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ドイツと中国、高まる不協和音 〜金の切れ目が縁の切れ目か? ...

ドイツと中国、高まる不協和音 〜金の切れ目が縁の切れ目か? 狸と狐の化かし合いが始まった 2016年11月05日 08:00
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ドイツと中国、高まる不協和音 〜金の切れ目が縁の切れ目か?
狸と狐の化かし合いが始まった
川口 マーン 惠美 プロフィール
中国の怒り

中国とドイツのあいだが、いつになく緊張している。

11月1日、ドイツのガブリエル経済エネルギー相が、5日間の予定で中国へ飛んだ。財界の大物を引き連れての訪中は、いつも通り。

初日、経済会議の大会場には両国の国旗が立てられていた。楕円形に並べられたテーブルには、両国の100人近い政治家と財界人が勢ぞろいして、今か今かとガブリエル氏と高虎城(こうこじょう)商務部部長の現れるのを待っていた。

しかし、二人はとうとう現れず、会議は、同副部長の音頭により、主役抜きで始まった。二人の欠席の公式の理由は、その直前の、昼食における会談が長引いたため。真相は、高氏が会議出席を拒絶し、ガブリエル氏も欠席したということらしい。前代未聞の異常事態である。

ガブリエル大臣は、会議を欠席後、予定通り、李克強首相と会談したが、その握手の映像はなんとも不穏な雰囲気。李首相はニコリともせずに手を差し出し、“怒り"を演出している。中国の政治家は役者である。

GettyImages
中国が何に対して怒っているかというと、ドイツが、中国のドイツでの投資を妨害していることに対してである。

具体的な例を挙げれば、最近、中国のFujian Grand Chip社のドイツのアイクストロン(Aixtron)社の買収に、ドイツ政府がギリギリになって「待った」をかけたこと。審査のやり直しを命じた裏には、アメリカの圧力があったらしい。

アイクストロン社は、有機金属化合物半導体用MO-CVD装置を手がける世界的企業だ。アメリカは、同社のハイテク技術が、中国の軍需産業の手に渡ることを嫌ったという。

現在、審査のやり直しが命じられている買収の話は他にもあり、ガブリエル経済相曰く、「ドイツの最重要テクノロジーは、保護されなければならない」。というのも、実は、ここわずか数ヵ月の間に、他のEU国では例がないほど多くの、しかも、重要なテクノロジーを持つドイツ企業が、中国の手に渡ってしまっている。

8月、ドイツの最新鋭のロボットメーカー、KUKA社が中国に買収され、これによりドイツ側は急激に危機感を深めたようだ。


ドイツの豹変

中国が怒っている理由は他にもある。それは、最近のドイツにおける中国に関する報道だという。

実は、その前日10月31日に、ドイツ公使が中国の外務省に呼び出されていた。それだけでもかなり憂慮すべき事態だが、中国側がドイツ公使に抗議したのが、この中国報道であるという。

確かにここ1年、ドイツでの中国報道は目を瞠るほど変わった。これまでは、商売がことのほかうまく進んでいたこともあり、中国の不都合な点はうまく包み隠されてきたが、最近は、中国の矛盾や犯罪や人権無視がかなりの頻度で報道されるようになった。

よく「金の切れ目は縁の切れ目」というが、ドイツの豹変は、結構シビアだ。最近の中国に関する報道では、ドイツの赤字空港を買収しようとした中国のインチキ会社の話が記憶に新しい(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49133)。

また、アフリカで象牙を取るために象を殺しているのも、サンゴを密漁しているのも、これまでは「東アジアのある国」だったが、いつの間にか「中国」に変わった。これらが、中国は気に入らないらしい。

中国が怒っている理由はまだある。

NEXT 三角(右) 話が違うじゃないか!
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コメント(2件)

[1]2016年11月05日 11:25
ドイツと中国、高まる不協和音 〜金の切れ目が縁の切れ目か?
狸と狐の化かし合いが始まった
川口 マーン 惠美 プロフィール
中国は2001年、WTO(世界貿易機関)に加盟した。

WTOとは貿易を促すことを目的とし、それに関する様々な国際ルールを決めている機関だ。中国が加盟した当時、15年後(つまり今年)には中国を正式に「市場経済国」の仲間に入れるということが決められた。15年あれば、中国市場も西側諸国と同じルールを共有できるようになるだろうという希望的観測が元になっていた。その期日が今年の12月。

ところが5月にEU議会は、中国を市場経済国とするのは時期尚早であるという採択をした。EUにしてみれば、市場を十分に開放していない国を市場経済国として認めてしまうと、いろいろと不利益を被ることになる。

中国にしてみれば、しかし、これはEUの約束違反だ。しかも、かつて太陽光パネルのダンピングでEUに制裁をかけられそうになった時、果敢に助けてくれたドイツが、今回は助けてくれないことに、大きな不満を覚えている。

不公平な“経済国家主義"

もっとも、今では、ドイツ側にも言いたいことはたくさんある。


ガブリエル経済エネルギー相の訪中の前日(10月31日)、ドイツの第二テレビのオンラインニュースに出た記事のタイトルは、「訪問前の不協和音 中国:ガブリエルの長いリスト」。

