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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第31回 たかーき作 タイトル未定(ほぼ自由課題です)

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コミュ内全体

仮想空間上で人工生命を発生させるソフトを手に入れた。
メモリがやっと100エクサバイト使える状態になったから、早速、稼働した。

冥王代の地球に似た、広大な「海」をシミュレートする。
最初は、自分で変数をいくつか定義する。程よいカオス状態が保たれるのが理想だ。振動する有機物同士がうまく結合し、環境に適応できるような配列になり、あるいは環境に適応できない配列になって崩壊したりというのが、ちょうどいい具合に繰り返されて、徐々に複雑な構成の有機物が発生する。
地球と同じ環境で何億年分も、そのシミュレーションを演算で回せば、生命誕生に立ち会える。
ある程度、このソフトを使い慣れた人は変数の値を少し変えて、変な生態系を作ってみたりするらしい。
ただ、それが「生物」と言えるまでに成長するのは時間がかかる。最初はつまらないから、時間を早回しにして、10億年くらいはパスする。

仕組み?
簡単だ。要するに、多次元構造のセルオートマトン。「物質」を表すデータを、100エクサバイトほど用意する。それらがただ、同じアルゴリズムに従って物理運動を繰り返すだけ。

観察していると、環境に適用できた配列の中から、何故だが、自分の配列パターンをコピーし同様の配列を体外に放出するという現象を起こす物がいくつかの環境で現れた。
何故、そうなるのかわからない。自然と、そうなってしまうらしい。
これは、生命活動の萌芽なのだろうか。
でも、そういう配列を持つ個体の殆どは、すぐに環境中がコピーだらけに埋まってしまい、自分のコピーに圧迫されて全滅した。
一方で、ある程度厳しい変動を繰り返す環境では、崩れてしまうコピーと、排出されるコピーの数が、ちょうどいい数で調和して長持ちした。やがて、コピーの排出の頻度が適度になってきて、激しい環境の変動を経なくても調和を保つようになった。

…これが、「カオスの縁」か!
カオスからまさに、原始的な生命活動の胎動が見える。

長持ちした配列体だけが、いくつかの環境で定着した。まだまだ、本当に小さいけど、一応微生物と呼んでもいいんじゃないか。
定着した奴らは、海底から温水が沸き上がる付近でその数を増やしている。まだ海底にしかいない。温水から、エネルギーに相当するものを吸収するんだろう。

「…エル、入ってもいい?」
僕の部屋の扉から、姉さんが僕に話しかけてきた。
「どうぞ」
ドアが開く。姉さんは、3Dモニタに映し出された微生物たちの映像を見ながら言った。
「まあ、これって」
「例の人工生命のソフトさ」
「まあ、あなたってこういうの好きだよね。それはあなたの素晴らしい事だけど、もっと太陽の光を浴びて、友達と遊んでもいいんじゃないかしら?」
「ああ、大丈夫だよ。僕は、これを続けることに使命を感じてるんだ。それに…友達とはちゃんとつながってるよ」
ママやパパ、姉さんには言っていないだけだ。今に分かる。
「まあ、この微生物たちが、あなたの友人?」
「そうじゃない。本当に友人はいるよ。人間のね!今日もこれから話すのさ」

姉さんは、もうすぐ夕食よ、とだけ告げて部屋を後にした。
ああ、畜生!また邪魔された!
まあいい。どうせ家族は僕を見下している。でも僕はこれをやることに使命を感じるんだ。今に見ていろ!
僕は続ける。

しばらくすると、定着してる一群の中から、自分たちとは違う配列を持つ個体を、吸収する奴が現れた。
他の配列を吸収する一群は、自分の住処を広げていってる。これも、なんでそうなるかわからない。自然とそうなってしまうらしい。
しかも厳しい環境に適用するたびに、その配列が複雑なものになる。
そうしていくつかの環境を股にかけて生育域を広げていくやつは、もはや有機体の配列とは言えない。単に物理現象の結果そういう風に流れているだけとはいえ、自分が生きていきやすい環境を自発的に選んでいるようにしか見えない。完全に生物だ。

