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意味不明小説(ショートショート)コミュのもりのなか

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コミュ内全体

はじめは、なんにもなかった。風も水も太陽の光も、なんにもなかったが、あるとき、小さなひずみがうまれ、それがだんだん大きくなっていった。そのひずみから、あるとき、醤油がこぼれおちた。醤油はなんにもない空間にじわじわと広がり、やがて大きなシミをつくった。はじめにできた大きなシミは、4つの足の生き物の形をしていて、自分のからだから醤油をぽたぽた落としながら、そこらじゅうを跳んで、走り回った。生き物の体からこぼれた醤油は、魚の形となり、虫の形となり、ヒトの形となった。ヒトは、はじめの4つの足の生き物をヴァーツラフ・フォミッチ・ニジンスキーと名づけた。ニジンスキーは何よりも高く跳躍したが、やがて精神を病んで死んでしまった。ヒトはニジンスキーの死骸から、自分に似たもうひとりの人間をつくった。そして自分のことを「きよし」と名乗り、自分でつくったもうひとりの人間を「ヘレン」と名づけた。きよしとヘレンは仲睦まじく暮らし、忠志という子どもをもうけた。忠志は吉本興業という会社に入り、俳優、芸人として活躍した。

ときを同じくして、地上には、「いとし」と「こいし」という仲の良い兄弟が生まれていた。ふたりは毎日仲良く畑仕事に精をだしていた。たまの休みにふたりは森にピクニックに行った。すると、森のなかにはライオンがいた。ライオンはふたりに気づいて、「ちょっとまって、いまタテガミを櫛でとかしているから。とかしおわったら一緒についていっていいかい?」と声をかけた。ふたりはライオンがタテガミをとかしおわるまで静かにまっていた。そして、ふたりの兄弟とライオンは、森を進みはじめた。

2頭のおおきなゾウが、水たまりで水浴びをしていた。ゾウたちはふたりの兄弟とライオンに気づき、「ちょっとまって、ぼくらもいっしょにいくよ」といって、ついてきた。1頭は納豆を、もう1頭は小さなオルゴールを小脇に抱えてついてきた。一行が森を進んでいると、コビトカバがいて、コビトカバもついてきた。コビトカバは自分の大好きな本をもってきた。遠藤周作の「海と毒薬」という本だった。さらに森を進むと、遠藤周作がいた。コビトカバは遠藤周作にサインを書いてもらった。そして、遠藤周作も行列に加わった。遠藤は銅の斧をいとしに、金の斧をこいしにプレゼントした。

金の斧をもらったこいしは、これをネットで売りさばけばお金持ちになれると考え、そっと行列からはなれ、街に行ってしまったが、ほかの面々はそんなことには気づかず、どんどん森の奥に進んでいった。森の奥には湖があって、そのほとりでいとしが往年の三冠王、落合のマネをして素振りをしていたら、銅の斧を落としてしまった。すると水のなかから女神が現れて、「あなたが落としたのは、銅の斧ですか?それともみすぼらしい一匹のネコですか?」と聞くので、いとしは銅の斧だとこたえたら、女神はあなたが銅の斧を落としたのは知っているが、このネコを連れて行ってください、といって、斧は返してくれず、ネコを押し付けられた。

いとしががっかりしていると、ネコは「心配要りませんよ。まず、私に納豆と小さなオルゴールを下さい。そうすれば、あなたがもらったものが、そんなに悪いもんでもないことが近いうちに分かります」と応えた。ネコは2頭のゾウから納豆とオルゴールを受け取り、街へ向かった。そして納豆の大嫌いな貴族の食事に、こっそり納豆を盛った。貴族は納豆のあまりの臭さに悶絶しそうになった。そのとき、隠れていたネコが小さなオルゴールで音楽を奏でた。納豆のにおいで苦しんでいた貴族は、その美しい音楽に心を救われ、ネコを恩人だといって丁重に迎えた。ネコは貴族に言った。「あとで私の主人が来ますから、彼に褒美をあたえて下さい」と。貴族は快諾した。

いっぽう、森の一行は、ネコがぜんぜん戻ってこないので、とりあえずみんなでパーティーをすることにした。テーブルのうえに、木苺でつくったジャムや芋をならべて、いとしと2匹のゾウとコビトカバと遠藤周作は、楽しいひとときをすごした。パーティーの途中で、遠藤が体調を崩した。結核だった。遠藤はそのまま東京大学伝染病研究所病院に入院した。

2頭のゾウは各々の収穫物をヤハウェに捧げた。1頭は野菜を、もう1頭は肥えた羊の初子を。ヤハウェは羊だけを受け取り、野菜は受け取らなかった。これがもとで2頭のゾウは仲違いをおこし、大喧嘩した。羊を捧げたゾウは森に残り、野菜を捧げたゾウは森から去って、クジラとなった。クジラは悲しみのあまり大粒の涙を流し、それがやがて海になった。

いとしとコビトカバは食べ物をすべて食べてしまった。コビトカバは森から出たくないといったので、ふたりは別れた。コビトカバは大好きな作家である遠藤周作からサインをもらったことが、うれしかった。だからそれで十分だといって、森の、自分の住処に帰った。それからさらに読書に没頭し、知識を得て、ずっとあとになってテレビにも出るようになったのだが、それはまたこんど話す。

いとしが森から出ると、ネコが待ちくたびれていた。「やっと帰ってきたんですね。私はあなたのために貴族に取り入って、褒美をあたえるように言っておいたんです。さあ、行きましょう」といって、貴族のところに案内してくれた。貴族をひと目みて、いとしはあっと驚いた。貴族というのはいとしの弟、こいしだったからだ。こいしは金の斧を手に入れたあと、それを金に変え、いろいろビジネスをして大金持ちの貴族になっていたのだった。いとしとこいしは再会を喜んだ。こいしは、もう十分もうけたから、ビジネスは引退する、といった。それでふたりはネコにビジネスを任せて、自分たちはヒトを楽しませるようなことをしよう、といって、漫才をはじめた。「夢路 いとし・喜味 こいし」の兄弟漫才コンビは大いに活躍し、上方漫才の宝と言われた。森のなかではじめに出会ったライオンのことは、この物語の作者が途中から存在を忘れてしまっていた。

鰯崎 友 https://note.mu/iwa_t

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