つまり、苦情のリストであるが、その内容は簡単だ。中国が、中国に進出する外国企業に対していかなる無茶を強いているかということ。要するに、日本企業なら、すでに百も承知の話である。

私は、これまでドイツでそれらがあまり話題にならなかったのは、中国がドイツ企業に対しては、お手柔らかに振舞っているのだろうと思っていた。しかし、そうでもないのかもしれない。ドイツメディアが中国批判を展開しなかったのは、主要な大企業がしっかり儲けていたからかもしれない。

ところが、一部その儲けに陰りがではじめた今、状況が変わった。10月30日のWirtschaftswocheのオンライン版も、今回の訪中は、「かつてドイツのための経済成長が祝福されたの空の下とはいえ、心地よい交歓だけとはいかないだろう。すでに多くの係争材料が揃ってしまった」と書いている。

ドイツ企業の苦情は、2年前から増え始め、今年になって急増したという。中国で新法案が提出されたからである。一部のメディアは、つい最近まで“アジアで一番大切なパートナー"と持ち上げていた中国の政策を “経済国家主義"とまで呼び始めた。ドイツの変わり身は素早い。

ドイツ側の抗議は多岐にわたるが、その一つが電気自動車の開発部門。新法案では、メーカーは製造だけでなく、開発にもライセンスが必要となるという。

中国では、外国企業は、中国企業と合弁しないで商売を展開することは難しいが、合弁の際、中国企業は、事業内容に関する十分な技術を持っていることの証明を義務付けられる。

つまり、ドイツのメーカーが中国で研究開発をする際、中国の合弁相手にすべてのテクノロジーを開示しなければライセンスがとれなくなる。これをドイツ側は、強制的な技術移転であると非難している。

これについては、他の分野の企業も危機感を表明している。しかし、新法は、外国企業が「自主的に」技術を開陳する仕組みになっており、WTOが定める強制の技術移転の禁止条項には引っかからないらしい。

また、新法案によれば、電気自動車のメーカーは、ある決められた期間内に、一定の数の自動車を中国で生産することを義務付けられる。それができない場合は、マイナス点が課される。マイナス点を消去するためには、中国のメーカーにお金を払って、プラス点を買う必要がある。

また、鉄道事業では、入札の際に点数システムが導入される。中国企業は最初から10点をもらえ、合弁企業は5点、外国企業は0点から始めなければならない。つまり、不公平である。

NEXT 三角(右) お互い商売第一
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[2]2016年11月05日 11:27
狸と狐の化かし合い

ドイツ企業、クノールブレムゼは、鉄道車両、トラック・バスなどのブレーキシステムの世界的大手だ。すでに1920年代に、同社のシステムがヨーロッパの貨物列車向けのエアブレーキの技術標準となった。トラックとトレーラーで、すべての車軸に同時にブレーキをかける技術も、同社が世界で初めて完成したものだ。

中国には、小平が「改革開放」政策を推進したとき、真っ先に参入し、以来、中国の鉄道整備に貢献しつつ、どんどん間口を広げて商売を展開してきた。

しかし、今度導入される点数システムでは、新規の契約など夢見るだけになる可能性が高い。同社の技術を中国はもう必要としていないのだろう。日本人にとっては、すべて、どこかで聞いたような話である。

なお、食品や農作物を中国に出しているドイツの業者も打撃を受ける。新しく計画されている検疫の規則によれば、飴玉でもクッキーでもしかるべき証明書が必要となる。消費者保護よりも、輸入障壁を設けることが目的であろう。

また、製品コピーに関しては、そのやり方がどんどん大胆になっていく。ドイツの紳士服メーカー、Hugo Boss(ヒューゴ・ボス)は、高級ブランドとして日本でも有名だが、中国で“Hugo Boss"のロゴの横に、小さく“sunwen"と書かれた製品が出回ったという。Boss側が訴えたところ、香港の裁判所では、この商品は禁止されたが、中国では合法となった。そこで、困った同社は、この商標を買い取るため、現在、オファー中だそうだ。

ただ、買い取ったところでそれが解決につながるかどうか? この問題も、日本人にとっては、さして耳新しいことではないが。


駐中ドイツ大使、ミヒャエル・クラウス氏は、4ヵ月前に、工業情報相の苗圩(びょうう)氏宛で、これら不明点に言及した質問状を送ったが、未だに返事はないという。そこで、「ドイツには中国以外のアジアオプションもある!」などと、タカ派の意見も出始めている。

中国の王毅(おうき)外相によれば、中国と産業国との間には、いまだに発展の度合いによる格差があるのだそうだ。だから、「我が国が、産業国の基準で批判されることは納得できない」と言っている。中国は、産業大国になったり、発展途上国になったり、豊かな国になったり、貧乏国になったり、変幻自在なのである。

ただ、私の考えでは、中国とドイツは、袂を別つには、すでにお互いに依存しすぎている。そのうえ、両国とも、常に商売第一で行動する国なので、また何かのきっかけで儲かる話が浮上すれば、あっという間に蜜月に舞い戻る可能性は高い。狸と狐の壮烈な化かし合いと思って見ていれば、間違いないだろう。

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