意味不明小説(ショートショート)コミュのシガツ

その他大勢と変わらず、朝眠い目をこすって、会社に出勤する。
そしてそこで自分を演じている。
何も大変なことはない。
自分はないのだから演じるしかない。

脳内彼女なんて考えが古い。
もうそこに愛すべき人は存在している。
存在していないことは自分のなかではどうでもいい。

テレビ見ないけど大きいテレビを買った。
だって家族3人で見るなら大きい方が良いだろうから。

仕事から帰ったら
今日起きた良かったこと、嬉しかったことを話し合う。
愚痴なんて言ったってつまんない。

ご飯は一人分で足りる。
皆遠慮している。

一緒のベッドで眠る。
君がいないから
ここは夢の中かも知れない。
もう区別はしていない。

社会に出たら
目立ってはダメだ。
仕事において優秀な成績を残してはダメだ。
同時に仕事できない奴の烙印を押されてもダメだ。
可もなく不可もなく目立つことのないように過ごす。

また朝が来て顔が濡れていた。
最近気温が上がって汗をかいた。

テレビをつけた。
めまいがした。
テレビを消した。

ファミレスの店員が不思議そうな顔してる。
まだ新人だろうか。

最近ホコリっぽい。
良く咳が出る。
海の向こうから渡ってきているらしい。

ケンカはしたことないと思う。
いつも僕らは仲が良い。

あれはどこの海だったか。
場所が思い出せない。
写真もない。
まぶたの裏に焼き付いているんだ。

「ちょっと急いでるんで」

カレンダーがない。
時計もない。

眠っていた。
どこから眠っていたのか。
眠る前は何をしていたか。

「休みの日何してるの？」

季節の変わり目は体に負担だ。
どうも最近調子が出ない。

ああ、この曲よく聴いてたな。
もうそんなに前になるのか。
それだけ歳をとったっていうことなんだな。

「今日はどうされました」

あ、やばい。
寝過ごしてしまった。
次の駅で降りるか。
会社に間に合えばいいけど。

ニコニコしておけばなんとかなるよ。
害無しアピールしておけばなんとか乗り切れる。

今年もバタバタしててお花見行けなかった。
来年は必ず行こうか。

君が手を振っている姿がかすれて見える。
やっぱり疲れている。
今日帰ったら早めに眠ることにしよう。

タイミング悪いな。
この踏切、一度引っかかったらなかなか開かないんだよ。

あ、冷蔵庫が空っぽだ。

「次の方どうぞ」

言葉をしゃべるようになった。

「ありがとうございました」

箸をもう２つください。

「明日は汗ばむ陽気になるそうです」

今日は電気ついてないな。

「今日も１日がんばりましょう」

昨日あまり眠れなくて。

「次は終点」

今日も演じた。

今日も完璧に作り上げた。

問題は何もない。

それでもなお

散った桜は僕を呼んでいる。