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意味不明小説(ショートショート)コミュのかい

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子供貝「こないだ人間が『私は貝になりたい』って言ってたよ」
お母さん貝「へー、あ、そー。まぁ人間からしたら気楽に見えるんだろうねぇ、私たちの暮らしが」

「結構大変なのにね。ブランクトンが少ないときはお腹ペコペコだし、ネコザメが近づいてきたらドキドキするし」
「そうねぇ。人間には分からないのよ。貝の苦労が」
「……そうだよね」
「どうしたの?アンタ、沈んじゃって、はっ!まさかアンタ、『人間になりたい』なんておもってるんじゃ、ないわよね?」
「もう僕いやなんだ。じっと怯えて生きるのは。お母さん、僕、人間になりたい」
「お止し!人間なったって一緒だよ。貝には分からない、苦労ってもんがあンだよ人間にも。怯えて暮らしてるのは、なにも貝だけじゃないんだよ」
「でも人間の方がましだよ。人間は自分の足で歩くことが出来るし、苦しくて辛い環境だって、自分の力で変えることが出来るじゃないか」
「そんなに強い人間ばかりじゃない。私たちのように、常に恐怖を感じながら、じっと耐えるように生きてる人間もいるの。多分ほとんどの人間がそんなもんよ。ね、だから人間になりたいなんて、悲しいこと言わないでおくれ、死んだお父さんもきっとお母さんと同じ思いよ」
「お父さんは死んでないよ。底引き網に攫われただけ。きっと……きっとどこかの生け簀で今も生きてるだ。だから僕は」
「ひょっとしてアンタ……お父さんを探しに行きたいのかい?」
「…………」
「黙るんじゃないよ。それじゃあ『物言わぬ貝』じゃないか」
「お母さん、僕…………」
「分かったわ。あなたのことだもの。あなたが決めなさい。いつの間に大きくなって……」
 言葉が出ない。お母さん貝は、貝殻の隙間から、海と同じ涙を流しました。海流がそれを混ぜて分からなくします。




 一方その頃、地上では。

 夕焼け公園ブランコに乗った子を揺らす母親、すべてが濃い影になって、砂場に落ちている。

「お母さん」
「なぁに?タッくん」
「僕、貝になりたい」

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