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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第三十九回作品 匿名B 『桜』

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サクラがとてもキレイな娘に育ったものだから、おいちゃんは金持ちのところへ嫁にやろうと思ったのだが、どうやらサクラには好いた男がいるようで、おどしたりすかしたりどう言ってみても首を縦に振ろうとしなかった。サクラの好いた男というのがこれがまたロクでなしの唐変木で、飲む打つ買うは人一倍、三代続いた江戸っ子でもあるまいに、宵越しの銭は持たねえ。とばかり金使いの荒いことと言ったら驚くばかり、そんな放蕩三昧では手前のわずかな給金では足りるはずもなく、どこで金の工面をするのかと思ったら、そこら中で借りまくって首が回らないどころの話じゃぁない。年がら年中借金取りに追われる有様で、こんな野郎がなんでサクラと恋仲かっていうと、ガキの頃からの幼馴染てんだから出来すぎた話で、そんなことだからサクラの兄貴のトラジロウともこの野郎は顔見知りで、子供の頃はなにかというとトラジロウにポカスカ殴られて泣かされていたところを、サクラに助けてもらっていたような有様で、そんなこんなで二人が仲良くなったようなものだから、原因はトラジロウにもあったかもしれず、ある日トラジロウが久々に家に帰ってくると、サクラとろくでなしが結婚するという話を聞いて怒ったのなんの、野郎どこだと好物の団子を食う間もなく外へ飛び出して行った。
ろくでなし野郎はろくでなしなりにこのときばかりは逃げ出さずにトラジロウに結婚を許してもらうまでは殺されても頭を下げ続ける覚悟で、子供のときからの遊び場の河原で待っていたところ、鬼の形相のトラジロウが現れて
「やい、この野郎、あんまりふざけたマネしやがると容赦しねえぞ、サクラと結婚なんぞぜってえ許さねえ」ろくでなしはそこをなんとかとひたすらペコペコ頭を下げては頼み込むが、怒り狂ったトラジロウは聞く耳持たず、ろくでなしを突き飛ばし、蹴り飛ばし、足蹴にしてそれこそ殺さんばかり。
そこへサクラが駆けつけて「お兄ちゃんが何と言おうとあたしはこの人と結婚します」と驚くほど大きな声で宣言したもんだから、トラジロウも驚き慌てて、でもよう、でももなにもないっ、と取りつく島もない。
その剣幕におされたトラジロウは二の句が継げず、ついに泣き出した。
「そんなこと言うなよ、オレは死んじまった親父とお袋にサクラのことはぜってえ幸せにするって誓ったんだ。よりによってなにもこんな穀つぶしと一緒になることはねえじゃねえか。」
とオイオイと泣き続けると
「大丈夫、絶対しあわせになるから、きっとしあわせになるから」
と言ってサクラも泣き出した。
「トラ兄貴、お願いだよ」
とろくでなしも泣き出した。
そんな三人の上にどこから風に乗って流されてきたものか、桜の花びらが舞い降りてくるのであった。

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