械が作ったように均一化された味です」
「内田さん、ここにカメラのようなものが付いていますが?」
「こちらのカメラですね。お客様の表情から体調を読み取り、味付けを変えます。人の味覚って、体調の影響をかなり受けますからね」
「すごいですねぇ、体調に合ったお寿司を握ってくれるという訳ですね」
「まぁ、そうですね。お客様の体調にすら左右されない絶対的に均一の味です」
「おっと、お話伺ってる間にお寿司が出来上がってきました。私、自動寿司握り機って、なんか手の形をしたもので、人間がやるようにお寿司を握るんだとばかり思っていたんですが、お寿司は機械の中で作られて、こちらのベルトンベアーに乗って出てくるんですね。じゃあ失礼して早速頂いてみたいと思います」

もぐもぐ

もぐもぐ

「んーーーー、まさに手づくりの味!」

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