僕は、プログラムの稼働を続ける。

仮想空間上で再現させた「生物」は、いくつかの場所で発生した。
なぜか、自分のコピーを作っては、他の環境に適応して、自然と、どんな環境でも壊れないような配列構造を持つようになってる。
これも、医師があるわけじゃない。物理的に自然と、そうなるらしい。
さらに、コピー元の個体とコピー後で、少し行動ルールが違う、という事も増えた。
それらの個体同士が、違う方法を取ると、そのコピー達全体がうまく調和して、環境に適応しやすいチームが現れた。
…まるで、チームワークを発揮しているみたいだ!なんでそうなるのかは、解らない。自然とそうなるのか?そうだとしたら、ちょっと信じられない。個体が「選んで」そうしている?でも、これはただのデータの集まりのシミュレーションなんだ。意思があるように見えて、物理現象に過ぎないのか。それとも、意思こそ物理現象そのものなのか…。

気になったのは、中には、ただ何もしないで死んでいく個体もあるということだ。
殺されたり、環境に適応できなかったんじゃない。生まれて直ぐ死ぬ。死ぬために生まれてきたようにも見える。
そういう個体にも、何か意味があるのかわからない。でも、複雑な要因が絡まって、そういうやつが生まれなきゃいけない理由があるから、自然とそうなってしまうんだ。何の意味もなく生き、何の意味もなく死ぬ。そんな奴がたくさんいる事は仕方ないんだ。

色々な生物群が発生した。でも、生き残るのはその中の1%にも満たないようだ。
ここから、生き残った奴はさらに高度になっていくんだろうか。どうなるんだろう?

『メモリが限界値に達しました』

そこで、3Dモニターに、メッセージが出た。
…ああ。もう終わりなのか、これで!まだ生物に見えるものが、やった発生したかどうかっていう所なのに。
100エクサバイトでも、これっぽっちしか動かないなんて。
これ以上時代を進ませるためには、もっとメモリが必要らしい。

「エル!夕食だよ」
パパの声が聞こえた。
仕方ない、いったん、僕はご飯を食べに行った。

「エル、あなたも少しは友達を家に連れてきていいんじゃないのかしら…」
僕は夕食でママに言われた。
「そのうちそうする」
「エル、確かにあなたの趣味も素晴らしいけど…」
「ありがとう。その素晴らしい趣味を、僕はもう少しやろうと思うよ。それだけだよ。邪魔をしないでおくれ」
「まあ、いいじゃないか。エルは、神様の導いた方に進んでいける。神様は、一人一人が自分の与えられた力を使って生きろって言ってくださっているんだ」

僕は、毎日のお祈りをして、また自分の部屋に戻った。
…もう、さっきの仮想生物の観察は終わりかって?
いいや。今までのは、テストみたいなものなんだ。
本番はこれから。ここからは、メモリを増強して再度実行する。
プログラムは、100エクサバイト超のメモリが必要になった時点で処理を止めるよう最初から設定されている事を、僕は知っている。そんなものは、ちょっとネット上の、ギーク達が集まるコミュニティを見ていれば流れてくる情報だが、実際、プログラムをハックして僕一人でコードにデコンパイルしたものを、その処理の実装個所を探して書き換えてある。
いずれ僕の名は、世界に知れわたる。その時に、この改造コードを公開して皆を驚かせるつもりだ。

僕は、そうして改造したソフトを再度実行した。先ほどと初期変数値の値を同じにして、同じ経過が確認できれば、バグなく動いていることになる。
…よし、うまく動いたぞ。
生物の形も、発生するパターンもさっきと全く同じだ。このアルゴリズムは乱数を用いた演算は一切行わないから、同じ初期変数からは同じ結果しか返らない事は保証される。そして今、同じ結果が返された。

そこまでわかった時点で、僕は口元にマイクを装着する。

「ごきげんよう、皆さん。僕が稼働している、仮想生命誕生プログラムについて、共有していきます」
僕が話すと、世界中にいる僕の友達が、ネットで僕の実況を見てくれる。
今頃、世界中の色々な家庭の3Dディスプレイに、僕が起動しているプログラムの3D映像が共有されているだろう。
「待っていたよ!貴方の放送を楽しみにしていました」と、フランスの友人は言う。
「ヨタバイト級のメモリを使うんだって?凄いね!カンブリア爆発でも起こすつもりかい」ドイツの友人が言う。
「そうです。冗談ではありませんよ?恐らくこのサイズを使用して演算を回している人は、この地球上で僕だけだと思います」
僕は、みんなが注目してくれているのを嬉しく思う。そう、こんなことをやっているのは、この地球上で僕だけだ。僕は現実を言っただけ。
「今日は、ここまで進んでいます。大体、地球でいう多細胞生物に当たるものが出現していて…」
僕は、その時点の状況を説明した。僕は毎晩、この実況中継をすることにしている。


