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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第三十九回作品 匿名D『坂』

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霧の深い山の中、曲がりくねった坂の上にその屋敷はある。そう大きくないが、古めかしい洋館で幽霊が出そうな雰囲気だった。その館には未亡人がお手伝いと二人で住んでいたが、そのお手伝いが辞めたのでわたしが代わりに勤めることになったのだ。
とても静かな家だった。テレビもなく暖炉の上にある大昔のラジオはスイッチが入ったことはわたしが来てからまだ一度もない。わたしたち二人が話したり動いたりして発する音以外では、婦人がたまに蓄音機で鳴らすクラシックのレコードの音と、大きな柱時計の音、外から聞こえてくる風の音や鳥の声くらいでとても静かだった。
食料品や必要なものは週に一度下の街から車で持ってきてくれるので、家からどこかに出掛けるということもなかった。
ある日、持ってきてもらいたいものを電話で頼もうとしたら、幾度電話をしても誰も出なかった。その週は車も来ず、わたしと婦人は二人、「どうしたのでしょう」「困ったわね」と話し合った。
それ以後も電話はつながらず、次の週も車は来なかったので、次第に食べ物もなくなってきた。わたしが下へ降りて買ってきます。というと婦人は、あなたは運転は出来るの?と言うので、出来ます。とこたえたら、車庫に車があるからそれで行ってみて頂戴、と言うので車庫とやらを覗いてみた。この家に来て初めてのことである。
調べてみたらエンジンもかかるようなので、行ってきます。と婦人に言ったら、わたしも連れて行ってちょうだい、というので二人で出かけることになっった。
わたしは婦人と二人で、霧の中、曲がりくねった坂道を、車でゆっくりと下へ降りて行った。

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