次の日。
マシンはずっと稼働したままにしておいて、学校に行く。勿論、学校でも遠隔操作で、その様子は見えている。
家に帰って、食事を済ませると、僕はまた実況中継を始めた。

「皆さん。今、デフォルトのメモリ限界値を超えて起動してから20時間経過時点です。
実は、私の方で無理やり環境に変化を起こしています。このままの進化だとあまりにも生態系が安定しすぎてしまい、進化に時間がかかると思いました。適度な刺激を加えなければ、カタストロフィは発生しません」
すると、質問が飛んできた。
「どういうこと?地球と同じ海と陸地があるなら、ただ分子レベルの物理運動をシミュレートし続ければいいわけではないの?」と、メキシコの友人は言う。
「違います。そうではありません。実際の地球で生命が発達したのは、ジャイアントインパクトによる月の誕生、約39億年前までの『重爆撃期』と呼ばれる隕石の大量衝突、現在よりはるかに高温のマントルの活発な活動、さらには約23億年前並びに7億年前の全地球が凍結するほどの大氷河期、そして太陽の活動の変化。そういったイベントを経た結果です。いくら高性能のプログラムでも、地球外からの影響を含めた全てはシミュレーションできません。そういった影響は、自力で起こさねばならないのです」
「えーっ?全地球が凍結していた時期があったの?」
と、甲高い声で日本人の友人が…友人とも認めたくないが、訛りの強い英語で質問した。全く、アジア人というものはどうしてこう品がないのかと僕は思う。別に差別じゃない。現に、品がないんだからな!
「それは自分で調べてください。もう私たちは、検索すればなんでもわかる時代に何十年も生きているではありませんか?あなただけ、人に聞かねばわからない時代に生きてるわけじゃないでしょう?」僕はそいつに答えてやった。
「…エル、とにかく、それが今の限界なんだってことはわかったよ。続きが知りたい」カナダの友人が口をはさんだ。
「はい。いずれにせよ僕の操作で、いくつか変数をいじりました。実際の地球と同じものはできませんが、似せるためです。それで、生物の90パーセントは一度殲滅させました」
「えっ?」
「その後の姿が、こちらです。過酷な環境を生き残った生物たちは、そうですね…勝手に、大きく複雑に、進化していますね。こちらは、まるでウミユリのように、海底に根ざして咲いています。こちらの生物は、外郭が殻に覆われています。こいつの殻の中は…モニターに見えていますか?こうなっています。いくつかのボール状のものが入ってますね。ボール同士を、何本もの線がつないでいます」
「すごいね。こんなものが。。。これ、仮想生物っていうけど、究極的にはメモリ上のデータの集まりなんだろ?」
「そうですね。しかし現にデータ群は、こういうものを構成して、僕たちの前に見せているのです。この仮想生物の、ボール一つだけでも十分、複雑な生き物みたいに見えますが、実際はそれらのボール同士が役割分担して何かを受け渡し続けてるようです。特に、体の中に入ってるボールと、体の前側、全体の3分の1くらいの位置についているボールが、大きいようですね」
「信じられない!それはまるで地球の生き物そっくりじゃないか!要は、脳と心臓だ。他の臓器についても同様だろう?」
「おっしゃる通りです。尤もまだまだ、地球で言うカンブリア紀程度の構造で、より密に発展していく余地はあります。こんな複雑な構造体でも、やっぱり自分のコピーを作って増えていくのですが、驚くべきことに、今までのように生物そのものが2つに分裂して増えるんじゃないんです。とても細い糸のような物質だけを持った、小さな塊を放出すると、その塊が、元の生物と同じ形に成長するのです」
「それって、まさかゲノムのようなシステムがあるって事かい?」と、イタリア人の友人は質問する。
「そうなのでしょうね。僕が仕組んだわけではありません。厳しい環境を与え続けた結果、この生物たちが勝手にそうなっただけです。尤も、増えすぎたら全滅したり、違う構造を持つ物に進出されて吸収されたりするのは、生命誕生時点から全然変わらないから、不思議なものです。…さて、そろそろ僕の放送は終わりますが、何か質問は?」
「私から質問です!エルは、どうして研究をしている?」
聞いてきたのは、中国人だった。
「はい?それは、僕がこの研究をする意味がないとでも?」
「いやいや、エル。彼女は単に、あなたの動機が何なのかと聞いているだけだよ」ペンシルバニアの友人が、彼女のフォローをした。「そんな怒る話じゃない」
「そうですか。僕は、強い使命を感じるのです。今や、人類の技術はここまで発展したわけです。凄まじい容量のメモリを組み合わせて、地球そのものを仮想空間上に想像できているわけです。私たち人類こそ、この地球の支配者であると証明したい。僕は、人類の代表として、自分の技術を駆使して、金字塔を打ち立てたいのです」
「あの、この研究って、いつまで続ける気ですか?」
と、さっきの日本人がまた質問した。なぜ、アジア人ばかりが口を開くのだろうか。
「時間です。今日はここまでです。明日も放送します。ごきげんよう」
僕は放送を終えた。


「エル。入っていいかい」
「どうぞ」
そう言うと、パパが入ってきた。
「何をしてたんだい?」
「友人たちと話してたのさ」
「そうか…それは素晴らしい。君の卓越した才能は認めるよ…ただね、厳しい事を言うが。最近ちょっと学校で、態度が悪いって思わないか?」
「何の話?」
「先生から言われた。黒人の友達に対する態度が悪いと。パパは、いつもお前に何を教えている?」
「僕は、態度が悪いなんて思ってない。パパの教えは守ってるつもりだ。単に、彼らが実際に悪い事をしたから注意しただけだ」
「エル。パパは君を差別主義者でないと信じるが、相手はそう思っていないかもしれないだろ?前も言ったぞ。例えお前が正しいと思っていても、言動には気をつけるんだ。我々白人は、キリスト教徒は、偉いわけではない。お前ももう7年生になるんだから、理解すべきだ」

パパは部屋を出ていった。
僕はパパの教えに納得していない。僕は差別なんてしないが、白人を卑下する必要はないと思う。僕たち白人のキリスト教徒こそ、世界を作ってきた。その素晴らしい考え方を、黒人やアジア人や、イスラム教のやつらなんかに、教えてあげてる。これの何がいけないのだろう。キリスト教の素晴らしい考え方を、人に伝える事を否定するなんて、キリスト教徒といえるのだろうか。
僕はパパを理解できない。


それからは僕は、学校に行っている間はプログラムを勝手に流すことなく、家に帰った時だけ動かして見ることにした。
そして翌日。プログラムを起動する。生物たちは、いよいよ大きな形に進化を始めていった。
そして、海は生物だらけになった。

「こうなったら、行くところまで、行ってやる」
僕は、マイクを装着した。




続く

コメント(5)

元々、「ホラー」「トロピカル」のお題を使ってに、あるテーマについて書こうと思ったのですが、そのテーマについて考えていくうちに、どんどん話が膨れ上がってしまいまして。
もはや元々のテーマに関係なく(ホラーもトロピカルも出てこない)、ものすごく壮大な話になっていましたw

そのテーマというのは、この先だいぶ後で絡んでくる予定です。
殆ど関係なくなってしまいましたが、せっかくですので投稿します。お読みいただければ大変うれしいです。

数回ではとても終わらないので、もっと続きます。
ちなみに、このテーマで書いていて結構「連作として、人に読んでもらえるような面白い作品にできるのでは?」という手ごたえをつかめたので、
この作品を推敲し、カクヨムにデビューをもくろんでいます。
もしその運びになりましたら、是非応援下さるとうれしいです。(その場合、文芸部に連作を投稿し続けるべきかどうかは、考えさせてください)
あるテーマ というのがなにか気になります。今の段階では窺い知れないものなんですね。今日聞かせていただけるのか期待してます。
>>[2]
ありがとうございます。そんな大した話ではないです。
>>[4]
ありがとうございます。まだこの話だけでは、面白くないかもしれません。
可能だったらもっともっと伏線を張り巡らせたかったほど、色々話の展開の構想は練っています。ここから段々面白くなると思います。

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